【火花 e.p.】Release Tour 大阪編
【火花 e.p.】Release Tour
w / Organic Call
2022.07.03(日) @福島2nd LINE
後輩Orange Callが「ばちばちに温めてココロオークションに繋ぎたいんです！」って繋いできた熱気を受けて、火花 e.p.リリースツアー、ココロオークションが奏でる最初の曲は、ハンカチ。私のなかでなんとなく、頭の曲としてのイメージが定着しつつある曲です。アップテンポで軽快に、擽ったいくらい真っ直ぐで甘酸っぱい好きって気持ちが詰まったこの歌を聴くと、無性にるんるんしちゃう。
足取り軽く弾む気持ちをしっとりと浸るモードへと手引きしてくれる同期からの、スーパームーン。どこだったか曖昧だけど、フレーズの切り替わりに合わせて、バックライトがふわっと点灯してステージを照らし出した瞬間、そのライティングがとってもスーパームーンでした。
続いた彼らの代名詞とも言える曲、蝉時雨。そして、粟子さんのざらざらした優しい声音が、カッコよくひと言、「愛のまま」ってタイトルコール。ほとんどストレートなアレンジで届けられた火花 e.p.の収録曲。直球でシンプルにいい曲、って説明の不要な無敵さと素敵さがある。
曲終わりの暗転中、どこからともなく「楽しんでる？」って囁き声が聞こえてくるシュールな雰囲気。井川さんが「この優しい雰囲気のなかで、次は激しめの曲いくで？」って囁いている。「言うなや」って、大野さんの鋭めのツッコみ。井川さんの密告通り、カッコいい気配でフロアを侵食した、スパイダー。挑発的に赤く染まるステージ。そんな真っ赤な空間を劈くように響くギターの音色がカッコよくってテンメイさんんんってなった。胸が痛い。ばちばちなベーススラップが分断にあるのはカッコよすぎてブラックアウトするんじゃないかってくらいにいっそ暴力的。大野さんから流れる汗はもはや美しいと思う。
「いつもは曲作るとき難産だけど、今回の火花は歌詞も曲もするする出てきて、やっぱり俺はロックバンドやなって思いました。なので、このままもう少しロックスターなココロオークション届けていいですか」って続いた曲、ロックスターに憧れて。ロックモードのココロオークションも如何にカッコいいか、見せつけられているみたいな曲の連投。
知るかよ、の変化球は、初披露なんて関係なく、フロアが軽快な四つ打ちのクラップで埋まった。続いたフライサイトは、安定の熱気。作り込まれた音の空間にフロアに広がる掲げる手。この景色がより、気持ちを昂めていく。
「さっちゃん、楽しくなり過ぎてまだ曲あるのにスティック投げてた。衝撃映像やった。後ろ振り返ったらスティックばーんってしてて」って次の曲の心配をする粟子さんに対して、ちゃんとスティックの予備はあると「ドラマー舐めんなよ」って豪語する井川さん。井川さんがそんなにテンション上がっちゃうのも「みんなのおかげだね」って粟子さんが優しい声で言った。
「次の曲は、本当は前回出したCDに入れる予定だったやつだけど、とてもいい曲だから、もっと自分たちが成長した状態で届けようって温存していた曲です」って星の傷。ひとつ前の盤って、スーパームーンだった気がするから、月と星だ…って思ってそわっとした。粟子さんの優しい歌声がライブハウスに浸透していく。
「改めて俺は、ステージに立ってるときがいちばん幸せやなって思いました。昨日も見放題で、弾き語りだったけど出て、すごく幸せでした。少しずつコロナ前のように戻ってきているなあって最近思えていて、色々あってもう音楽やめちゃおうかなって思ったことも正直あったんですけど、どんなことがあっても俺は音楽を続けていくんやろうなって、思いました。そんな誓いの曲です」ってはじまった、火花。最後の曲。
