TOKYO 大阪公演

BURNOUT SYNDROMES

全国ワンマンツアー2022「TOKYO」

2022.02.10(木) @なんばhatch

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約1ヶ月前、2022年1月14日(金)に、はじまったツアーTOKYO。初日仙台から、今日この日まで、楽しくて楽しくてあっという間で、同時に、これまでのどのツアーのときより、辿り着くまでを長く遠く感じた。延期延期を重ねたことももちろん、公演日の前日に公式からの通知がある度に、呼吸を整えて恐る恐る開いたお知らせ。はじまったからにはどうか、と祈る気持ちと、決して無理だけはしないでほしいからいっそ、と願う気持ち、たくさんの矛盾した感情を抱えて迎えた、ようやくのツアーファイナル。2022年2月10日(木) 、BURNOUT SYNDROMES 全国ワンマンツアー2022「TOKYO」大阪公演は、彼らの地元。前回のワンマンツアーから数えて、365日と364日、ぎりぎり2年を待たずして帰ってきた、なんばhatch。至るところで流れる銀世界が、否応なしに気持ちを昂らせていった。


開場して、席についてからだって、少しも落ち着かなくて、でも、歩き回りたい気持ちも話したい気持ちもどうにか抑え込んで、ただひたすら平静を装ってスマホに向かい合って開演を待った1時間弱。会場に流れ続ける2020年渋谷の旅が、ふっと音量を小さくし、フロアの明かりが消えた。


ステージに降りたスクリーンに投影されたオープニング映像。真っ白な画面に、すーっと伸びた青色の線。進行可能を示す歩行者信号機とVICTORYへの案内標識。これまでにリリースしてきたアルバムをそれぞれ傍に添えた青信号を順調な速度で進んでいったその先、予期せぬ赤信号に急ブレーキ。赤信号にはマスクを着用した顔のイラスト付き。嗚呼これは、COVID-19との遭遇。一瞬で進路は黒く染まり、先の見通せない暗闇が広がった。途切れた青色の線と進路を変え新たに派生した朱色の線。今度は、このツアーまでの期間に行ってきた数々の配信ライブをひとつずつ辿っていった。その行く末に、待ち望んだ青信号と忠犬ハチ公像。交差する青と朱の線の平面から抜けて、3次元に展開するBURNOUT SYNDROMES ONE-MAN TOUR "TOKYO"の文字。高く頭上に伸びていく蛍光色のブルーのラインの先に、なんばhatchのロゴ。とびきり存在感のある鮮やかな赤。ツアーTシャツにもアクリルキーホルダーにもタオルにも施されている路線図、このツアーの日程・地名・会場名が刻まれたその路線図を天空から見渡すように存在するこの日この会場のロゴは、歩んできた軌跡を全部抱えて辿り着いた、ツアーファイナルであることの特別さを際立たせていた。


暗転のなか登場した人影と、瞬間、眩く点った照明と、輝かしく堂々たる姿で目の前に存在するメンバー。なんかもう、それだけでカッコよさが限界突破していたように感じたし、ファイナルって、地元大阪ってやっぱり強いなって思った。


それぞれが楽器を持って、中央に集まって、エフェクトのかかったこのツアーのためだけの2020年渋谷の旅をBGMにして、熊谷さんが天空を仰ぎ歌っている横姿のシルエット。重なる搭乗アナウンスのような「Thank you for attending」の音声が、ツアーTOKYOのはじまりを告げる。1曲目、長い長い暗闇が明けるように、Good Morning World!

蒼穹の涯」のあと、音源のピーピピッて効果音に代わって、鳴り響く信号機の音。直後、真っ赤に染まるステージにちょっと戸惑ったこの解釈を、共有してくれるひとが欲しい。


続いた、ロザリオをはずして。上手に下手にオイオイと拳を煽っていく石川さんがとても熱くて、呼応して乗せられてしまう。ばちばちにライブ映えが過ぎて、音源が物足りなくなる魔法にかけられるのも、音を圧で感じることのできる幸せ故だと思う。

間奏前、美しく響き渡る熊谷さんの断末魔が、惚れ惚れするくらい残響して、その余韻を残した空間で怪しげに奏でられるベースのフレーズ。併せて全てに恍惚としちゃう。最強。


