Because of you 名古屋公演

memo.

ラックライフ presents TOUR 2023

Because of you

w / SUPER BEAVER

2023.02.25(土) @BOTTOM LINE

 

 

 

 

 


SUPER BEAVER

 

01.名前を呼ぶよ
02.閃光
03.美しい日
04.ひたむき
05:irony
06.人として
07.東京流星群
08.青い春


「2023年既に名古屋3公演目です。露骨に愛情表現してます」って、名古屋を大歓喜させるぶーやんの言葉。

 

閃光の歌い出し、歓喜でざわざわしてるフロアに「しーっ」って人差し指立てたぶーやん美しすぎたし、そこから生まれる静寂はあまりにも贅沢だった。黙ることを選べるって状況が目頭を熱くするし、私は、ライブハウスで起こるこの静寂が堪らなく好き。こういう空気感が堪らなく好き。そこから存分に空気を振動させるぶーやんの歌声だけが響き渡る、震えた。

 

「長く続けてきたからこその成果を見せたいわけじゃなくて、積み重ねてきた先にあるいま、何ができるか」って、お話。いろんな状況を考えて、音楽よりも優先するものができたとき、「音楽家はあなたの前から居なくなると思うのね。音楽家なんて大層か、バンドマンはね」それが大好きなひとたちの生活や幸せに必要な選択なら、どこかで元気で居てくれるのならそれでいいと思う。選択肢は無限にあるなかで、それでも、「4人で音楽をしてきたけど、あなたとする音楽が楽しいと気づいてしまったから」続けることを選び抜いてきた積み重ねにある、今日。

 

「声が出せるようになった、もうすぐマスクも外れるかもしれない。そうなってから目一杯やろう、じゃなくて、いまできる目一杯を」ってフロア煽りに煽るぶーやん。何度も何回も「それが本気?」って楽しそうに、声も手拍子も求めてくるのが堪らなかった。

 

求められるままに、高々と両手を掲げて待ち構える、美しい日のバンズクラップ。フロアを指差してそこ挙がってないよ、って指摘してたり、いいじゃんって納得したように頷いてたり、ぶーやんのそんな所作全部が輝いて見えたしオーラが迸っていた。SUPER BEAVERをこんなに至近距離で目撃できる機会なんてきっとないから、ラックライフはほんと凄いことをしてくれたなあって。

 

歓喜の衝撃って、普段から乏しい記憶力なんていとも簡単を無力化してしまうんだけど、故にどの曲とか思い出せないんだけど、ぶーやんが柵に足掛けて、フロアに乗り出してるの恐ろしいくらいの至近距離でした。自分がいまものすごく乙女みたいな顔してる気がしてなんだか恥ずかしかったし、フロアのメンズの拳とグータッチしてったの、思わず黄色く叫んでしまった、仕方ない。あれはもう腰砕ちゃう。

 

本当に色んなものが戻りつつあって、私たちにとってのあの頃の“普通”を咎められることがない。それを全力で、フロアと一緒に、堪能してるみたいなSUPER BEAVERの姿が圧倒的に輝いてた。カッコよかった。

 

興奮で押し寄せるようなフロアにちゃんと、いろんなことが元通りになってきても、自分の欲だけを優先させないで、隣のひとの安全も守ることを忘れないでねって、モラルを守って楽しんでねってフロアを真っ直ぐ見て投げかけられるところ、カッコいいと思う。

 

「対バンってなんで呼ばれるか知ってる?この後出たくねぇぇぇって思わせる為。もうひとつのバンドのがカッコいい!って思わせる為。そしてそれが、できちゃうんです。でもちょっとさ、自信がないところもあってさ、その分は、あなたに補ってほしい。そしたら次出てくるラックライフはもっとカッコよくなるしかないでしょ?ラックライフの最高を引き出しましょう!」ってMC。はちゃめちゃにカッコよかった。悪戯っぽく飄々と「できちゃうんです」って言い方が可愛くもあり超弩級にカッコよくもあり、舞い上がった。これを言い放てるほどラックライフへ寄せてる信頼とか、「友だち」って関係性とか。対バンって最強だなって。

