Good Morning [New] WORLD TOUR 2023 in Singapore

memo.

 

BURNOUT SYNDROMES

Good Morning [New] WORLD TOUR 2023 in Singapore

2023.10.13(金) @Gateway Theatre

 

熊谷さんの衣装、最近お馴染みの派手柄シャツは前フルオープンで、羽織り物として着てた。モノクロのタンクトップと薄い胸板が遂に顕になってました。でも不思議と、チラ見えよりは背徳感がなくて心穏やかにいられる気がします。途中、シャツの裾がギターに被って、ぐっと掴んでがっと仕舞うその荒々しさ、思わず微笑みたくなる。衣装と格闘する熊谷さん、そろそろ馴染みの光景になりつつあるのでは。そんなところもきゅーとだと思います。

 

最初の曲、Good Morning World!。丁寧に、でもちょっと荒々しく袖を折り曲げて腕まくりしてからのこの日最初のギターソロ。

ドラム前に集まって、3人向かい合って演奏するあの至福の瞬間、熊谷さんのスタンドマイクの横に立てられた英語MC用のカンペがちょうど私の良好な視界を阻む。綺麗に熊谷さんと重なって、あ…盲点…ってなっていっそ笑ってしまった。後ろのひとの視界は遮らないから…どうか許して…と蹲み込んで漸く、スタンドの隙間から捉えられた姿。私のなかにあったできるだけ多くを見届けたいという想いは、どうやら当初よりずっと太々しく育っているらしかった。できれば、片時も見逃したくない。

 

ヒカリアレ、エレベーターガールを経ての、最初からフル英語のMCでのメンバー紹介。廣瀬さんのMCが、「I'm looking forward to」からはじまって、ちょっと変えてきてるーと思いました。熊谷さんの問いかけに、ドラムで応えるやり取り、めちゃドラマーでそわっとした。そういうの、好き。

 

メンバー紹介を終え、次の曲へと繋ぐMC。熊谷さんが、三味線を知っていますか、とフロアに問いかけて、弦が一本二本三本とある叩いて演奏する楽器だ、と説明した。「べんべんべんべん」って三味線の音色を擬音で再現する熊谷さんがとてもきゅーと。その声がとてもいい声で、音色を弾ませる再現度が高くて、無性に好き。

そんな三味線のアニメ、ましろのおとの主題歌が2曲ある、と、まずはBLIZZARDへ。脳内で韓国での最高に超カッコいいサビ入りがチラついて、期待を込めて見つめた。頭上指差したままの力強い指先も、カッコよくて好きだなあ。

2番間奏ギターソロ前、美しくシルエットを浮かび上がらせる薄暗い照明が、熊谷さんの緩慢な動作の妖艶さを引き立てた。来るその瞬間は、まるでスローモーション。事実、ゆっくりと恭しく、ギターのボディーに唇を寄せたその姿の引力は凄まじい。吸い寄せられるように、食い入るように見つめてしまう。この魅力からはどうしたって逃れられないと思う。

 

続いてもう1曲ましろのおとから、銀世界。この曲の真っ直ぐに応援歌なところ好き。軽快な足取りで前へ前へと進んでいく力、走り続けるその姿が春と一緒に私たちも連れて行ってくれる。

2番のたぶん、音すら凍る氷点下、の部分、歌ってる熊谷さんのその隣に石川さんがいて、両手ひらひらしながら石川さんに雪を降らすみたいなアクションで手を差し伸べてたの、はじめてのアクションだった。

 

そのまま、和の雰囲気を引き継いで、鳴る祭囃子で、若草山スターマイン、からの、The WORLD is Mine。そして、見慣れぬ転換。

センターにシンセサイザーとラップトップが設置されて、下手にもシンセサイザー。未だかつてないセッティングに、もう、もう、あの曲しかないよね?!ってドキドキしながら明転と熊谷さんが話し出すのを待った。

新曲がある、先週リリースしたばかり、今日のために仕上げてきた、と英語での曲振り。「for Singapore.for you」と現地を盛り上げて、「you」「you」とフロアを指さしていく、初披露の特別感に、頬が緩む。

「Do you know KUNOICHI?」と尋ねて、わかるわかると反応するフロア。それを確認して、さらりと呟いた英語のひと言。聞き取れないし和訳できないけど、準備が無駄になったな…ってニュアンスに感じとれる、あのアメリカンジョークみたいなノリ。余裕のある感じで、困ったな、って眉を上げる反応がとっても英国感あって心を擽った。英語のMC、クセになりそう。

せっかく準備したから聞いてくれと言わんばかりに、続くくノ一とは?の説明。ナルトは忍者、サクラがくノ一。この説明で通じてしまうのは、日本のアニメが共通言語として成り立っているということで、それはとても凄く、誇るべきことだ。

