春うらら 東京公演

memo.

ココロオークション

CCR UNPLUGGED SPRING TOUR

「春うらら」

2023.04.16(土) @ニュー風知空知

 

 

 

最初の曲、夢の在り処。大阪のときとセトリ変わってる、好き。上ハモも下ハモも可憐に熟す愛子さんの綺麗な歌声に胸を躍らせた。


「すごい変な天気ですね。朝は晴れてて春うららな陽気だったのに、下北沢入りのとき急にゲリラ豪雨に襲われて、雹も降ってきて…車、ワイパーじゃ間に合わなかった…………どうも、雨男です!」って、何とも言えない沈黙のあと、雨男です!ってキラって言い放った。そうです、原因はあなたです、って気持ちになっちゃう空気感、笑っちゃう。またひとつ、伝説が生まれたようだ。


「昔の曲を」ってステージ。続けて、愛のまま。この曲の粟子さんの低めの歌声好きだなあって。「お耳が幸せですか」ってゆるっと尋ねた粟子さん。素朴で優しく、でも想いの強い曲たちがアコースティック編成でより沁みる。その魅力に浸っていたそのままの勢いで、その問いかけにただただ頷いた。フロアの幸福度を確認して、すっとはじまった、ドライブ。


どっかの曲間で、汗だくの井川さんに視線向けて笑ってた愛子さんが愛らしかった。「暑い…」ってパタパタ手で仰ぎながら応える井川さんとのやりとり、自然に仲良しで和やかなとてもいい光景でした。振り返った粟子さんが、「後ろのひとが汗だくなんやけど(笑)。さっちゃんのとこだけ雨降ってるみたいやね」って言い放って、井川さんは「やめてくれ!ひとを雨男みたいに!」って抵抗してた。正真正銘の雨男粟子さんに言われちゃうのシュール。


蝉時雨のこと、「往年の名曲」って表現してた。今回リリースしたアコースティックアレンジの蝉時雨は、「それぞれ自宅で収録しました。うちの大野がミックスからマスタリング、アレンジまで全部考えてくれて、温かくて素敵な音源になったと思います」って粟子さんが言葉にする後ろで穏やかにうんうん頷いてる大野さん。

「本当の最初は2007年(?)だったかで、2014年に初めての全国流通盤『七色のダイス』ってアルバムに収録して、ずっと演奏してる曲だから、みんなのなかのそれぞれの思い出や記憶を呼び起こせたらいいなと思います」ってニュアンスの曲振りではじまった蝉時雨。このMC大好きだなって思った。長く歌い続けてくれているからこそ、それぞれの出逢いがあって、そのどれもが等しく尊くて、唯一無二で特別。


アコースティックの優しさを纏って奏でられた、大好きな曲、ワールド。好きな曲が流れ出す瞬間の胸の高鳴り。祝福感に包まれるような壮大なイントロ、こんな素敵な音と編成とアレンジで届けられて、より好きが深くなっちゃうのは必然だと思う。重なる粟子さんと愛子さんと井川さんのコーラスが深い幸せに導いてくれる。アウトロは、雄大な大地のなかにいるような清々しい気持ちで、音楽を纏ってどこまでも自由になれるようで解放的。

綺麗なカットアウトの終わり方は、鮮明に見えていた雄大な景色をしゅるーんっと巻き取ってくような気がした。その景色と演奏に魅せられていた高揚感に緩んだ頬のまま、嗚呼、好きだなあ、って想いで溺れてしまわないように、ゆっくりと深呼吸した。


続けた、景色の花束。粟子さんがしっかりと音を鳴らしてギターのボディを叩いてするカウント、からのボーカルふたりのユニゾン。大阪では、「リハで『聞こえるようにカウントして』って愛ちゃんに言われてたとこ」って粟子さんが語ってたはず。多分この曲のはず。フロアに居る私にはとてもよく聞こえたけれど、愛子さんにはしっかり届いていただろうか。

メインリフのギターのメロディと音色が、川のせせらぎみたいに綺麗に鳴ってるのが素敵だった。そこに重なるピアノの音色が一緒になって景色を描く。太陽の光を反射する水面みたいにキラキラと輝いていたし、敷き詰められた小石の上を滑っていく水流のように瑞々しかった。


どこで話してたか忘れちゃったけど、粟子さんがアニメの『ぼっち・ざ・ろっく!』をオススメをしてた。下北沢の街並みが登場するアニメで、「細部がしっかりしてて」再現度が高いらしい。「作中ではSTARRYって名前なんやけどどう観てもSHELTERで」って下北沢のライブハウスが出てくるって話。次、ココロオークションが東京に来るのは5/23の新宿LOFTで、作中だとFOLTって名前で登場するみたいで、そういう繋がりでも話題に挙がったんだったかな。バンドじゃなくて、箱自体にファンがついてるようなカッコいいライブハウスらしい。「何の話やろ…風知空知のことも!よろしくお願いします!」って締められた。風知空知、隠れ家的立地の、居心地のよい素敵な箱。


