NO BORDER 7

MOUNT ALIVE PRESENTS

NO BORDER 7

2022.01.20(金) @cube garden

ラックライフ / BURNOUT SYNDROMES / er/ca


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夕方からの雪予報で早々に欠航が決定した便があることに胃がひゅっとなった一瞬。幸いなことに、天候にもタイミングにも恵まれて、予定していた便で降り立った新千歳空港。脇目も振らず真っ直ぐに、電車で1時間弱、辿り着いた札幌。

BURNOUT SYNDROMESにとっては7年振り、個人的には修学旅行以来の、なんだったらあのときはラフティングを楽しんじゃうくらいの季節だったことを思うと、これがはじめての冬の、北海道。雪国、札幌。真っ白に染まりゆく街。いま 目の前に広がる 果てしなき一面の銀世界。見たことない光景に、堪らず、彼らの雪の歌を脳内再生させた。

ひやひやしながら運行状況を確認してたことも天気予報を見守ってたことももうすっかり忘れて、辿り着けたならもうなんだって、万事大丈夫。幸いなことに、この日は比較的暖かい日だったようだった。寒いことには変わりはないけれど、想像より寒くない。きっと、わくわくして仕方がない気持ちが、はたまた準備万端に整えてきた防寒効果が、そう思わせたんだと思う。

 

 

トップバッターにして唯一の地元札幌バンド、er/ca。PONさんが、エリカちゃんって呼んでんのかわいいと思う。ドラムのよく見える良好な視界を有り難く思います。姿勢良くどっしりしたプレイ姿に惹かれるのかもしれないと、自分の趣味嗜好を分析しながら、眺めてました。エリカちゃん

 

 


BURNOUT SYNDROMES

 

音と照明と静寂と、そして、あなたと私。作り出す特別な時間。楽しんで、燃え尽きましょう。超絶ニュアンス解釈しかできないけど、だいぶお馴染みに感じてきた登場SE。それぞれにフロアを見渡して挨拶を終えて、はじまる、札幌でのBURNOUT SYNDROMESのライブ。前立てのおしゃれなシンプルドレスシャツに黒スキニーが本日の熊谷さんの衣装。これ、好き。とても好き。あ、ギターも黒かったです。

 

「大阪から遥々やってきました、バーンアウトシンドロームズです」

ステージも彼らも真っ赤に染める照明が、燃え盛る火炎地獄のような烈しさで照りつける、1曲目、BLIZZARD。過去の傷を塗り潰すとこ、「過去の闇も振り払って」って歌ってた。俺の黒いところは、「黒い心」って聞こえた気がした。

序盤も序盤で、石川さんの無線機がプラプラしてるのが脇目に見えて思わず目で追ってしまった。誰かースタッフさーん助けてーってそわってなった。熊谷さんも、ちらりって一瞥して状況確認した気がするけど、あの角度で見えるのかなどうかなあ。

胸の前できゅっと握り込む両手にちょっと釘付けになった。やっぱり熊ちゃんの手が、美しいんですよねえ。

 

バーンアウトシンドロームズの世界にようこそ、雪国札幌ー!」

心ときめく素敵な歓迎の言葉を発して、両手を開く熊谷さん。このまま銀世界にでも突入したなら、ライブハウスの外にいままさに広がっている雪景色にぴったりだなあって、反射的に思ったのは余談です。雪国という特別な場所に心が浮ついている所為。

 

「みんなと一緒に作りたい歌があります、クラップクラップクラップクラップ」コーラスのSEで繋ぎ、熊谷さんが導き、フロアが手拍子で埋まって、はじまる、ヒカリアレ

下手でのギターソロ、タッピング、音飛んでたから無線が悪さしてるのかな。

手拍子煽る仕草、頭の上じゃなくて、顔の横で優雅な煽り方あったんだけど、どの曲か確信はない、無念。

 

MCタイム、石川さんがどこか言いにくそうに、「いやー………明けたね」って話しはじめて、思わず笑ってしまった。漏れてる漏れてる。もう自分でも流石に、その、正月感は無理あるって自覚が漏れてる…って感じのなんとも言えない歯切れの悪い言い方でした。

