Lover's Tour 東京編

ココロオークション

Lover's Tour Final

2022.12.16(金) @新宿Marble


はじめて足を運ぶライブハウスに、緊張で落ち着かなくてそわそわしちゃう感覚がとても懐かしかった。看板に「B1 新宿Marbel」って書いてあるのに地下に続く階段が一向に見当たらなくて、挙句、スタッフらしきひとに確認したら「地下ありませんよ?」って言われたときの私の混乱よ。隣の建物でした。


Marbelの建物を目にして、ROCK'N'ROLLよりもよっぽど、アンダーグラウンドな雰囲気を漂わせたライブハウスだなあって思った。ド派手にペイントされた壁に、正真正銘、地下へと降りていく階段。これがココロオークションのワンマンライブじゃなかったらきっと、もっと雰囲気に気圧されて緊張してたんだろうなって、いまになって思う。


開演して、馴染みのSEが流れ出して、メンバーが現れるのをいまかいまかと待ち構えるフロアの手拍子。登場した井川さんが、マスク外すの忘れたわーってしてて可愛かった。楽屋にぽいって投げてた、可愛かった。


1曲目、流れ出した煌びやかなSEから井川さんのフォーカウントではじまる、ミルクティー。続いて、井川さんのカウントで繋ぐ、星座線。季節感に溢れた冬の歌。テンメイさんが手拍子を煽って、軽快なリズムが即座にフロアを埋める。「君の生きてるいまが 誰かの光になる」って歌詞変え。誰しもが誰かの光で憧れなんだよって、生きていく上でのとてつもない希望だと思うから、とても好きだなって思った。


粟「こんばんはココロオークションです!来てくれてありがとうございまーす!今日が、Lover'sっていうツアーの、最終日、ファイナルです!ありがとう」

大「うぇい!」

粟「テンション高いよ、今日。作品作っててさ、みんなにたくさん愛を貰ったから、その愛を返したくて、恩返しのつもりで曲作ったんよ。で、ライブ回ってたんやけど、みんなからすごくすごく愛されてるのが分かったツアーだって、返してるつもりがいっぱい貰ってて、だから今日もうおっきい気持ちで、貰うよりたくさんみんなに返したいなって、そんな気持ちでここに立ってます。俺の歌で、俺らの音楽で、みんなをすげー幸せにしたいなと思ってる、この時間は。だから、心ゆくまで精一杯楽しんでもらえたら嬉しいです。どうかよろしくお願いします」


「Lover'sに収録されている曲、聴いてください。俺の歌でもあるけど、それぞれ、今日来てくれてるみんなの、ひとりひとりの、キミの、歌になればいいなって思います。一等星の歌」

星と星を繋いで作り出された星座線から、一際明るく輝く一つの星、一等星へ。ぐっとキミに寄り添って、キミの物語としての意味をより輝かせてくれる気がして、愛おしいなと思う。そういえば、大阪でのロックスターに憧れても星続きだったんだなって今更気づいた。サビで起こるフロアのスイングが気持ちいいなあ。


そのまま、しっとりと続いた、愛のまま。飾らない素朴さが、ありのままの姿を抱きしめるように優しくて、好きな曲。続いた曲の粟子さんのタイトルコールは、どこか頼もしげなカッコいい声で「全部大丈夫!」。この曲の、どことなくリズムとか特殊な感じするの、聴いてて楽しいから、大野式音楽室で取り上げられるのをどの曲よりも望んでる。旧譜も交えて紡がれた、愛の歌3曲に、すっかり温かい愛で包まれたライブハウスの空気、愛おしいと感じるし、ワンマンライブの幸福感っていいなあと思うし、ココロオークションが好きだなあ。


「夏のうた聴いてくれる?」ってフロアに尋ねた粟子さん。彼の人柄の温かさがそのまま声になったような、ほっこりする声色。フロアは、大歓迎と言わんばかりに温かい拍手で反応する。

弾き語りで歌い上げる、蝉時雨のはじまり。ライブハウスの照明が、夏の終わりのじりじり焼ける陽射しのようで、思わず目を細めた。眩しいなあ。

蝉時雨のベース、軽やかに弦の上を滑っていく他の曲と比較して、大野さんの指づかい、ねっとりしてるなあって思った。夏の物寂しさと汗ばむ温度感が感じられる気がする。べたべた。無意識に視線が集中しちゃったのを許してほしい。


