都会のラクダSP〜東京ラクダストーリービヨンド〜 名古屋day1

memo.

SUPER BEAVER

都会のラクダSP

〜東京ラクダストーリービヨンド〜

セミファイナル

2022.12.24(土) @ポートメッセなごや 新第1号展示館

 

フロアに灯っていた明かりが消え、ステージに人影が現れた。暗がりのなか、鳴る、音、激しく鳴らされるドラムが、フロアに熱気を注いでいく。上下の端、それぞれにあるお立ち台にも人影。はじまった楽器隊のセッションと眩く灯るステージライト。両サイドにある縦長巨大モニターに、柳さんと上杉さんがそれぞれでかでかと映し出されている、雄々しさとど迫力。センターバックのモニターには、藤原さん。時間を置いてステージに現れた渋谷さんと画面を二分割した。会場の規模感を鮮烈に感じる、華々しい演出。ゆっくりと歩みを進める渋谷さんが、花道の先端に立てられたスタンドマイクとの距離を縮めていく。


1曲目、東京流星群。星の煌めく夜空のような映像がバックモニターに投影されていたり、ミラーボールが光の筋を乱反射させながらくるくると回っていたり、まるで満点の星空に囲まれているよな気がして、煌びやかでとても綺麗だった。


「いまの名古屋なら、俺たちの過去最高を更新してくれるんじゃないかって、選びました」そんな特別な信頼が、ふわふわと気持ちを高揚させる。


不意打ちの特攻。大きな破裂音に思わずビクッとなってしまうのはちょっと恥ずかしかったけど、ド派手な演出がライブハウスから抜け出したどこか別の空間にいることを強調したような気がして、慣れない高揚を感じた。スペシャル、証明。


「今日が何の日か知っててきたんだよね?予定なかったの?」って、優しい声色で憐れむ渋谷さん。柳さんが語気強めにで「これだよ!これ!」って叫んでくれていて、全力でそ!れ!な!ってなりました。クリスマスイブの予定は、SUPER BEAVERのライブです。全くもって最高の予定でした。


「俺らがいつだって、明日の話をするのは、それが生きていないと訪れないものだから」渋谷さんの言葉ひと言ひと言に耳を傾けるフロアによって生じる、熱気を孕んだ静寂のなか、まるでMCの言葉の一文の続きのように紡がれたタイトルコール、未来の話をしよう。


センターバックに歌詞を投影させながらの、人として。スクリーンがないのに、後ろの壁が透けて見えたまま、文字だけが浮かんでいて、どういう仕組みなんだろうって思った。ステージ上に余分な無機物が存在していない。楽器隊の演奏が、渋谷さんの歌声が会場を浸透していて、そこに込められた想いが言葉として文字として具現化しているかのように、歌詞が空間に投影されていく。シンプルな演出が、曲の想いをどこまでも真っ直ぐに伝えていた。


「大きな会場でやるっていうのは、遠くの奥の方まで届ける覚悟があってのことです」そういう覚悟のもと、とても優しく穏やかに、会場の端々まで届けるように丁寧に、your song。


メンバーのMCコーナーは、藤原さんからで、このツアーで尺的にはいちばん長く喋ったようです。「一番手だといいのかな?」って見解に全力で否定をする姿、きゅーとでした。

続いて、上杉さん。とってもいい声いい発声で「メリークリスマーース!」と叫んだ。何度も。「クリスマスって、子どもだけじゃなく大人もこんなに幸せな気持ちにしてくれるんだなあと思った」みたいなことを言っていた気がします。

自分の順番が回ってくるのに備えて、咳払いした柳さんに、「(メリークリスマスって)言おうとしてる?そのための咳払いじゃん」って華麗なツッコミをみせる渋谷さん。予想通り、「メリーーーークリスマーース」とちょっと掠れた声で叫ぶ柳さん。「先にやっちゃっていい?」って渋谷さんにお伺いをたてて、「ブリージアーーー!」って叫んだ柳さん。あんまりピンとこなくてさわっとした微反応のブリージア席。

渋「あんまりピンと来てないみたいだけど(笑)」

柳「みんな自分のチケット確認して!あなたたちの座ってる席ブリージアだから!」

渋「その小上がりね(笑)」

柳さんを倣って、アリーナとブリージアへのコール&レスポンスで遊ぶ渋谷さん。拍手する間を与えず「アリーナ!」「ブリージア!」「ブリージア!アリーナ!」をくり返す、まるで旗揚げ運動みたいな戯れに、一生懸命応えて翻弄される楽しさ。

新しくできたばかりの、ポートメッセなごや新第1展示館。ここでライブするアーティストは、この日のSUPER BEAVERで3組目らしい。柿落とし小田和正、もう1組は[Alexandros]。そこに続いてって、いや、すごいな。


「実はもう後半戦はじまっております。両手見せて」って言葉に反応して、フロアを埋める無数の掌。そしてその手は、次に求められるものが何なのかを知っている。待ち望んでいたように、会場を埋めるゆったりとした手拍子、音の塊。そこに乗る、渋谷さんの歌声。そして、美しい日。そこから、アイラブユー、秘密。個人的に胸熱ゾーン。どれだけ会場の規模が大きくなっても、ぎゅうぎゅうにひとの熱気を感じるような環境じゃなくっても、彼らの熱が、それに呼応するフロアの熱が、相互に作用して、一瞬にしてその場をライブハウスに変えてしまう。私は、この熱気が、それぞれの想いでむせ返るようなライブハウスの熱気が大好きだなあと痛感するんだ。


「あなたの力を借りて音楽ができていることを恥ずかしく思ったことは一度もない。誇りに思ってる。俺たちもあなたを助けるし守る」そんな相互関係が成り立っていることが無性に眩しかった。いつだって熱い熱い想いを言葉にして、叫んでいる。「4人でも音楽が出来ることを知っている」SUPER BEAVERが、それでも「あなたと作る音楽の楽しさを知ってしまっている以上そっちを選ばずにはいられない」と自分たちの音楽はそれだと叫んでいることが堪らなく、泣きたいなって思った。そういう関係を美しく思う。バンドと私たちの関係性における理想に思う。頼ってくれることを、無上の喜びに思う。


「頑張っているひとに、頑張れって言わない方がいいとか、知らない。何の含みもなく、俺たちはただあなたを応援したい」

終わりがけのそんな言葉を受けて、思った。助け助けられの相互関係だと夢のような理想に心を掌握されながら、実際はきっと、私たちが希望や勇気を貰うことの方がずっと多いと思う。彼らの言葉が存在が、音楽が、私たちに生きる力を与えてくれる。私たちはきっと、どんなに伝えても伝えきれない愛と感謝を抱えてライブハウスに足を運ぶ。少しでもその気持ちが過不足なく彼らに伝わるように、 あのステージを見つめて、懸命に腕を拳を掲げ、手を叩く。

変わらずそこに、居てくれるからこそ届けられる、強く烈しいこの想い。この関係が、永遠であると願いながら、いまを大切に、未来を夢見る。

 

01.東京流星群
02.スペシャ
03.証明
-MC-
04.ラブソング
05.突破口
06.VS.
-MC-
07.ひたむき
08.名前を呼ぶよ
-MC-
09.未来の話をしよう
-MC-
10.人として
-MC-
11.your song
-MC-
12.美しい日
13.アイラヴユー
14.秘密
-MC-
15.東京
16.青い春
17.最前線

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