熊「もう20日よ?」

石「日本でいちばん日の出が早いの!どこでしょう!!」

熊「え?」

石「千葉やねん」

熊「は?(笑)」

札幌じゃないんかーい、ってピシッとツッコみたくなった。

続けた石川さんが、札幌の天気予報には、雪時々止む、があって吃驚したって話してた。

石「札幌のひと、日の出とか興味ないと思うねん。雪時々止むの街やから」

熊「それどころじゃないってこと?」

石「初日の出見たひとーいますかー?ほらゼロでしょ?」

熊「いやいや(笑)」

挙げてるひとに向かってそっと下げてって促しながら、そのあともふやふやと言葉を重ねていく石川さん。終着地点のすぐ隣で延々と足踏みしているようなゆるい話っぷりに、焦れた熊谷さんが「もう、年明けっぽい曲をやります!MC下手なひとはほっといて」って、喋っていた石川さんに被せていった、Good Morning World!

「不安の雨」を受ける掌。「キミの半分は水」、スパッと片手広げて指差す瞬間に、眩い照明を背負っている姿が堪らなくカッコよくて、でも、どこだったか思い出せないの大変遺憾です。2曲あった。2箇所あった。なんだか今日、いつにも増してアクション盛り沢山じゃないですか?全部やっとけてんこ盛り?あれもこれもで記憶が追いつきません。気持ちが忙しいです。あーもうどれもこれもカッコいいよ!ねえカッコいいよ!最後、「素晴らしい日の出でした」ってお褒めの言葉。

 

雅なSEのなか、「みんなで遊びましょう」って、歌入りワンコーラスではじまる、花一匁。「斬られて堪るか」で緩やかに、ジグザグに斬る所作。曲中の「斬られて堪るか」のさらっと、けれどスパッと鋭く、腕から振るわれる右手の手刀。

覆い被さる勢いでマイクを握りに突っ込み、スタンドの向きからくるっと変えて「欲望を隠しもせず」って下手へ上手へ、歌いかける姿は前のめりでカッコよくて、「唯 脚蹴り上げ」の前蹴りの、蹴ったあとの足が、すちゃってコンパクトに戻されるのかわいいかった。

やっぱり今日、てんこ盛りじゃない?花一匁は特に、記憶に残ってくれてて嬉しいなあ。「可笑しい」のあとの、ジャキッ、ジャキッ、ってギターカッコよくて好きだなあって、思った。

自ら促し奏でるギターソロ。ステージ奥のでっかいアンプから真っ直ぐ音が飛んできてなんか無性に震えた。音の出所をはっきりと認識するのあんまりない体験だった。そのまま身を翻してバスドラに足かけるの、好き。

Cメロ(で表現が合ってるのか知らんけど)のバキバキのドラムに合わせてくり返し発せられる赤い閃光が目を眩ませた、烈しいライティング。その度にその光が、熊谷さんの輪郭線を空間に描出していて、絵力が凄まじかった。

 

MCでは、BURNOUT SYNDROMES、7年振りの札幌ってお話。

石「7年前の怖い事件の話していいですか」

熊「あのホラー?」

石「まあ、ホラーって訳でもないんやけど」

熊「リハしてたんですよ。本番前に。今でこそ考えられないんですけど、そのときは機材自分で運んでて、機材もデカければデカいほどカッコいいと思ってて、今でこそ考えられないんですけど。それを運んでたときに、風が吹いて、20キロ30キロくらいはある機材が倒れそうになったんですよね。何を思ったか石川くん足出したんですよ」

フロント陣ふたり揃って、インサイドキックの要領で、すっと足出すシンメトリーのシンクロ。仲良しかよ。

石「とっさに動いちゃわない?」

熊「家でコップ落としたんじゃないんやから…熊谷は咄嗟に飛び退いたのに…」

言いながらシャッて後ろに飛び退いた熊谷さん。実演する姿かわいい。

石「足見たら、爪無くなってて、その瞬間イッターーい!って叫んだもんな。病院行って、痛み止め打ってもらったけど、驚かそうと車椅子で、ごめんーライブできひんて…って言ったらふたりとも、『分かった出んでええ』って」