ちかちかと散りゆく儚い火花を表現したようなイントロのSEが流れ出して、線香花火。灯る赤い照明が、いつか終わりが来ることを知っているようで、だからこそその輝きは強くいまを懸命に輝いているようで、綺麗だった。ツアー通して、夏の四部作全部聴けたのには、大満足。


とても柔らかく儚さを含んだ優しい声で「ホタルのヒカリ」って粟子さんの曲振り。そういえば、蛍は夏の風物詩だなあって、夏で繋いだ曲順の意図を見つけた気がして、嬉しくなった。

打ち込み音と井川さんのドラムがいい塩梅に絡み合って生まれるライブならではのノリが心地よい。

間奏でテンメイさんが奏でるギターリフが、なんだかとってもココロオークションって感じの音で鳴っている気がして、好きだなあ。


「愛伝わってますか?」って粟子さんの問いかけに、温かい拍手で応えるフロア。「嬉しい。気持ちいいぜ、ありがとうね」本当に、なんて優しくて心地よい声をしているんだろう。マイナスイオン、出てる。


「次は、めちゃくちゃ久しぶりにやる曲を持ってきました。その曲をリハーサルしてて、スタジオ入ってて思ったのは、ココロオークションって昔から言ってること変わらないなって思って、ずっと伝えたいこととかやりたいことが一緒で、サウンドは変わるけど、芯の部分はずっと変わらなくて、ある意味安心しました。このままでいいんやって思わせてもらった曲です。2018年にリリースした曲で、マイナーで、当時は暗い感じしたんですけど、いま鳴らしてみると、暗いっていうかは、神聖な?神秘的な感じ?やと思うんで、聴いてほしいです。みんなを音楽の深いところまで連れていけたらと思います。砂時計という曲を、聴いてください」

流れるSEと、渦巻くようなベースの生音が、音楽の深い世界へと誘っている。加わったドラムのどっしりと刻むリズムがさらに深く深くへと導いていって、ギターも加わってより深く、そこから砂時計のイントロへ。新譜の曲ももちろんどれも素敵だけど、演出もアレンジも相まって、いちばん印象に残っている曲が砂時計だった。時を経てこうして引っ張り出してきて、当時の想いそのままに、けれど練度は高く、曲を披露できることって実はとても稀有なことだと思う。変わらないまま深化していく、この安心感と高揚感。ココロオークションの魅力だなあ。


曲終わりにメンバー紹介。しっとりモードなテンメイさん、汗だくさっちゃん、うぇーいうぇーいとゆるめな大野さん。順番に粟子さんに紹介されながら三者三様の反応。最後に粟子さんの自己紹介。

粟「この4人でココロオークションでーす。幸せですね」

テ「今日もほんまに、あったかい日になってるなって思います。目を瞑って聴いてくれてるひともいれば、心で聴いてくれるひともいて、俺たちの音楽が伝わってるなって心から思ってるっていうのが…全然伝わってないような、なんか、いつものテンメイじゃない…みたいな感じの…」

粟「うん…なんか、いいこと言おうとしてるなって」

テ「率直に思ってることを言ってるだけですよ。正直にね。Lover's Tour、表現したいものが皆さんに届いてるなって、みんなと共有できてるなって思ってます。ありがとう」

粟「真面目!」

大「いやぁ、最後やからって点数取りにきてるな」

粟「いつも冒険すんのにな」

粟子さんも大野さんも「どーもーテンメイでーす」って絶妙なクオリティの声真似を披露しながら、普段のテンメイさんのテンションを再現した。前回Marbleに来たときのテンメイさんのMCコーナーは、松本伊代さんが乗り移ってセンチメンタル・ジャーニーを歌ってとんでもない空気になった、っていう思い出が語られる。布施明さんだったのは、ROCK'N'ROLLです。それなら私も見ました。1年以上も前のことだから、懐かしいって感覚になるのも自然なんだけど、時の流れは早いな…。当時あまりの空気に脚震えてたから、そのとき着てたのがスキニーじゃなくて長めのスカートみたいな衣装でよかった、と振り返えるメンバーたち。

テ「Lover'sの曲って、このツアーもそうやけど、愛しい、ですよね。愛しいの意味伝わります?抽象的やけど愛しいって言葉が合ってるツアーです」

粟「4曲とも全部、愛っていう単語が入ってるんですよ、歌詞の中に。ラバー、ズ、やから、愛する者がいるひとの、4人の主人公のオムニバスみたいな、Loverをよっつ集めた、みたいな感じ、ですかね」

