TREASURE05X 2022 -CHEMCAL REACTION-

2022.08.24(水) @Zepp Nagoya

This is LAST / the shes gone / マルシィ / 神はサイコロを振らない / BURNOUT SYNDROMES / reGretGirl

 

トッパーのThis is LAST。ギタボのコの手がめちゃめちゃ男性的な綺麗な手、って感じで、ずっと眺めてられた。あと瞳輝き過ぎてたし、アー写の印象より断然チャーミングで男前でした。

 

the shes goneの、ラベンダー。ステージ照明の加減で、薄紫に見える髪色が綺麗だなあって思いながら聴いてた。ラベンダー色で魅せる、ラベンダー、幻想的。

 

神はサイコロを振らない、MCが可愛かった。「神サイ初めて観るよーってひとー、え?!全員?!そんなはずないでしょ、神サイ観に来たよーってひと!!よっしゃあああっ」って、すごい気持ちのいいガッツポーズだった。無邪気だな。

 

 

BURNOUT SYNDROMES

 

熊谷さんのステージ衣装、白地に極彩色のマーブル模様の派手シャツに、赤色スキニー。華奢な身体が浮き彫りで、相変わらず腰が脚が細い、胸板が薄い。細身って言葉で足りる?もう少しお肉ついた方がどちらかと言うと安心…って思っちゃう痩身です。この柄シャツ見たのいつだっけって遡ったら、ブルゾン熊谷の写真を見つけて、中津川ソーラーか!となりました。昔の衣装再燃かなって思ったけど、そもそもフェス自体が久しぶりすぎるから着る機会がなかっただけかもしれない。

石川さんの音出し。「ベースです。おっきい声出しまーす。いけるかああぁっ!!」ってマイクチェックしながらフロアを煽るいしかわたいゆー。それに対してすかさず素直に拳で応えるフロア、をいなすように「って言いますね。本番絶対言いますんで」って上手な間で笑いを誘ういしかわたいゆー。そんな愉快なやりとりを数回。くすくす笑いの漏れるゆるめの空間。本当に久しぶりのこの感じ!誰にだって楽しんでもらう為の空気づくり。フェスシンドロームズのステージはもう、リハからはじまってるんだなあって、にやにやしながら待つ転換時間。

熊谷さんの音出し。クランチって単語をリハ中の熊谷さんからはじめて聞いた気がするんだけど、記憶にあるのは、クリーンだったような…って勝手にそわそわしてた。見当違いなそわそわかもしれない、難解な機材の話。

しっかり同期まで流してのリハーサル1曲目、BLIZZARD。逞しく、突き抜けるような歌声に、改めて、この華奢すぎる身体のどこからこの渋く雄々しい声が…って、不意に理解が追いつかなくなるなあ。不動の仁王立ちで歌う姿がより、その細身の体躯とのアンバランスを際立たたせていた。

出血大サービスのリハ2曲目、ヒカリアレ。歌い出しに間髪入れず、囃し立てるように響くフロアの手拍子。リハ終わりに「もうしっかり温まってますね」って言葉にして確認するみたいに放った熊谷さんの言葉。TREASURE05X 2022のZepp公演、トッパーのThis is LASTから繋いできて、直前の神サイで一層高まった空気を、BURNOUT SYNDROMESがより熱くしていく、確信。

どっちはける?ってあっちこっち指差しして確認とってた熊谷さん、なんとなく上手にはけたそうだったな(妄想)。

 

一度無人になったステージに、反射的に、数學少女を脳内再生して手拍子を構えたところへ、不意をつくメロディと「Good Morning TREASURE05X 2022」ってエフェクトのかかった熊谷さんの太い声が流れ出す。リスアニ!のときのあの登場SEの、トレジャー仕様。どう考えたって本日限りの特別バージョン!作り込み激しい!ありがとう!好き!アガる!七色のレーザー光線に照らされるTREASURE05X 2022のバックドロップを見て、このサウンドはきっと色とりどりに照らしたくなるフィーバー曲なんだなって思った。もしくは、熊谷さんオーダーだったりするのかもしれない、どっちでもアガる。

 

そんな素敵SEから繋がる曲はもちろん、おはよう世界、Good Morning World!。高らかに響く熊谷さんの「トレジャー!!」って呼びかけに応えるフロアの熱。「脚の痛みだけが」でクイっとあげる右脚、「星の隅々まで」「連れてってやるよ!」って高らかな先導が、ああカッコいい。「不安の雨に打たれても」って、その雨を受けるように差し出された左掌。ぽつりと落ちた雨粒を表すようにつんと右頰に触れた人差し指が、すーっとその輪郭をなぞって、伝った。その身一つで情景を魅せる熊谷和海、とても美しい。