再び聞こえてきた信号機の音。スクリーンには歩行者信号とスクランブル交差点。進行可能を示す電子音がだんだんとリズムを変え、高音低音を行き来する特徴的なリフになった。お馴染み、エレベーターガール。ライブ映えに抜かりない選曲の連投。それ以上に、圧倒的に、ファイナルなんだぞ!っていうピカイチのカッコよさで大優勝だと思った。この曲だけじゃなく、終始ね。


ドラムの設置台の一段高いとこに上がって、前屈みの低姿勢、覆いかぶさるようなスタイルで弾いてる石川さんの頭頂部と丸い背中がとってもカッコよかったのは、あれ、何の曲だったかなあ。Good Morning World!のMVのときも、その姿勢で前のめりに演奏する姿がカッコいいなって思ってスクショしたのを思い出した。

 

「俺たちが求めてるのは皆さんの愛です」って石川さんが手拍子を求める曲振り、まさに、愛は行動よ、ってことでしょ。好き。艶やかな声のSEにフロアのクラップと熊谷さんの指パッチンを乗せて、はじまるLove is Action!。

ひとつの恋の終わりを告げたエレベーターガールとは対照的に、煌びやかな恋の始まりを夢見る歌が続いて、そいえば、アルバムTOKYOには対比がたくさんあるって話を熊谷さんがしてた気がしたなって。ツアーTOKYOもきっと然り。

はさみ跳びするみたいに勢いよく脚振り上げて間奏に突入する熊谷さんは、この曲でよかったですか。愛は行動なんだとしたら、この曲でアクションが大きいのはとても愛おしさが溢れる。

「その手拍子でcrank up鳴らして」って歌い替えてた瞬間は確かにあったはずだけど、記憶って限界があるよね。もどかしい。

曲終わり、「最高の手拍子をありがとー」ってマイク通さない肉声がはっきり聞こえてくるの、無性に心擽るし、声量…!って感動している。


束の間の暗転と、鳴り止まない拍手のなか、一瞬漏れ聞こえるギターの音色。これはきっと、拍手の終わるタイミングを見誤ったってことでしょうか。この日がどれだけ大阪に待ち望まれていたか、私たちがその気持ちをどれだけあなたたちに届けたいか、ちゃんと思い知ってください、って地元民でもないけど思いました。

すかさず仕切り直して、高らかに愛を歌うように、熊谷さんのギターソロで奏でられる結婚行進曲からの、世界は愛で満ちている。

シャツの袖、捲ってくれてるのいいですね、とても。美しい陶器のような手と筋肉質ながらどうしたって華奢な腕がよく見えて、いいですね、とても!緩やかに左右に振られる手の美しいこと美しいこと。ふわふわと恍惚と眺めて、必死に網膜に焼き付ける以外に私にできる術はない。

高らかに力強く伸びやかに「I Love This World」って歌声が響くの、愛で満ち溢れた清らかな空気で空間が純白に、純真無垢に染まったみたいで眩い。


愛、愛、愛で満ちた幸福空間を祝福するように響く拍手喝采に、不意に紛れ込んだ…愛、愛。

「愛」「make」「love」それぞれがくり返し主張し合うなか、「love」を打ち消すように飛び込んだ揺れる音声の「money」。流れ出す不穏な、けれどどこか厳かなBGM。「愛」「make」「money」「I make money」、愛がお金に上書きされて、「make money money make money」言わずもがな、邪教・拝金教。

ここまで順当に恋や愛を重ねてきた選曲さえ全部布石だったのか…と、なんて演出をしてくれたんだ…と頭を抱えた戸惑いは、熊谷さんの「唱え奉る!」のひと声で一瞬にして信仰心へと塗り替えられてしまうから、やっぱり罪深い演出。余談ですが、小走りで持ち場に着く廣瀬さんかわいいなって思った。

本日の熊谷さん、教祖様への憑依率は余裕の100%。もはや憑依という概念ではなく、佇まいも声色も挙動も教祖様そのものにしか捉えられなくて、終始崇め奉っておりました。尊い

台詞調に歌う「飢えて死ねええ」が本当にもう、ヤバい…としか言えなくて、教祖様の御言に卒倒しそうだった。「稼ぐ脳がない奴らは 媚でも売れ」じゃなかった気がしたけど、春でも売れ?愛でも売れ?