そこから紡いだのは軽快なラブソング、irony。肌に馴染む、個人的最強ラブソング。あえて言えば独占欲。

 

超絶ニュアンスだけど、「俺らはあなたに、届ける。あなたの先に居るあなたの大切なひとにまでは届けられないから、あなたが届けてほしい」って、いまここにいる私たちのその先の大切なひとにまで、私たちの日常にまで、繋いでくれる、人として。

 

あと、フロアからの強めの藤原さんへのラブコールに「親の仇でもきてるの?今日首取られるんじゃない?」ってぶーやんが反応してたの愉快でした。

 

 

 

ラックライフ


一旦聴きはじめたらリピート再生必至な大好きリフレイン。序盤でなんか音変って思った瞬間に、生駒さんがどこか訝しげな顔して身を屈めてエフェクターと睨めっこしてたの、答え合わせしたいなあ。気のせいかもしれないけど。

 

高知の高松DIMEで対バンしたのがラックライフSUPER BEAVERの出逢いだったらしい。「カッコよくて、めっちゃ年上なんだと思ってたら、おないと一個上のバンドでした。ただの老け顔4人でした。ドラムなんてあの頃から変わってません。きっと小4から変わってません、小4から髭生えてました」ってフロアを笑いで包むPONさん。

 

PONさんが自分たちのことを「あなたのおかげで続いてきたバンド、あなたの“所為で”続いてしまったバンドです」って説明するの、好きだなって思う。

 

「さっきぶーやんも言ってたけど…ぶーやん同じこと言い過ぎやねん」って、ラックライフSUPER BEAVER、歩んできた道は違えど、若き日を共にした旧友として、通じ合うところがたくさんあるんだろうなって思う。こんなにも“あなたのおかげで”ってサブタイトルが似合う対バンきっとないから、言いたいこと似てくるのもそりゃそうよ、って思っちゃう。そんな状況を嬉しく思う、特別な対バン。

 

PONさんは、3人めのメンバーとしてKinKi Kidsに入るのが夢だったらしい。「苗字上野やのに(笑)」って、当然なれなかったことを笑いに変えた。「俺たちは高校で出会って、上野と大石やから席前後やねん。後ろの席に真っ赤なインナー着て前全開な奴が横向きに座ってて、こっわって思ってたら、『軽音部行かん?』って声かけられて、カツアゲってこうやってはじまんのかな…って」「机6個くらい並べてその上にドラムセット置いて、簡易ステージがあって…いま思ったらめちゃ危ないな。絶対やめてほしい(笑)。そこで、俺の高校生活はこの部活に捧げるんやって決まりました」

「いこちゃんとは、ホームルーム委員やってんな。そこでも席前後で、隠れ軽音部員やったいこちゃんと出会って」バンド組もうってときに、好きな女の子をボーカルにして勝手にバンド組んでた大石さんの話をしながら「この話いる?俺らの馴れ初めの話」ってちょっと不安にるPONさんだったけど、フロアの答えはもちろん、要る、だ。あなたたちを好きなひとが集まる空間なんだから、そりゃあ聞きたいさ。 「ほんで2年生よ。友だちも増えるわけやん。そのひとりがこのひと」って拓さんのことを指して、はじまる小芝居。

P「え?自分軽音楽部なん?」

拓「そやでー」

P「楽器とか何してんの」

拓「あー、ベースやろかなって思ってる」

P「ほんま?ちょうどベースおらんねん」

拓「おーほならやろかな」

そうしてはじまったラックライフがいま15周年を迎えている話。

 