「あなたに!会いに来ました。大阪のバーンアウトシンドロームズです!」って、強調されたあなたに!って単語にぎゅんって心臓掴まれた。

「ギターを有線に変えますね!一旦たんま!」ってマイク通してキリッと宣言してたの、なんか強者の余裕…みたいな佇まいだった。めっちゃノリノリじゃん…とっても陽気じゃん…テンション高ぇ…かわいい…アメリカ帰りだからなの?アゲアゲじゃん…かわいい、となりました。

 

気を取り直して、ゆったり雅な音色が響き渡る、和楽器アレンジではじまる、花一匁。「虚空へと唯 脚 蹴り上げ」で披露する美しい前蹴り。2回も登場した「斬られて堪るか」の手刀。エフェクターボードを前に跪いて奏でるギターソロの恭しいこと恭しいこと。

「すごい。歓声が聞こえてくるんじゃないかってくらい盛り上がってくれてる」ってニュアンスのことを石川さん、「この笑顔がずっと見たかったんだなって思った」みたいなことを熊谷さん、彼らにとって、3年振りのトレジャーは、それはもう満員御礼の圧巻の空間。そして石川さんが初のZepp Nagoyaであることに触れて、「意外とね。はじめての瞬間を皆さんと共有できて嬉しいです」なんて、何でもないようなテンションで返した熊谷さん。をいをいをい…そんな口説き文句…いつからそんなことさらっと言えるようになったんですか、熊ちゃん。らぶ。

 

お祭り気分で熱気を煽る祭囃子、石川さんが扇動するはっ!はっ!って振り付けからの、どん!、若草山スターマイン。雅に和が強調されたアレンジの花一匁から、尺八轟くこの曲へ、和を繋いでいるのかなとか、思った。
この日のセトリで、いちばん夏を連想しそうなこの曲が、実は奈良の山焼きを題材にした、冬のお祭の歌である事実。開場からずっと場内の冷房に凍えていた状況が、一瞬にしてこのお祭を骨の髄まで体感するための要素に変わった気がした。ああ、冬ならこんなに寒いのも仕方ないな…って思った矢先に、踊って踊って、じんわり温まりはじめる身体。
石川さんが奏でるばりばりのスラップベースに耳を傾けながら、やっぱり熊ちゃん細いなあ、って頭の片隅で思いながら、歌いながらギターリフ弾いてる熊谷さんの超絶技巧をまじまじと眺められたから、そりゃあもう私はご満悦です。最後、打ち上げられた花火を、仰ぎ見るようにフロアに背中を向けた姿があった気もする。ここじゃなかったかもしれないけど、情景を魅せる仕草は絶対あったから、ここしか思い当たらない。

 

熊「教えてないとこまで踊りばっちりで、裏拍までとって」
石「やっぱり音楽好きな皆さんが集まってますからね」
熊「でもまだ暴れ足りないんじゃない?君たちマスクの下に足りないって書いてあるの見えてるから。2階の奥まで見えてる。暴れるセトリ用意してきてます」

「まだ足りないってひと両手挙げてください」って促して、挙がった手に「FHUUUUU!足りてねえぇ!」ってすかさず反応するの、本当にさ、底なしに陽気な熊ちゃん。
掲げた両手そのまま素直に固く固く握り込んだ拳に変えて、不死鳥の歌、PHOENIX。拳にしたまま両手掲げるのってどことなく間の抜けたポーズだよねって、実は思っていたりするのは内緒。カッコいい熱量と両腕掲げた姿の愛らしさのミスマッチ。あと、腕が細い。
熊谷さんの微笑むタイミングが、合いの手クラップクラップの直後ドンピシャで、褒められたような気がして勝手に舞い上がれちゃう。
「オレンジの向こう 青く揺らめく青春へ」で、オレンジに染まっていたステージが、ゆったり青色に変わるその瞬間の煌めくようなときめき。

 

続けて、上昇する泡音がステージを埋める、徐にフロアに背を向けた熊谷さんと石川さんが揃って楽器を置いて、Zepp Nagoyaがclub Zeppへと姿を変えた、Ocean。歌い出し序盤の狭窄した咳払いみたいな音、石川さんがビートボックスでその場で入れてるんだ!ってこの日の気づき。「脚が折れても跳べ!」ってひたすらにテンション高い掛け声と共にジャンプを煽り続ける熊谷さん。どこまでも陽気。「美しい海でした」って最後言ってくれていた気がするな。