ドラムの設置台にひょいと登って、少しでも高いところからブッダやメシアに語りかけるのも教祖様に似つかわしかったし、その後、ハンドマイクのまま下手上手にずんずんと足速に闊歩しながら歌う姿の威圧感とどことなくある逼迫感、センターに仁王立ちで威厳たっぷりに歌い上げてる姿、呼吸を忘れるほど魅入ってしまう圧でした。


「遊びにきてくれてありがとう。バーンアウトシンドロームズです」って拍手のタイミングを伺って放った熊谷さんの一声。「こうしてツアーファイナルを無事に迎えてるのは本当に奇跡みたいなもので、嬉しく思っています。来てくれたことに感謝しているし、今回、来ないという選択をしてくれたひとにも同じように感謝しています」

どちらの選択も決して間違いではなくて、でもきっと本当は正しいとも言い切れない。少なくとも私はそう思ってしまっている。どちらを選んだとしても拭い切れはしない罪悪感のような感情を抱えて、それでも選んだそれぞれの決断の、そのどちらにも等しく感謝をしてくれる熊谷さんの言葉に救われる気持ちだった。だからこそより一層、細心の注意を払って、たくさんの制約を負って、それでも開催する選択をしてくれたことに対しての敬意は尽きない。あなたたち以上に、誰よりも、参加した私たちが感謝してるんだって断言する。


「声が聞きたいな」っていう石川さんの提案に「それは無理よ」って優しく諭す熊谷さん。諦め切れない石川さんから提案された、『緊急特別企画、LINEでトーーーク』。ツアー専用のLINEアカウントを友だち登録すると、選ばれしラッキーな誰かがステージ上の彼らとLINEトークできるよ、な企画。声っていうのは、言葉や感想、意見でもあるもんね。

折角ツアーファイナルだから、今回は珍しく廣瀬さんが聞きたいことを質問してみようって提案が石川さんからされ、最近ハマってるアニメやドラマを尋ねた。その返答が、ハイキュー!!

石「どの配信サイトでも出てくるもんな!」

熊「Disney+にもありました!」

Disney+登録してる熊谷さんも愛おしいけど、背筋ピンって伸びて何故か誇らしげにどやっ!て報告してる横姿がすごい愛らしくて美しかったです。


この企画に織り交ぜて、LINEトークのやりとりから次の曲を決めていく、日替わり曲。いままでずっと女性に選んでもらっていたからと最後は男性にって委ねられた。選抜野球のために練習してるからバーンアウトの曲をたくさん聴いてる、っていう嬉しい報告からの、応援歌のリクエスト。

熊「応援歌いっぱいありますよ」

石「廣瀬、あと何残ってたっけ」

廣「(カチッ)」

熊「いまリスト出しましたね。カチッて聞こえましたね」

石「折角ファイナルやし、やったことない曲にしよか」

熊「何にしたん」

石「びっくりマークふたつのやつやで!」

熊「正直そんなびっくりマークの数まで把握してへんねん」

石「2曲あるやん、そのうちのいつもやってない方や」

熊「あー、まあ、はじめての曲やるのは緊張するんですよね」

最初にやった配信ライブのとき、効果線付きの廣瀬さんのドラムソロから繋がってはじまった、最高にカッコよくて心臓を跳ねさせる、あの曲。分かった瞬間に思わずガッツポーズした、Dream On!!

ドラム入りのあのフレーズには、テンションと興奮を一気に最高潮まで持っていってしまう力があると思う。全編通して、ライブ映えする曲は特に、廣瀬さんのドラムが最高に映えてるのを、普段あんまり触れないけど、いつも思っています。

はじめてライブで聴くとき、こっちも実はそれなりに緊張してるから、詳細な記憶って本当に難しい。ただただ、カッコよかったカッコよかったカッコよかったが脳内で渦巻いてる。間奏のベースもカッコいいねカッコいいね、めちゃめちゃ好き。


熊「『落ちる怖さも緊張も 積み上げた努力の印』、励まされました」

石「自分の歌詞で自分を勇気付けられるの、エコやな」

熊「地産地消でやってるから」


熊「結構そういうことあって、歌詞に書くってことは、普段から思ってることで、自分が言ってほしいことでもあるんでしょうね。自分が勇気付けれるかどうかっていうのが、曲を作る上での暗黙の条件みたいになってる気がします」