大「お!そうですぅ、よぉ分かったなぁ」

粟「まだタイトル決まってないときに、大野先生にね、投げてたんですよ。こんな曲、こんないい曲できたで?って、4曲くらい集まったときに、大阪のミナミホイールっていうサーキットイベントの出番直前に、のっくんが『アルバムのタイトル決めたから、Lover's』って、お、お、おう…相談もなしに?って思っててんけど」

井「なかったな(笑)」

粟「いますごくしっくりきてて、いいタイトルだなって」

大「あー、よかったぁ」

粟「すげー反応が良くてさ、毎日聴いてますって言ってくださるひとがたくさんいて、めっちゃそれ嬉しいねやんか、俺らとしては。いまエンタメが飽和しててさ、ミュージシャンみんないい曲出すやん?俺も転調とかしたいけどさ、俺がやるべきことは何やろなって、1秒1秒大切にとか、俺はいまを大切に生きてたいのね?そういう人種やねんな?みんなにもそれを分かってほしくて、俺は音楽に救われたから、音楽で誰かを救ってあげたいなって、烏滸がましいけど、同じ気持ちになれたらいいなって気持ちでずっと歌ってて、誰かの心の中を照らせたらいいなとか。ほんと烏滸がましいけど。すげー、勇気と元気貰うのよ、いっぱい聴いてますとか。ココロオークションの音楽のおかげで毎日頑張れますとか。すげーそういうのは嬉しくてさ、それになんとか応えようと、頑張って、コロナ禍もせっせせっせと曲溜め込んで、みんなに届けたくて、作りました。届いてる?」

温かい拍手に包まれる空間に、しみじみと「嬉しいな」って粟子さんの言葉が残る。

粟「愛に溢れたツアーなんです。感謝して、こないだも言ったんやけど、いま幸せやなーって思ってる状態で生きられるのって、なかなかないと思うんすよね。俺的に、それが本当の幸せな感じがしてて、俺いま、幸せなんよ。自分の作った曲を聴いてくれてさ、今日対バンじゃないからさ、俺らだけの為に今日みんな来てくれたわけやん。人数多い少ない関係なく、俺らの曲で誰かの心が震えて、こうやってこの場にいてくれて、それが直接伝えられるって、こんなに幸せなことはないって思いながら、俺は歌えてて、それがすげー幸せです。ありがとう」

大「うん、次いくか」

粟「次いくか。今日はちょっと短めで、思い全部、喋れたから、で、さっちゃん全然喋ってないから」

井「もうええっちゅうねん」

粟「いつも、後半戦タイトルコールさっちゃんにお願いしてるから、さっちゃーん」

井「はーい。こんばんはー。なんかもっと和気藹々と談笑するのかと思ったら、そうじゃなかったね。愛、愛、愛ですごい粛々とね、愛を伝えて、いいコーナーやなと思いました」

大「なんやそれ」

井「このツアーずっとここでやってきたけど、もうええんちゃうの?やる?」

大「やってやー」

粟「みんな聞きたい、みんなってか俺が聞きたい」

大「みんな聞きたいでしょ?」

大野さんの問いかけに、拍手喝采で返すフロアに、意を決した井川さんが、裏声で話しはじめる、一人二役のさっちゃん劇場。

裏「なあなあさっちゃん、なあなあさっちゃん」

井「どうしたんや?」

裏「とうとうLover's Tourファイナル、新宿Marbleだね!さっちゃん楽しかったかい?みんな楽しかったかい?え?僕が誰かって?!僕の名前はミッキーマウス!」

大「いや違うやろ(笑)」

裏「このLover's Tour 4本ともフル出演してる、ココロオークションの大切なメンバーさ!」

大「ミッキーメンバーなんや!」

粟「めっちゃ強いやんスポンサー」

大「全通してたんや」

裏「そうだよ全通したよ!最初はただのいちファンのつもりがメンバーになっちまったぜ」

大「ああ、ユニコーンパターンや」

裏「ココロオークション、夢を分け与えられるバンドだなと思ったから、僕も力を貸したくなったんだよね」

大「わあ、ありがとうー。働けよちゃんと、仕事いっぱいあんねんから」

大野さんの鋭いツッコミに喉をやられて咽せる井川さん。ファイナルにして枯れる喉。頑張れさっちゃん。

裏「僕がここでさっちゃんの代わりに魔法の力を使って次の曲盛り上げることをやってたんだけど、今日はさファイナルじゃん!だから今日はさっちゃん、君が魔法の言葉を使って後半戦、盛り上げていったらどうだい!」