長尺MC、メンバー紹介タイム。粟子さんがひとりずつ順に紹介していく、最初に愛子さん。

「コーラス、愛ちゃんでーす!」「実は、高校で出逢ってて、吹奏楽部の強豪校で、はすみちゃんも一緒やってんな。で、大会でぼこぼこにやられました。当時から歌も上手くて、いつか一緒にやれたらなあとか思ってました」

ホームにしてたライブハウスが同じ、南堀江knaveってとこで共演も多くて、同じときにレコメンドされていたり、何かと縁深いメロディーキッチンとココロオークション

愛子さんは大阪在住だけど、お家はほぼ和歌山らしい。いつかのhoshiotoの帰り「送ってくでー」ってライトな善意が招いた長距離ドライブの思い出話を粟子さんが振って、大野さんと井川さんが語り出す。

大「阪神高速から全然抜けられへんかってんな」

井「阪神高速ってのがあるんですよ。ずっと走ってた」

大「ここふたり(大野さんと井川さん)で送ったんですけど送り届けて車のドア閉めた瞬間にふたりで『とっおぉ!』って言ったな。地図調べて、ほぼ和歌山やん!って」

愛「後悔するで?遠いで?って言ったやんな」

粟「帰りも同じ距離あるもんなあ」

大「これ愛ちゃんにはオフレコで言ってなかったのに、何で言うん?」

急いで車のドア閉めてふたりで顔突き合わせて地図確認する大野さんと井川さんの姿は、想像するととても可愛かったです。

粟「好きなお寿司のネタは?」

愛「鯖」

突然の質問にすぱって答えたひと言が無性に男前な愛子さんでした。


粟「ピアノフォルテ?キーボード?」

は「ピアノ?」

粟「ピアノ、松浦はすみー!」

同じ関西でも、奈良出身の粟子さん大野さん井川さん3人や兵庫出身のテンメイさんに比べるとやっぱり言葉のリズムの上下が強いらしい、関西弁の強いメロディーキッチンのふたり。粟子さんが片掌上下させながら抑揚の再現してた。

粟「でっせ!なんて使わんって言ってたのに…でんがな!とかももう絶滅危惧種なんやけど、この前、『もう夏でっせ!』って思いっきり使ってたもんな」

は「使ってないつもりやねんけど、いつの間にか言ってるなあ」

大「ピアノがなまってなければいい」

粟「そうね、ピアノの腕が鈍ってなければね」

大「関西弁訛りのピアノやってーや」

は「そういうとこ!そういう無茶振りほんとあかんで」

はすみさんの好きな寿司ネタは、いくら。以前にCCRのツアーで金沢行った時に食べたいくら丼が、はすみさん的には北海道で食べたのより美味しかったらいしです。


テンメイさんの自己紹介は、雷に打たれたアメリカ人の体験談のお話。なかなかパンチある。「アメリカ人と話すことがあって、そのひと雷に打たれたことがあるらしくて」ってテンメイさんが話す傍で「落雷が落ちて」って表現に引っかかっちゃった粟子さんが「雷が落ちて」って言い直してたの、ああ本当だ、二重表現…ってなった。

テ「鉄の柵捕まってたからアースになって助かって、跡とかも残らなかったみたいなんですけど」

粟「すごいなあ。ぶわーって腕とか跡残ってる写真とか見るもんな。雷みたいな」

大「ハリーポッターやん」

粟「ほんまやな」

テ「跡残らんかったけど、食べれなくなったものがあるらしくて」

粟「落雷でそんなことあんの?」

テ「鶏は大丈夫だけど、豚と牛がダメになって。それって、あったものがなくなって、プラスだった抗体がマイナスになったってことじゃないですか」

粟「んー、まあ一旦そういうことにしとこか?」

テ「ほんなら、逆もあるんかなって。いまあるアレルギーがなくなること。僕は花粉症で、井川さんは、蕎麦がダメなんで、ちょっと折角の豪雨だったから試してみてほしかった」

結構クレイジーなテンメイさんの提案に、困り顔井川さんが、「今日チャンスやったんか…それで蕎麦食べられるようになるなら……なんでやねん!」ってノリツッコミ。

テンメイさんの好きなお寿司のネタは、とろサーモン。脂乗りが違うらしい。子ども舌テンメイさん、マックとかのジャンクフードも好き。「ジャンキーフード」って言っちゃって、「ジャンクフードではなく?」って粟子さんにツッコまれる。サムライマックが好きって言ってたのは、テンメイさんだったか愛子さんだったか…井川さんは半年に1回くらい食べる程度の好きらしい。ココロオークションのMC時間ほんとにゆるっとしてて取り留めなくて微笑ましい。