石「ふと言ってた言葉が歌詞になることあるもんな」

熊「え?あります?」

石「向かい風が強いのは自分が速いからって言ってたことあると思うわ」

熊「それ、いつ(笑)」

石「んー、車とか運転してて風強かったんちゃう?(笑)」

熊「急に?ハンドル握って『石川あんな…』って話はじめるの?(笑)」

冗談言いながらケラケラ軽快にお喋りしてるやり取り見てるの幸せな気持ちになるから、推しは偉大。

Good Morning World!の「足の痛みだけが その距離を物語る」は正真正銘、石川さんとの会話で生まれたらしい。いつかの名古屋のライブのとき、開演まで結構時間があったから近くのスタバに寄ろうと思ったけど、全然着かなくて40分くらい歩き続けたお話。そのとき歌詞そのままのフレーズを口にした、と語った熊谷さん。名古屋のどこの箱かは知らないけど、真っ先に思い浮かんだスタバが近くにある箱がアポロベイスだったから、なんか勝手に切なくなった。閉店、嫌だなあ。でも、アポロベイスからスタバ、どうやっても40分もかからないから、迷子説ある。知らんけど。

 

「そんなもんですよ歌詞。この歌を書いたときも大阪かな。ライブの前日で、いつもなんですけど眠れなくて、泣きながら書いた。泊まっていたホテルがまた狭くて」って、そんな大阪時代の話から、模範囚。

「己が心 映すから 現世(うつしよ)か」

天獄か地獄かは自分 次第」

 

「大阪に帰ってきて 俺はそう思ったんだ」

特別で、大切な、彼らの地元。

 

「最期は『独房でなくてよかった』と笑います」

願望じゃなく、宣言として歌われた歌詞。天寿を豊かに全うすることを決意したみたいな、覚悟のような変換だなって思った。生きていることそのものは悦びにはなり得ない、と暗に悟っているようなこの歌の根底にある死生観を、哀しく思ったり後ろめたく感じたりする必要なんてどこにもないんだ。


「このあと天気は荒れるそうです。また、思うように逢えない日々が続きますが」って、逢いたい逢えない。たとえこの先どんなに逢えない時間が長くなっても、想っている事実とその強さを分かっているから、大丈夫なんだと思える。

それともう一つ、どんなに恋しくて逢いたくても、理性を持って逢わないことを選んだ歌だから、この曲はそういう曲だから、思った。ここにいない誰かのために歌われた側面のほうが強いんじゃないかって、その選択への感謝と想いの強さを乗せて。その方が、私にはしっくりくる。

微かに振り返る仕草も、人混みを抜ける歩みもポケットに手を入れんとする仕草も、頰に落ちた白い雫を表して伝う人差し指も、初雪を受けるように差し出された掌も、歌詞に倣う熊谷さんの所作全部が慈しみに溢れるように、柔らかくて美しい。

曲の終わりに「本当に雪降るらしいので、気をつけてくださいね」って旨の心配を言葉にするの、優しい。


熊「昨日から大阪入りしてるんですけど、大阪は暑いよね」

石「???」

客「???」

廣「熊谷くんはね、暑さ寒さが分からないんですよ!」

石「暴露しちゃう?(笑)」

廣瀬さんからの熊谷さんに関するリークを石川さんが面白がって茶々入れてる感じ、した。

熊「ツアー毎回お客さんに何か聞くことにしてるんですけど、同じように暑い寒い分からないってひとー?あーーー、いるね!でもいるね!」

確かにいたけど、電車に乗れない話のときよりも、ぐっと少数に感じましたよ。あんまり寝てる間に汗かきすぎると脱水になるから気をつけてくださいね…枕元にペットボトルとか置いといて…って、ちょっと心配になるエピソードでした。


石「いまは?熱い?」

熊「んー、皆さんの視線が熱いですけど」

暑い寒いは分からないって言外に続くんだろうけど、それはさておき、無性に照れた発言でした。熱視線ってやつですよね。めちゃめちゃ注いでる自覚あります。あんなに魅力的なんだもの、仕方なくないですか。あそこまで無遠慮に凝視できるのなんて、ステージとフロアの隔たりあってこその特権だと思う。