大「いや、あの、ずっとさっちゃんやけどなあ(笑)」

井「でもなぁ、俺関西人やから、東京のひとって冷たいイメージが拭えなくてですね、すんのちょっと怖いわ」

裏「なんでや!!」

大「関西弁や(笑)」

裏「さっちゃんがここで頑張ってアホみたいなタイトルコールするから、次曲が盛り上がるじゃないか!僕はあれ、好きやで!」

大「ミッキー好きやでとか言わんで」

裏「なに日和ってんねん!」

大「ミッキーなに日和ってんねんとか言わんねん」

井「じゃあ最後、ミッキーマウスじゃなくて、さっちゃん、やるぜ!」

裏「さっちゃん、新宿ではじめてツアーに来たひとが何が何だかわからないって顔してたよ、いま」

井「そこはみんな、察してくれ」

大「今日、配信もされてるからな」


そうして開幕、さっちゃん劇場第2部。井川さんによるコールアンド拳あげレスポンス。ちゃんと「ここで腕を挙げる」ってこっそり教えてくれる優しい仕様。途中、「頑張れさっちゃん!心折れるな!東京のひとみんな優しいぞ!」ってミッキーからの励ましを受け、「キャンニュー フライー?」のかけ声で腕を挙げたフロアがひとつになる、笑顔の一体感。ゆるいと表現するにもしっくりこないような、独特な空気感の楽しく愉快な煽り、それをニコニコしながら楽しく受け入れて、あまつさえ待ち望んでいる状況って、やっぱり愛だよなあって。いつの間にかさっちゃん劇場の虜だ。好きって感情が全て。


勢いをつけた「聴いてくれ!フライサイトー!」のかけ声から颯爽とキレのいい動きでSEを鳴らすさっちゃんの、ミッキーモノマネ声でのフォーカウントからの、フライサイト。粟子さんの歌い出しと共に、軽快な手拍子が瞬く間にフロアを埋める。テンションを高める良質なロックチューン。曲中、テンメイさんの「愛してるよー」って熱烈な叫びが飛んだ。


テンションハイの流れのまま、夢見た場所へ何処までも飛んでいけそうな軽やかさを引き継ぐように、カウントで繋いで、ハンカチ。運命の出逢いをしてしまった瞬間から足取りは軽く、音源からアレンジされたテンメイさんのギターソロ、わくわくする。


「みんなまだまだいけますか?聴いてください、火花!」

「君のそばで光るよ」って歌ったあとの「ずっと」ってフレーズ、力強さと美しさにじーんときちゃうなあ。イヤホンのなかの音楽は、どんなことがあったってずっと生きている。


「超幸せだった。次で最後の曲です。Lover'sを作って思ったことは、さっきのMCで言っちゃったけど、改めて、俺らすげー恵まれてるなって、愛されてるなって、思いました。思ったのは、みんな、それぞれが何かのLover'sやと思うねんな。俺は音楽好きになって、中学校のときちゃんと意識して音楽というものに出逢うまでは、灰色の人生というか、ちょっと陰キャ寄りの普通の少年というか、でも音楽に出逢って、こんな素晴らしいものがあるんやって、ありきたりやけどそっから世界が違うように見えたんよ。みんな、音楽好きになって、俺らのこと好きになってここに足を運んでくれてると思うんやけど、それってね、すげえ才能やと思うねんな。何かを愛したことがあるひとは、きっと他の色んなこと全部愛せると思うねん。すごい感受性が豊かで、他のひとには見えへんもの、音楽って目に見えへんやんか。見えへんものに気づける才能があるんだよ、みんなは。それが俺すげえ嬉しくて尊くて、この世界には、愛がたくさん溢れてるんだよって伝えたくて、僕らは愛の中って曲を書きました。悲しいこととか多いけど、いっぱい愛で、この世界は溢れてるよって、希望を持って、みんなに届くといいなと思って、書きました。最後、歌います。僕らは愛の中」

嗚呼、いいなあ、僕らは愛の中。目には見えない大きな愛で包み込まれるような感覚にしてくれる、粟子さんの言葉にじーんとした。自分が音楽が好きな理由を、ライブハウスに足を運ぶ理由を言い当てられてしまった気がして、思わず溢れた涙。私にも、心から好きだと思えるものがあることが嬉しくて、心が動くことが嬉しくて、それを実感できるのがこの場所だから、こんなにも夢中になっているんだと思う。