「なんかある?」ってPONさんに振られた拓さんが「最近こういう突然の無茶振りしてくるから、何も準備してないと思ってそういうつもりで聞いてほしい」って話しはじめた、「MVとかの衣装合わせのとき、俺が着た衣装をそれええやんって持っていくから、いつもパンイチで待つことになってる。あれやめてほしい」って言ってた。PONさん曰く、「拓ちゃん中肉中背だから何着てもかわいくて似合ってみえる」から仕方ないらしい。ひと通り乗っかったあと「その話題ならもっと面白く話せたはず」ってダメ出し。厳しい。

 

大石さんが「ビーバーのこと、言わせてください」って話しはじめた想い。SUPER BEAVERとは本当に古くからの仲で、メジャーデビュー前から再メジャーまでの軌跡も全部知ってる。先を走っていく姿に、負けたくないと思っている、と「俺あんまり心折れたことない」って話す傍らで「振られたときくらいやな」ってPONさんから、「めっちゃ泣いてた」「原付に乗ってこう(体育座り)やって」って暴露されるの、付き合いの長い友だちって感じ。

「いまは俺たちの実力不足もあってなかなかできないけど、あの頃から続いているバンドっていうのは本当に少なくて」って話を聞きながら長く続けている彼らと、道を分つ仲間がどれだけいたか、想像した。そのなかで未だにこうしてステージを共にできる仲間がいることの感慨深さみたいなものが、大石さんの言葉から滲み出てた。諦めるタイミングも辞めるタイミングもきっといくらでもあった。それでも続けることを選び抜いてきた彼らだから、通じる想い。数少ない当時からの仲間へ特別な想い。

 

「会えるときに会いに行こう、ってあんまり好きじゃないねん。そんな、居なくなることが前提みたいな…」って、紡ぎはじめたPONさんの言葉に喉が熱くなった。「大事なのは、あなたはあなたを幸せに、俺は俺を幸せにすること。あなたを幸せにするのはあなたしかいない。俺は俺を幸せにするよ。誰もやってくれへんから。俺の幸せは、ここで歌うこと」

「長生きしよな」って、「今日はこの曲ではじまってこの曲で終わるよ」って、PONさんの声がとても優しかった。SUPER BEAVERの名前を呼ぶよで幕を開け、ラックライフの名前を呼ぶよで締めくくる、あなたと作る音楽がいまの幸せだと言ってくれるバンド同士の対バン。

 

私たちは決して、あなたたちがいつか居なくなると決めつけて怯えるようにいまを大切にしようとしているわけじゃない。強い想いと覚悟で続けることを選んできたラックライフのようなバンドに、SUPER BEAVERのようなバンドに、その場所で輝いていて幸せそうにしているあなたたちに、会いに行けることがただ幸せなんだ。私は私の幸せの為に、ここに居ることを選んでる。

いつもは、ラックライフ観たあとには、ポンさんポンさんポンさん!って好きって感情が大放出されるけど、この日は、嗚呼好きだなあって、ぎゅっときつく抱え込んで噛み締めた。

 

それでも、どれほどの覚悟を抱えていようとも、誰も望んでないにも関わらず、別れは不意に訪れる。どうしようもなく現実であり誰にとっても事実だ。そんなときあなたはどうするのか、と、だからこそ“いま”あたなはどうするんだ、と投げかけられている気もした。ラックライフは、SUPER BEAVERは、自分たちの答えを示した。積み重ねてきたたくさんの出逢いと、別れ、選択の先に存在するいまの彼ら。それを目撃できたことが、この対バンの特別だったと思う。

 

あなたはあなたを幸せに、私は私を幸せに、その幸せが交わるこの場所で、何度だっていつだって会えるように、長生き、しようね。大切なひとの大切なひとまで須く、どうか末永く健やかでありますように。

 

01.Hand
02.リフレイン
03.サニーデイ
04.Naru
05.初めの一歩
06:理想像
07:風が吹く街
08:しるし
09:アイトユウ
10:℃

en.名前を呼ぶよ