「ツアーが終わるのが寂しくて、曲の度に心がどんどん冷えていく」って言った熊谷さんを温めるべく、ここからもっともっと熱を増して、熱く熱く吹き荒れる雪の歌を、とBLIZZARD。「ささくれた唇」って変えられた歌詞が心の繊細な部分を刺激した。リップクリームとか差し入れすればいいんでしょうか。


「まだまだ行けるか大阪ー!」って廣瀬さんの煽りを受けて、銀世界。何回でも言おう、銀世界大好き。音源を聴いたときから、ライブハウスで鳴っている光景が浮かぶような曲だった。想像して想像して、配信でもわくわくを募らせて、そのイメージを現実に出来ているのが嬉しくて楽しくて仕方がない曲。イメージなんて遥かに超えてカッコいい彼らの姿もその楽しさを倍増させる。


途切れないタイアップの連投、「拳を貸してくれますか!」って熊谷さんの熱い声に応えて、爪痕が残るくらい固く固く握りしめた拳を掲げる、PHOENIX。「跳べ!」って煽られるままにジャンプジャンプをしたイントロと、すかさずのクラップ。すっかりライブ定番曲の頼もしい顔をして、熱量を上げ続けていて、ツアーを回ってきたって感じ、するなあ。

「メンバー紹介します!」熊谷さんが促すメンバーのそれぞれのカッコいいソロパートの最後に「あなた!」含めて、BURNOUT SYNDROMES。「あなたたちが僕らの翼です。何度だって蘇る、不死鳥の翼」


「俺たちの最高速度はこんなもんじゃないです。力貸してくれますか!」お立ち台に登った石川さんが語りかけ、熱く熱く言葉を重ねていって、FLY HIGH!!。掲げられる無数の腕とサイハテノミライを差す指がフロアに広がる。全力疾走のテンポで刻み続けるドラムに同調して鳴るクラップ。2番はもう、どちらからはじまったのか分からないくらいの一体感で、興奮が理性とかいろんなものを全部全部置き去っていった気がした。

それにしても、ギターソロおおおおってなった。石川さんの立てた膝をお立ち台にして、片膝立てて演奏する熊谷さん。そこそこの体重を乗せて踏み付けられてるのに、石川さんがにっこにこしててとても楽しそうで嬉しそうなの、どういう状況かな。眼福な光景。

無限に広がる澄んだ青空を飛んでいるような心地で響くベースソロからの、「ここからは、あなたたちのパートです。届くから、歌って。心の中でもいいから」って熊谷さんの導き。目一杯伸ばした腕たちとシークエンスだけの無音のシンガロング。石川さんが無言で、仕草で、耳を澄ましてた気がして、ぐっときた。

「サイハテノミライヘ」って指差す仕草、最近ギター高々と掲げてるけど、最後だけ両方やっとく感じ、愛、でした。左にギター掲げて、その後右手も上げて、サイハテノミライヘ。


Thank you for boarding our hikousen.

Thank you.

Thank you.

流れる機内アナウンスが、彼らとの別れの時間を告げている。最後の曲、Hikousen。熊谷さんの平坦で穏やかな歌声、耳に残る美しい高音、沁みる低音。別れも何もかも全て受け入れて穏やかに旅立とうとしてるみたい。

「見慣れたなんばhatchが泣くほど美しい」

曲が終わりに近づいて、石川さんが最初に、続いて廣瀬さんが、それぞれ深々と礼をして、ひとりまたひとりとステージから去っていった。最後に、熊谷さん。センターに躍り出て、掲げたギターと深々と礼。ジャジャーンと両手を広げた堂々たる姿の背後のスクリーンにはデデンッと「TOKYO」の黄色ネオン。ああ、TOKYO、終わっちゃうなあ。

初日は、この演出が堪らなく寂しくて悲しくて、それぞれの飛行船に乗って旅立ってしまう彼らとの別れだけが強く印象に残って、とにかく哀しかった。公演の終わり以上の意味で本気で行かないでほしいと願った。その印象は徐々に変化していって、彼らだけでなく、私たちもそれぞれが飛行船に乗って日常に戻っていくんだから、この別れはまた会うための必然で、悲しむことじゃないんだって思えるようになって、迎えた最後、ツアーファイナル。