アンコール。暗転のなか、楽屋から飛び出す人影が、フロアの後ろにある物販コーナへ颯爽と駆けていく気配を感じて、あ、グッズ取りに行ってるのね、って、小さな箱のこういう距離感の近さが不思議な感じだなあ。そんなさっちゃんの愉快なグッズ紹介。「今回のLover's Tourといえば、さっちゃんのミッキーやろ」って。

来年、どんな曲を作ろうかって、「どんなんにしよー?どんな曲がいいですか?言っていいよ!はい!はい!はい!」フロアに意見を求める大野先生。手の挙がらないフロアに痺れを切らして、「ほなら、レディーガガみたいなのにすんで?」っと冗談混じりに意気込む大野さん。踊れる曲作るわ、って言いながら「踊っても来てくれる?」って確認するの、絶妙に可愛いなと思う。歌いながら踊る曲、ステップ踏む曲作りたいなあ、って言う大野さんに、「絶対ダサいやん。俺ら運動神経ないから音楽選んでんねん。ずるない?運動できるのに、顔カッコいいのに、音楽すんの」って卑屈さ発揮する粟子さん。ダンス部は美男美女が揃っていて、スタイルもいい、って羨望を語る。「ダンス部おる?おらんやろ!ダンス部ココロオークションのこと嫌いやろ!」って、大野さん。大野さんの声とか喋り方って不思議だなあ。キツめの言葉使っててもどこか可愛げがあるというか、癒し要素があるというか、粟子さんとはまた違う柔らかさがあって、語気に棘がない。好きなとこ。「めっちゃ青春してるから、夏の四部作とか観て来てくれた子はおるかも」って粟子さんのフォローに、満足そうに「ええ子やん…」って納得するとこも、癒し。

「まあ、変わらず心込めて歌うわ」って、締めに向かう粟子さんのひと言。ココロオークションが出す曲なら、どんな曲だってきっと素敵だと思う。インタビューとかで、他でもない大野さん自身が「粟子さんが歌うとちゃんとココロオークションの曲になる」って言ってるの、幾度となく聞いてきた。


最後、特大の音楽への愛を放つ、ヘッドフォントリガー。「くらえー!」ってフロアに吠える粟子さんが、「Marbleのスーパーシューター」って歌った。その土地土地の特別が、心臓を撃ち抜いて、夢中にさせる。

粟子さんの顔に寄ってってギター見せつけるテンメイさんとそれにがうがうって噛み付く動作する粟子さん。粟子さんから反応あるの、何気に珍しい気がして、そわっと心臓が高鳴った。かわいいワンシーン。

テンメイさんと大野さんの掻き鳴らし合いは言わずもがなカッコよくてカッコよくてカッコよくて、ヘッドフォントリガーの見せ場のひとつで、テンションあがっちゃうところ。

掻き鳴らし合いを終えて上手に戻るテンメイさんの身体に当たらないようにするために身体傾けてマイクに声乗せる粟子さん、それをテンメイさんが屈んだ姿勢のまま絶妙に避けながらじわーっと持ち場に戻っていくとき、注意深く粟子さんに視線送ったままで、とても繊細な動きだった。演奏しながらだから、単純に素人意見だけどすごいなあって思う。絡まったシールドをふたりで元通りにする共同作業は、阿吽の呼吸、個人的にハイライトだった。Marbel、縦幅結構狭いのかな。


書き残すために、幾度となくアーカイブを聴いた。その度に、配信のクオリティにも感動した。ほとんど編集のないライブ音源を、それこそ再生ボタンを押す感覚で違和感なく聴けてしまうの、彼らの地力の強さを物語ってるようだなあと、思う。ココロオークションって強い。


愛いっぱいに満たされた気持ちと、もっともっとと求めてしまう足りない気持ち。カッコよすぎるが故に、好きだと思うが故に、欲張りになってしまう。ほとんど衝動的に突発的に、可能な限りを追いかけたLover's Tourは、ココロオークションが好きだなあ、って気持ちをより強固にしてくれた、そんなツアーでした。

 

01.ミルクティー
02.星座線
MC
03.一等星の歌
04.愛のまま
05.全部大丈夫!
06.蝉時雨
07.線香花火
08.ホタルのヒカリ
MC
09.砂時計
MC
10.フライサイト
11.ハンカチ
12.火花
13.星の傷
14.景色の花束
MC
15.僕らは愛の中

en.ヘッドフォントリガー