"the meaning of life" TOUR 2022 名古屋公演

memo.

yama

"the meaning of life" TOUR 2022

2022.10.04(火) @Zepp Nagoya

 

開場時刻から数十分、足を踏み入れたZeep Nagoyaのフロアは想像以上のひとで埋まっていた。どの辺りに行こうかとぐるっと全体を見渡す傍らで、幅広い年齢層がフロアを埋めているのが見て取れた。もしかしたら、男女比さえもほとんど均等だったかもしれない。普段足を運んでいるライブの客層とはどこか異なる空間と、不意に聞こえてくる「ライブハウスってこんな感じなんだ」っていう会話にじわっと心が躍った。何だってはじめての経験には、少なからずの緊張と不安が伴って、行動を起こすためには特別なエネルギーが必要だと思う。そんな特別なはじめてに踏み切らせる、そういう魅力が、yamaってアーティストにはあるんだってことを間接的に知らされたような気がして、心躍った。

 

フロアに流れるBGMの歌詞を耳で拾いながら、気になる曲を検索して過ごした開演までの時間。TOOBOEの心臓がカッコよかったなあ。夜のために、が流れていて、なぜACIDMAN?と不思議に思っていた、その選曲の理由は、公演中のMCで判明した。そうやって、BGMの選曲にyamaと繋がりを見つけながら、楽しんでいた待ち時間。ふと止んだ音が告げた、開演。フロアの明かりが消えると、どころかともなくはじまった手拍子は、yamaの登場を渇望してるようで、熱狂的だった。華々しく劇的にyamaの登場を演出するように、はじまった1曲目、桃源郷

01.桃源郷
02.MoonWalker
03.a.m.3:21
04.ないの。
05.存在証明
06.マスカレイド
07.スモーキーヒロイン
08.Lost
09.光の夜
10.Oz.
11.ライカ
12.春を告げる
13.麻痺
14.くびったけ
15.それでも僕は

en.真っ白
en.色彩
en.世界は美しいはずなんだ

yama @ Zepp Nagoya (愛知県) (2022.10.04) | ライブ・セットリスト情報サービス【 LiveFans (ライブファンズ) 】

「ここからはダンスチューンが続きます」って、a.m.3:21、ないの。、存在証明。「ここにある音だけに身を任せましょう」的なことも言っていたターンがあったような、ないような。曖昧記憶と超絶ニュアンス。

 

「名古屋は、キャンペーンで来ていたりしましたが、ライブは、前回のACIDMANとの対バン以来で、そのときはまだ、ひとりで楽しむ音楽しか知らなかったから、ライブの楽しさもどうやって楽しんでもらったらいいのかも分からなかった。ACIDMANとの対バンで、彼らのライブを見て、なるほど、こういうことか、と。そのときはじめて知った」

 

「時が経つのは早い」って語りながら突入した、あっという間の後半戦。yamaを一躍有名にした曲、春を告げる、からノンストップで繋いだ、麻痺。この流れ個人的にもフロアの歓喜の反応的にも激熱でした。知ってる曲が、ライブならではの輝きで鳴り出した瞬間、好きがもっと深くなる瞬間、大好き。身体が動き出したくてうずうずして、気づいたら夢中でステージに向かって手を伸ばしている。わたしこの曲こんなに好きだったんだ!ってライブで改めて気づくみたいな瞬間、特別だと思う。

 

「わたしは、人前に出ることが、怖くて。でも、いつかは大好きな音楽を広めていきたいと、少しずつ、ゆっくり準備を整えていたところだったんですけど、ありがたい事に春を呼ぶが有名になって、無名の頃からお世話になってる担当に、やっぱりこの流れには乗るべきだと思う、と言われて」「前回のツアーではじめて有観客のライブをしたんですけど、ほとんど俯きながら直立不動で歌っていて、必死に余裕のあるように振る舞って、それはスタッフさんに対してもメンバーに対しても、みなさんに対してもそうで、自分はこんなに拙い人間で、でも前回のツアーの名古屋で、大阪の次だったんですけどSEのときに拍手が起こって、そんなことははじめてで、その温かさをとてもよく覚えていて、こんな拙いわたしを温かく迎えてくれる愛に、お返しをしたい」

涙ながらに言葉を詰まらせながら、それでも丁寧に丁寧に紡がれた言葉。率直で等身大のその想いが胸を打った。

 

はじめて作詞作曲した曲として紹介された、それでも僕は。なんて優しい歌声なんだろう、って思った。直前のMCで語った想いと一緒に身体に優しく流れ込んでくるような、温かい歌声。


アンコール1曲目は、日替わり曲らしく、SNS投票の結果、真っ白。2曲目に、色彩。アニメSPY×FAMILYのEDに起用されたことを喜びと共に語り、「大好きな作品で、決まったときとても嬉しくてずっと言いたかったけど、放送日のサプライズだったので…、当日みんなが喜んでくれてて嬉しかった」と話した姿が愛らしい。続けて、公開されたばかりのMVでのダンス初披露について、「色彩のMV見てくれましたか?」ってちょっと恥ずかしそうにフロアに尋ねる姿もとても愛らしい。その傍で、バンドメンバー揃って、見たよーって挙手して主張してるのも愛らしい光景だった。顔見合わせながら、MVのなかのダンスし合ってるのも愛らしい光景だった。


最後、「明日だけでも、明後日だけでも、頑張ろうって思えるように」とはじまった、世界は美しいはずなんだ。青色に染まった空間に、眩く放射状に伸びる白い光。その光はまるで、yama自身から放たれる輝きのようにも見えた。「自分のことをずっと出来損ないだと思っている」と何度も何度も自身のことを「拙い」と表現したyamaが、性急に訪れた流れに応えようと、苦手なことにさえ立ち向かって精一杯、不器用でも直向きに、そんな懸命な姿から放たれる輝き。その光はどこか不安定で、でも燦爛たる輝きを放ちながらyamaはステージに立っていた。あの輝きがきっと、観るものを惹きつけ、そして勇気づけるんだと思う。あなたが頑張っているからわたしも頑張ろう、と心の内でそっと、でも確かに噛みしめて決意させるような、そんな存在が、わたしの目に映ったyamaでした。