たとえばもし、ライブハウスでのこの時間こそが、飛行船での旅だったんだとしたら、そこから降り立とうとしてるんだから、これから飛び立つ飛行船は無人であってほしい。透明な飛行船が迎えにくるのはだってまだ、まだ早いはず。私たちにとっても、彼らにとっても。だってまだ生きなきゃ。それぞれの人生という旅を続けて、日常を過ごして、その先でまた巡り逢わなきゃ。かけ替えのないこの場所で、絶対に。

「この広い世界のどこかで どこかで どこかで」

「また 会いましょう」


アンコール。落ち着いたテンポを取り戻した手拍子に、重なるように流れ出したノイズ。何かのはじまりを察知して、緩められる手拍子と、耳を澄ますフロア。ノイズが手拍子を経て、上昇する泡音に変化していった。曲が分かるところまで変化を終えると共に、フロント陣が再びステージに戻ってきて、Ocean。センターでハイタッチしながらすれ違うふたり。


「アンコール呼んだからには、飛べるんでしょうね!」って、クラブとか行ったことはないけど、とてもクラブ然とした抑揚を付けて煽る熊谷さんがカッコいいのなんのって。

心地よいフロウを耳にして、思わず身体が動いちゃうから、Oceanじわじわハマってる。乗るための曲。ラップ歌ってる熊谷さんもよく考えたら新鮮だし、石川さんの低音の歌声は無性に甘くて困っちゃう。Ocean、好き。

石川さんが「大丈夫」って優しく微笑むのを知っているから、そのタイミングの直前で、徐に熊谷さんに近寄っていく姿を見てちょっとどきどきしちゃった。もしかして、熊谷さんに向かって大丈夫って至近距離で囁こうとしているの?って。フロアに向けて微笑まれたおかげで、私の理性は保たれた。

散々ジャンプさせられ、最後の最後、無限に続くかと思う飛び跳ねタイムの前に「脚が痛くても飛べ!心臓の動く限り!」って独特な抑揚で煽る熊谷さん。容赦ないけど、はじめてのクラブ体験したみたいな気持ちになりました。

「Club なんばhatchでした」


石「大阪のアンコール(テンポが)はやいわ。裏でふたりでシンクロしたもんな、はっや、って(笑)」

熊「(エンドロール終わって)そんなすぐ出てこれるわけないやろ!ばーんってあんだけTOKYOって出したあとに!(笑)」

地域差って面白いなあ、って思いましたまる。


石「まあ、でも、またすぐ青信号なるよ。終わりがあるから始まりがあるって誰かが歌ってたやん」

熊「歌ってましたねえ(歌ってる本人)」

石「でもあれか…またツアー回るにもねえ、いるでしょう、あれが」

控えめにお金のポーズする石川さんを合図に、どこからともなく流れ出す、make money money make money。もしかしたらもういっそ、私たちの脳内で鳴っているのかもしれない、洗脳曲。お待ちかねの教祖廣瀬様のご登場。

もう廣瀬さん、デフォルトで2色買いさせようとしてくるから、優秀。廣瀬さんが、フロアを見渡してちゃんと買ってるか確認している間、「やばいやばい」「隠せ隠せ」「目ぇ合わせるな」「逸らせ逸らせ」って熊谷さんが小声で茶々入れてるの笑っちゃう。

センターでの物販紹介は廣瀬さんに任せて、上手に動いてはタオル持ってるか確認、下手に行ってはラババン持ってるか確認、ってしてる石川さんのジェスチャーだけで行う客席とのやり取り、なんか既視感あるなあって思ってたけど、あれです、2.5次元の舞台観てるときの光景に似てる。「タオル狩りやめろ(笑)」って熊谷さんのツッコミ。「無理のない範囲でね」って優しさもみせる熊谷さん。

ラババンに至っては、会場限定カラーの青は売り切れたけど、通常カラーの黒は残ってるから「2色持ってくれてるひとは結構いるけど、まだ在庫あるから、追加で黒4色購入していただいて、黒4青1がいいと思います」と教祖様仰っていました。黒4色ってなんですか。仰せのままに。