熊「俺と廣瀬でやるわー、でしたね。ほんま、大丈夫か?!とかなかったもんな」

石「それがいちばんホラーやったね。あ、俺いらんねや…って(笑)。いいバンドやと思ったわそんとき」

熊「その日も彼、今日と同じだけ飛んでて、でもMCで何も触れんとライブやって、こいつ漢やなと思いましたね。イベントのひとも褒めてたもんな」

漢、石川大裕の武勇伝。聞いてるだけで痛みを想像してひえってなってしまう武勇伝。別にいまは爪あるから問題ないにも関わらず、直後に石川さんがジャンプしたときには一瞬ざわっとしてしまうくらいには、物理的に痛いお話。

 

石「今日爪ないひとおらんでしょ?」

だからあなたたち飛べるよね?と暗に言っている。そんな話聞かされて、飛ばないわけにはいかないでしょう。

Aメロ前、「飛べ!」って熊谷さんの声に従って、ジャンプジャンプの、PHOENIX。ジャンプジャンプののち、すかさずの手拍子。一旦のジャンプは小休止で手拍子を続けて、サビでジャンプジャンプ。PHOENIX、飛ぶとこ多すぎでは?ほぼほぼジャンプし通しでは?って、アニメ縛りの対バンでも痛感したけれど、運動量の激しさを再確認しました。飛び跳ねながらチャチャって合いの手の手拍子、楽しいんです。

「痛いくらい跳ねろ」って自身の胸をドンドンッと拳で打つ熊谷さん。そういえば、拳は心臓のサイズと同じなんだよなあとか思うと、より感慨深い。

悪戦苦闘の末の勝利の味を求めて、正拳突きもしてたし、敵の鉄壁砕くアタックは、今日は振り抜くよりもピタって止まって衝撃乗せてる感じだった。やっぱり今日、盛りだくさんだ、忙しい。

 

まだまだもっと、もっと飛べと、FLY HIGH!!。仕切りに脚だんだんってリズム取って懸命に歌ってる感じが、命尽きるまで限界を超え最高速で飛べ、って自身にもフロアにも檄を飛ばしているように思えた。

若干の下手寄りセンターでお届けされたギターソロ。石川さんのみんな大好きベースソロ弾いてるとき、センターでメンバー向かい合ってるの、珍しい光景だなって、思った。そこから引き継いで、歌う熊谷さんの落ちサビが、何だかとても自然で、その一連が美しくさえあって、結構好きだったなあ。せめて声が出せたら…って思った名古屋を思うと、余計に。熊谷さんが歌う、ってことがとても自然で、気持ちがほわっとした。

 

はじめての雪国札幌でのバーンアウトは、寒さなんて簡単に吹き飛ばしちゃう熱さでした。楽しかったとカッコよかったとでほくほくと温かく、ぎゅうぎゅうに満たされて、でも次は3月花やしき(尚、チケットはまだない)で、しばらくライブがないんだなあ、って事実に寂しくなっちゃうのも偽れない事実でした。強い気持ちで、花やしき引き寄せる。お願い。

 

01.BLIZZARD
02.ヒカリアレ
-MC-
03.Good Morning World!
04.花一匁
-MC-
05.PHOENIX
06.FLY HIGH!!