井川さんは、恒例のさっちゃんコーレス。

井「さっちゃんって言いたいって顔してる」

大「してるな」

「さっちゃんさっちゃんさっちゃん」のコール&レスポンス、の後は、「皆さんに相談があるんですけど」ってはじまった井川さんのMCタイム。ドラムやカホンはカッコよく叩けてると自負しているけれど、自分の動きに関して相談があるらしい。新しい学校のリーダーズってグループのオトナブルーって曲のMVで登場する首振りダンスを一生懸命披露する井川さん。でも全然できてない。粟子さん曰く、井川さんは関節が少ないらしい。

「今日もサービスエリアで歩いてるだけで粟子と愛ちゃんに笑われた。さっちゃんはほんま関節少ないんやからーって」って、そこで今日はお客さんにアンケートをとって普通か否かを聞きたいとのことでした。「普通だと思うひとー」って問いかけに流れる沈黙、そして沈黙。変か?って問いかけに、控えめな拍手がぱらぱら。それに倣って控えめにパチパチしてる大野さん、ちょっと好き。「またツアーも回るんで、そのときはもう少し、可動域の広がった井川をお見せしたいなと思ってます」って締めてた。


そして大野さん。「ツアー決める時に、東京にはそんなひと来てくれへんのやろなあって思って1公演だけにしたんですけど、2公演やればよかったなって思ってます。ツアーがもう終わるのが寂しい」「でも、また年内にはできるかもしれんくて、楽しみに待っててください。メンバーにもまだ言ってへんけど…さっきメール来たんで」って、さらっと、寂しい、って言葉にするのも、さらっと次の楽しみを仄めかしてくるのも、ズルいなと思います。CCRの幸福度本当に凄まじいんだから、糧に頑張る。

好きなお寿司のネタは、「んーー、サーモン」って大野さんが答えた後ろで愛子さんが「聞かれてないやんな?」って井川さんに振った。

粟「ああ、ごめん。忘れてた。何が好き?」

愛「まぐろやろ、まぐろ」

井「はい」

行きに寄ったスシローで、3皿ともまぐろで連なって届いたらしい。まぐろ大好きな井川さん。

粟子さんは、「好きなお寿司は、全部好きすぎて選べません!」って答えて、「ズルい!」「それはズルい!」って総攻撃受けてました。


「新旧織り交ぜてお届けしてるんですけど、次は少し古い、青色の盤から」って、願い事。「君を僕が生きる理由にさせて 今だけは」ってフレーズがじんと響いて、儚い純真さに心が跳ねた。


続けた火花がカッコいいのなんてもう知ってる。愛子さんが微笑みながら先導してくれてて、思わずノって叩いちゃう手拍子。アコースティックのときの、じっくり聴きたい気持ちとそれでも反射的にノってしまう矛盾がもどかしくも楽しい。

演奏してる大野さんの微笑みが、特段に柔らかくて優しくて、嗚呼好き!ってなった。いますごく楽しいんだろうなあって、音楽大好きなんだろうなあって、溢れ出る感情が、好きを加速させていく。


愛子さんと粟子さんとのコーラスではじまる雨音。テンメイさんの奏でるメロディーが夏の空気をぐっと引き寄せた。


「いまが幸せだって思えることって、すごく幸せなことで、覚悟しているのといないのとでは全然違うと思うねん。終わりがあることを知っていて、いまが幸せだなって過ごすこと」その尊さと愛おしさ。粟子さんが紡いでいく言葉とか、優しい声音とか、大らかな微笑みとか、全てが、いまこの瞬間の幸せを確かなものとして刻んでいく。これでもかと満たされて幸せなのに、寧ろ、温かく満たされているからこそより一層、恋しくて寂しくて堪らない。最後の曲、僕らは愛の中、はまるで、その幸せと切なさを象徴しているようだった。ぶわあああっと揺さぶられた情動が身体の中で急速に体積を増やしていく。嗚呼、ココロオークションが好きだなあ。


アンコール、「せっかくなので、春うららってことで、春らしい曲を、ハンカチという曲です」って、春の陽気にあてられて、打つ手拍子。


終わりが寂しいと思う気持ちに、「もう1曲!」と届けられたアンコール2曲目、ミルクティー。「ハイスピードモードでもう一回!」って再びの演奏と、「もっと速くもう一回!」と再三の嬉しさは、終わりたくないなあって寂しさに寄り添うように優しくて、とても幸せでした。

 

 

01.夢の在り処
02.バース
03.ステージ
04.愛のまま
05.ドライブ
-MC-
06.蝉時雨
07.ワールド
08.景色の花束
-MC-
09.願い事
10.火花
11.雨音

en1.ハンカチ
en2.ミルクティー