楽しい楽しい物販紹介を終えて、ツアーのアフタートーク。熊谷さんが、折角作ったOP映像、今日が見納めなのは寂しいから、もう1回観ようって提案して、スクリーンを下ろすようにお願いした。とても嬉しい提案。それもメンバーによる解説副音声付きのプレミアム。

今回はじめて、3次元の映像を作ったこと。制作は廣瀬さんで、毎日のように熊谷さんとやりとりをしていたこと。さすがに大晦日は既読無視した熊谷さん。

線路を進んでいく演出はなんだったか何かしらのゲームの名前言ってた、そのEDをイメージしていて、配信ライブの映像が纏うキラキラは、愛の不時着をイメージしているって制作秘話。進むスピードとか、キラキラの量とか相当細かくふたりで詰めながら制作したこと。その間の石川さんの役は、試作映像を確認して、ちいかわのスタンプでぺこりって、いいですね!を送ること。これが冗談じゃなく重要で、制作目線ではわからなくなる作品の良し悪しの判断を客観的にしてくれる存在は大きいし、肯定されると単純にとても力になるってお話。

何度も「回り道した」って言いながらも、「順調に進んでたらこれまで通りのことをするだけで、3次元の天空には辿り着けなかった」っていう意味を込めた演出であることを話してた。

「正直かなり、赤に近い黄色信号でしたけど、このTOKYOを皆さんに見てもらえてよかった」って、思い入れ深そうに語る熊谷さんを見て、ファイナルを迎えられて本当によかったなって改めて思います。

プレオープンの映像のタイミングで、料理店も延期中であることにも触れ、払い戻しについては、また困らせてしまっているなあと少し申し訳なくも思ったけど、でも私は思った。本当にキャパ調整したくて払い戻しを求めるなら、強制的に再抽選にするとか、方法はいくらでもある!と。どんな日程でも絶対行く気でいるから意地でも払い戻ししない気持ちをあなたたちが汲んでくれる、その優しさだから、これは謂わばお互い様よ、って思ったら余計に好き。本当にありがとう。

TOKYOをバックにジャジャーンって両手広げる以上の快感がこの先ない気がして心配してる熊谷さん、さっきまであんなに堂々として佇んでたのに、急に小さくなった気がして愛おしいなと思いました。

それほどの快感と思い入れを持った作品も「大事なことを言い忘れていました。あなたたちに聴いてもらってはじめて完成する」って、穏やかな声音で言葉にしてもらえることの幸せ。

 

もはや記憶尽きた。どうやって繋がったか思い出せないけどアンコール2曲目、ヒカリアレ。手拍子が曲を追い越していきそうなのも、彼らを求めて求めて仕方ない私たちの鼓動の速さなんだと思う。何にせよ、言語化できない、はちゃめちゃにカッコいい、ヒカリアレ


最後の最後、ツアーTOKYOを締めくくるのは、セツナヒコウキ。大好きな曲。

「此処にいたら僕ら乾いていく」

「精一杯君は何か歌ってた」

「いつも明日照らすのはあなたの笑顔と無限大の群青」

距離も時間も、どれだけ離れようと、今日のことを糧に、また逢える日を希望に、日常を生きていける気がした。


無人のステージの上、スクリーンに映像。記憶にある歓喜のどよめきが脳内再生された、懐かしい感覚。Private Jet 🛫from ZEPP HANEDAだって!!!!!最後の最後に、嬉しいサプライズを残しているところもにくいなって、思います。

 

この日を迎えるまでに存在した、全ての人のすべての決断に、本当に心からの敬意と感謝を込めて。

 

OP:2020年渋谷の旅
01.Good Morning World!
02.ロザリオをはずして
03.エレベーターガール
04.Love is Action!
05.世界は愛で満ちている
06.邪教・拝金教
-緊急特別企画 LINEトーーーク-
07.(仙台)ハイスコアガール
07.(新潟)Ocean
07.(愛知)SPEECH
07.(東京)Love is @ U.F.O
07.(福岡)BREAK DANCER
07.(広島)Melodic Surfers
07.(大阪)Dream On!!
-MC-
08.模範囚
09.逢いたい逢えない
-MC-
10.BLIZZARD
11.銀世界
12.PHOENIX
13.FLY HIGH!!
14.Hikousen

en1.Ocean
-邪教入信会(グッズ紹介)-
en2.ヒカリアレ
en3.セツナヒコウキ