 

 


ラックライフ

 

バーンアウトは7年振りらしいけど、俺ら5年振りやから、刻んできてるんで、俺らの方が好きになってもらえるはずです!」ってPONさん。これは確かアンコールで言ってたけど、「バーンアウトが次ほんまに7年後に来たときは、あいつら25周年か。めでたいな」ってほんわりした呟き方で、愛ある貶めと祝福を兼ね備えたPONさんの言葉にほっこりしました。いいひと。

 

サニーデイの前の、「幸せになりたいかー!」って、好き。幸せを感じさせるために来たんでしょ、あなたたちラックライフは。底抜けに陽の気で満たされる、心軽やかに手を打ちたくなるこの曲、好きだなあ。リフレインに感じる滾るような興奮とは別の、好き。

 

「ここにしかないものがある」ってお話。「バンドマンどこでも同じこと言ってるんでしょ、って思ってるやろ?」っておちゃらけた表情で語るPONさんが「言ってますよ」ってはっきりすっぱり言い切った。うわー、痛快。

どの土地でも言ってること知ってる。でもその言葉にいつもちゃんと気持ちが乗っていて、紛れもなく事実であることも、知ってる。それがそのままその土地ごとでの醍醐味にもなって、本当にここにしかないものがあるからこそ、どこであろうと見届けたくなるんだよなあって心底思う。ここにしかないものがあるから、海を越え、遥々ここまで足を運んでしまったんだ、って自分の想いとも重ねて、頷きながらPONさんの言葉に共感してた。のがきっと勘違いさせてしまった要因。大好きなMC過ぎて、見つめすぎて目が合って「ここのひと?」って、まさか尋ねられるとは思わないもの。思わずしれっと素直に首を横に振ってしまった私、札幌のひとではない。居た堪れない。「どこにでもおるひとかー」って、いや本当に面目ない。

それさえも笑いに瞬時に切り替えて、「札幌のひとー」って問いかけに挙がるたくさんの手が、今日この場所の特別。

そうじゃなくったって、集まるひと一人ひとりも、会場も、土地柄も、全部合わさって作るこの時間は、いつだって今日ここにしかない。ステージ側がそうやって心奮い立たせて遥々足を運んでくれるのと同じように、私だって、その場所にしかないものを求めて、大好きなひとたちが作るその日の特別に自分も触れたくて、足を伸ばす。

胸熱な素敵MCが面白に傾いてしまった申し訳なさでひたすら平謝りと、余韻でしばらく笑ってたら、「ここに来て価値がないって言ってるんちゃうで?!」ってフォロー入れるPONさんも「そう思われても仕方ないやろ…」ってやんわりツッコむ生駒さんも、全方位に優しい、スーパーマン。十二分に分かってますよ。どうしようもなく価値を感じてるから来てますので、って思いながらも、申し訳なさと気恥ずかしもあるから、頰が熱持ってたことは仕方がない。

 

例によってドラムはよく見えるので、大石さんのプレイ姿がカッコいいことカッコいいこと。投げたスティックを勢いよくスパッと掴み取ってそのまま打ち下ろす、その姿がカッコよすぎて大興奮した。ゆったり投げたのをキャッチする瞬間もカッコいいので、これはもうファンです。

 

「本番前に『これを65歳までやってくのって、しんどいっすね』って話を熊ちゃんとした」って話すPONさん。どんなニュアンスかは定かじゃないけど、定年の65歳までバンドを続けていて各地を巡っている未来を、熊谷さんがちゃんと想定している、という事実に、万感の思いです。願わくは、そんなおじいちゃんを目に焼き付けられる私でいられますように。そうやって語らうふたりの姿をひっそりと見守る札幌の雪にもなりたかった。

 

アンコール、再び登場したメンバーが身に纏っていた新グッズ。ポケット付きロンT。PONさんが白、生駒さんが紺、拓さんが黒、それぞれに大変お似合いのカラーリングだったけれど、大石さんの一際目立つセーフティーイエローが恐ろしいほど似合いすぎていた。

 

自分たちの15周年ツアーで札幌に帰ってくることにも触れ、その日のGUEST解禁。「知ってても知らんくても、いいリアクションしてください」ってお願いのもと、「ブラックライフ」と発表された。「ラックライフに非常によく似た奴らで、名前もブラックライフで似てて…ほとんどワンマンみたいなもんで……もう!ラックライフワンマンです!!!」ってブラックライフの設定説明を投げ出したPONさんでした。

 

01.風が吹く街
02.リフレイン
03.サニーデイ
04.℃
05.Over
06.しるし
07.Hand

en.名前を呼ぶよ