「満足した?まだ足りない?」って投げかけて、フロアの反応がお気に召さなかったのか「なんだもうヘロヘロか?!君たち」って熊谷さん。やっぱり陽気。メンバー3人だけのラジオとか、懐かしき燃えつきナイトとかそういうときのテンション感。「全力出しきれって言いましたが、最後のリグレットガールの分までは残しておいてほしい」って続けてたようなここじゃなかったような。石川さんは石川さんで、「でも皆さんきっとすぐ回復するんで」って無茶振りを口にした。

「サディストみたいな盛り上げ方してますけど、明日とか、あー脚痛てぇ、腕痛てぇ、昨日は最高だったなぁ…、って思い返してほしいなあと思って用意してきてます」って、熊谷さんの言葉。「どのバンドもMCで、時代が困難で、みたいなことを話していたんですけど、平日のこの時間にこれだけの人が集まるって、しかもソールドですよ。すごいことだと思う」ってこれだけのひとが何かを求めてここに集まったんだってお話をどこかでしていた。その気持ちに寄り添って、抱えた日常の鬱憤を晴らせるようにと用意されたセトリの愛おしさ。そしてそれを、記憶だけじゃなくて、筋肉痛という形で肉体にも刻みつけるという荒技。なんて愛おしい。

 

最後の曲に、FLY HIGH!!。散々ジャンプして、それでもまだ足りない、さらに高く高くを求める選曲。熊谷さんの超絶ギターソロとそれを「ギターに大きな拍手を」って手短に意地でも讃える石川さんが颯爽とエフェクターを踏みに身体を翻して、そしてみんな大好きベースソロ。そこから先を歌う熊谷さんの姿が眩しくって、その歌声がとても澄んでいて優しくて、なぜだか無性に泣きたくなった。
「最後にみんなでジャンプしようぜ!」って石川さんが導いて、ちゃんとどのタイミングで跳ぶのか、事前に教えてくれる石川さんの丁寧な優しさが、誰ひとり置いていかない気持ちの表れだと思う。きっと今日イチの一体感で、Zepp Nagoyaを埋めるひとが一斉に跳んだ。

「最後のリグレットガールまで楽しんで」って熊谷さんが言葉を添えて去っていった。同じステージに立った他のバンドたちがZepp Nagoyaでのワンマンを宣伝していく度に羨ましいと思ってたなんて、小さな本音は、そういえばいつのまにか忘れていて、最初に口を衝いて出た言葉は「足り過ぎた」だった。跳んで跳んで存分に暴れて、足り過ぎた。満ち足りた。すごく楽しかった。今日もバーンアウトシンドロームズはわたしの心を掴んで離さない。

久しぶりのフェスシンドロームズは、飄々と現れて、煽って煽って盛り上げ倒して、好き勝手掻き回して暴れて颯爽と帰ってった、みたいな印象だった。今日のアクトだけを観て、彼らをコミックバンドに分類したひとが一定数いたとしても不思議じゃないと思う。気になって後日曲を聴いて、そのギャップに心底どハマりしてね、って共犯者みたいな気持ちでほくそ笑んでみる。

 

リハ.BLIZZARD
リハ.ヒカリアレ

01.Good Morning World!
02.花一匁
03.若草山スターマイン
04.PHOENIX
05.Ocean
06.FLY HIGH!!


大トリのreGretGirlが、「今日のサブタイトル、知ってますか。CHEMICAL REACTION、日本語にすると化学反応」今日出演した全バンドが影響し合って化学反応を起こして作り上げた日、みたいなニュアンスでZepp公演のサブタイトルに触れながら「さっきのバーンアウトシンドロームズ、ケミカル過ぎんかった?楽器って置いていいんや。ロックって自由やもんな。固定観念に囚われてたことを反省した」って言ってたのとても面白かった。


泡音のSEがフロアを埋めるなか、石川さんと熊谷さんがフロアにくるりと背を向けて楽器を置いたとき、あーはいはいはいなるほどOceanですね、ってなんの疑問もなく受け入れたことは、果たして当たり前なのか。煽られるままにジャンプし続ける疲労感の片隅で、ふと、フロント陣ふたりともがハンドマイクのこの状況ってバーンアウト初見のひとにはどう映ってるんだろう?と過ぎった俯瞰の疑問の答えを、reGretGirlは教えてくれた。


そして続けた「いっぱい跳んでたね。見てたよ」ってボーカルさんの言い方が、どこか優しげだったから、勝手に得意気な気持ちになっちゃった。そのあと、「俺たちには飛び跳ねる曲はありませんが、いい歌歌って帰ります」って繋いでいたのは、挑発的でカッコいいねえ!ってなりました。こういう繋がりが好きのきっかけだったり、するよね。全6バンド、堪能して楽しい1日でした。