初解禁されてから、飽きることなく延々と聴き続けて、もはや耳に馴染んだKUNOICHIのメロディが流れるシークエンスと、いま目の前でそこに音を重ねているシンセサイザー。熊谷さんの指が鍵盤の上を踊っている。その打鍵に従って赤、青、緑、と鍵盤が光るのはまるで、彼の指先が七色の光を操っているようで蠱惑的。

どこか淡々とくノ一パートを歌うその姿から一転、落武者パートになるとスッとスタンドからマイクを抜き取り颯爽とステージの前方に踊り出して歌う。悩ましい歌詞と大好きな歌声。

ラスサビは、右手でシンセを奏でながら、左手で上下左右に腕の曲げ伸ばしも加えてフロアを煽る煽る。途中、綺麗な手が滑らかに鍵盤の上を滑った。嗚呼!熊谷和海のグリス!!!まさか、まさかさ!ピアノを奏でる熊谷さんを拝める日が来るなんて、そんな想像したことなかった。どうしたって心躍ってしまう。

これまで石川さんがシンセ弾いたり、ギター弾いたり、リコーダー吹いたりと対応してきたけど遂に、熊谷さんまでもが、ギターを置いて歌う、どころか別の楽器を奏でるようになったんだなあ。BURNOUT SYNDROMESに定型はなーい。好き。

KUNOICHI、かつてないほど熊谷さん忙しい気がしてそわっとしてしまう。ステージ上で推しが忙しそうにしてると無性にそわっとときめきで微笑みたくなっちゃうの何故だろう。きっと性癖。

 

BURNOUT SYNDROMESだけでのKUNOICHI初披露を終えて、MCに突入と思ったら、何かを間違えたらしくて「sorry」って言いながら仕切り直し。日本で有名なのは忍者だけじゃない、ゲームも有名だ、と話し直した熊谷さん。あ、そっち?と頭に浮かんだ疑問は思わず声に出ていたかもしれない。そこに困り眉を携えた笑顔で徐に近づく石川さんが、それはもっと後…って英語で言いながら、熊谷さんのMC用iPadを指さしていた。「Long setlist…」って困り笑いをしながら言い訳する熊谷さん、かわいい。

 

忍者以外に日本で有名なもの、本来の段取りに戻っての、「侍」。銀魂の曲として、花一匁。花一匁のさ、くるくるとスピンした勢いのまま弾き切るギターソロ、まるで鋭い太刀筋の様でカッコいいよね。好き。

 

どこの曲間か忘れちゃったけど、暗転中、フロアから飛んだ比較的野太い「I love you」に勿体ぶったような丁寧さで「I love you,too」って返すのもう、扱いも扱われ方も、超スター!って感じで、わくわくしちゃうね。海外は、お客さんもメンバーもノリノリだ。

 

「日本には忍者侍以外にも有名なものがあります」って、ここで!さっき間違えたとこはここです!ってニュアンスを含ませながらの「ゲーム」って紹介。そのニュアンスが伝わってふわりと笑いが起こる和やかな雰囲気、とてもとてもいい。

「Do you know “KONAMI CODE”?」と尋ねたけれど、芳しくないフロアの反応に、コナミコマンドとは何かの説明を続ける。「up up down down left right left right A B」の丁寧な説明。瞬時に対応するシンガポールのお客さんを見て「知ってんじゃん!」みたいなニュアンスで「You know」ってさらっとその場で返しちゃう感じ、えーーカッコいい、好き。

演奏と合わせて、丁寧なコナミコマンドダンスの練習。こういう丁寧さ、好きだな。例え知ってるだろうって雰囲気だろうとちゃんと全員に最初から参加して楽しんでほしいから、って優しさだと思う。BURNOUT SYNDROMESのライブはとても優しい。

そんなコナミコマンドを盛り込んだイントロのダンス、普段より長く続いたイントロに、海外は、ダンス覚えてもらう為にちょっと長めにする優しい仕様なんだなー、なんてその場では感心してた。ライブ後の擦り合わせで、私たちの感心は見当違い…って笑いながら思った。でもそれ以上に感心しちゃうような凄いことをさらっとしていたという真相を知って、今日もBURNOUT SYNDROMESが大好きだなあって思った。バンドって、凄いね。

ラスサビ前辺り、上手に躍り出た熊谷さんが大きなアクションで左!右!とコマンドダンスを煽っていく、その動作、力強く俊敏。カッコいい!

 

ハイスアガールの演奏を終えて、静かにステージを去るフロント陣ふたり。ステージのスクリーンには、匣体をプレイする少女。そのイラストの間に挟み込まれるセンテンスが、次の曲を仄めかす。〈ひとは、BURNOUTした分だけ成長する。何度挫けても立ち上がれ。あのバレーボールアニメのキャラクターたちのように。PHOENIXのように〉そんな内容で、フロアを熱気に包んだ。スクリーンのイラストのブロンズ三つ編み少女が、リプレイの為の硬貨を握り込んで、固く握り締めた拳を高く掲げてはじまる、PHOENIX

「羽ばたかぬ人生なんて」で、両手を広げたままゆっくり旋回する仕草が、飛行機みたいだった。彼らもそして私たちも、同じように飛行機に乗って空を渡ってここまで来たもんなあ、ってなんだか感慨深くてくすぐったかった。

シュッッシュッ、シューッ、シュッの左右左のシャドーボクシング、毎回ちょっとずつ違う。みんな違ってみんないい。大好きなとこ。そもそも、好きじゃないとこがないんだよなあ。

 

畳み掛けるようなMelodic Surfersから、 FLY HIGH!!。この曲が、シンガポールにまで連れてきてくれた。あなたと出逢えた大切な曲。フロアの熱気。異国シンガポールの空気がもう完全に、いつの間にかとっくに、BURNOUT SYNDROMESだけのものに置き換わってた。

 

スクリーンに映し出された素朴な男の子の添乗員が、旅の終わりを告げている。このイラストの口、こんなにちゃんと動いてたっけ、って映像の細部への拘りに、自分の曖昧な記憶力を反省しながら、最後の曲、Hikousen。

 

メンバーがステージを去って、ホールに鳴り響く手拍子とアンコールの声。幾分かの時間が過ぎて、なかなか現れないメンバーへの焦ったさからか、日本人アーティストへの気遣いからか、不意に英語の発音のアンコールが、「もう一回!もう一回!」のコールに変わった。チャンチャチャンの手拍子と共にホールを埋める、日本語でのアンコール。英語じゃ伝わらないと思ったのかな、って想像したら、なんだかとてもおかしくて、微笑ましくて、愛おしい状況だった。

余談ですが、このとき私の脳内では、日向が「もう一回がない試合だ!」って叫んでいた。本来試合にもライブにももう一回なんて存在しないんだよ、って得意げに思いながら、もう一回!もう一回!ってコールをしてる矛盾が余計におかしくって、愛おしい。

 

ホールを埋める手拍子とコールに、波飛沫の音。現れた熊谷さんと石川さん、2人揃ったハンドマイク。曲はもちろん、Ocean。

 

最後の曲に向けて、チューニングをしながら「サプライズだった」って英語で話しはじめた熊谷さんが、「もう一回!もう一回!」とコールを再現しながら膝を打つ姿、そーきゅーと。やっぱりどこか微笑ましい感じだったよね、あのコールね、「Thank youuu!」って締める、そーきゅーと。

 

最後の曲、Good Morning [New] World!。世界に羽ばたいているいまの彼らにとって、とても大事な曲。バックスクリーンに流れていたMVの映像が、彼らの姿に重なった。

 

——新しく書いた歌をカバンに詰めて

——飛行機のタラップを駆け上がる

 

世界に飛び、立つ、いままさに目の前にいる彼らの姿とリンクした熊谷さんの文章が、歌が、不意に視界を滲ませる。

 

——世界が私を待っている

 

ああ、その通りだ。こんなにも大勢のひとたちに待ち望まれて、いまこのホールに立っている。きっとまだ各国でこんな風に、彼らを待ち望んでいるひとがいる。その事実のスケールがとても大きくて、希望と絶望が同時に存在するような心地がした。世界に求められる事実が眩しければ眩しいほど、日本国内でのライブはきっとこの先も多くはない。それでも、世界に挑んでいく、一直線に、進むことはやめない、そんなBURNOUT SYNDROMESもカッコいいと思うから、大好きだから、そんな姿をできる限りこの目で見届けたい。いつか彼らが辿り着く海がどこなのか、私も知りたい。世界を拡げたい。

フロアに向けてグッドサインを残して、身を翻す熊谷さんの姿が、ああ、とても、カッコよかった。

 

集合写真も終えて、ステージを後にする最後の最後まで、丁寧に丁寧にありがとうとThank youを重ねて、いつもより幾分か長い気がしたその時間。もしかしたらあれは、初のホールワンマンの熱狂の景色に心揺らしていたのかもしれない。その景色が、彼らのこの先の航路を照らす南十字星でありますように。

 

01.Good Morning World!
02.ヒカリアレ
03.エレベーターガール
MC
04.BLIZZARD
05.銀世界
06.若草山スターマイン
07.The WORLD is Mine
MC
08.KUNOICHI
MC
09.花一匁
10.I Don't Wanna Die in the Paradise
MC
11.ハイスコアガール
12.PHOENIX
13.Melodic Surfers
14.FLY HIGH!!
15.Hikousen

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