ツアーを皮切りにするみたいに、ぞくぞくと解禁されるライブ情報。彼らの日常が少しずつ実際に戻ってきてるんだなあって思えることは嬉しいけど、それが一瞬でなくなる可能性に正直まだ、私は怯えてはいる。まだまだまだ、油断はならないよなあって思いながら、きっとそういう可能性さえ抱えて、「どんなときでも音楽を続けていく」って想いのこもった火花は、線香花火みたいに儚く散っていくものじゃないんだなって思った。何度だってバチバチと爆ぜて光って、散ってもまた何度だって輝く不屈の炎。
アンコールの手拍子に導かれてステージに戻ってきたメンバー。井川さんがセンターマイクで「終演後オガコがビラ配るから受け取って」ってことと丁寧に後輩バンドのライブ日程まで読み上げてくれる。自分たちもグッズも持ってきてるんで、ってことを添えて、CDのことについても触れ、定位置に戻った。
積極的にグッズ紹介することに対してか、後輩のライブ日程まで紹介してくことに対してか、「あんまりいないタイプのドラマーやんな。もう十何年一緒にバンドやってるけど、未だに分からん。毎日初対面みたい」って大野さんが井川さんを評した。「ヤバいやん」って言う井川さんに「そう、ヤバいねん」って返す大野さん。ふんわり粟子さんが「この先も続けていかないとね」って締めてくれたんだけど、まだまだメンバー同士親睦深ていきましょう、ってことですか。ココロオークションのメンバー事情、私もちょっとよくわからなくなってきた。なんとも形容し難い雰囲気。
CDについて、「あのー、僕たち初めてのリリースツアーもここセカンドラインだったんですけど、そのときは盤の発注を台湾の工場にお願いしてて、その建物の天井がばーんって落ちたので、『ココロオークションさんのCDがどれかわかりません！CD届けられません！』ってなって、大急ぎで自分達で焼いたんやけど急ぎすぎて音飛びするっていうことがありました。それと同じようなことが今回！起こりました！！！！」勢いがなきゃやってらんねーとばかりの大野さんの説明は続く。
大「ちゃんと月末には届くようにしてたんですけど、さっちゃん家に。開けたら違うアーティストのCD入ってて、間違えたCD届きました」
粟「女のひとやったな」
大「時間的に、違う人のもとに届いた俺らのを探さないと間に合わない状況やったんですけど、どうやら名古屋に届けられたらしいというところまではわかったけど、未だに消息不明です。代わりに業者の人が、丁寧なお詫びの手紙と一緒にCD-Rに焼いたやつ送ってくれて、今日はそれを売ります。正規のプレス盤は後日郵送します。住所入力するGoogleフォーム作ったので、QRコード読み込んで登録してください。つまり、今日来てくれた皆さんは、同じ値段で盤2枚ゲットできるいちばんお得な皆さんです！！！！ふーーーー！やったーー！」
半ば自棄のような勢いのよい丁寧な説明に応えて、異様な盛り上がりを見せるフロア。「やっぱり大阪の皆さんは違いますねーいいですねー」って大野さんが言葉にした。そんなやりとりに某SYNDROMESの「送料がー」「無料ー！」のやり取りを連想してしまったひとがあの場にいたら、固い握手をしたかったです、切に。盛り上がり過ぎて、「この守銭奴め」って言われました。心外です。すかさず「言い過ぎましたすみません」って謝ってたのでオールオッケー。というか、そんなの不測の事態過ぎて、対応本当にお疲れさまです。今後の郵送作業も大変だろうなあ。重ね重ねお疲れさまですという気持ち。はやく正規盤が彼らの元に届くといいな。
アンコールに、ミルクティー。曲終わり、最後まで残った粟子さんが「生きていればこんな風に必ず会えるから、どうか生きていてね」って添えてステージを後にした。僕らはいつかいなくなると当たり前のように言ってしまう彼らが、そう言葉にすることは特別が過ぎると思う。それぞれのいまを大切にしたその先に、今日みたいな出逢いや再会が待っていてくれるなら、きっとどこまでだって頑張れる。
どこかで「汗をかかないことに定評のある粟子ですが、今日はめっちゃ汗かいてる。きっと火花ツアーは全箇所こんな、熱いものになるんやなと思ってる」って粟子さんが言葉にしていた。ツアー初日なこともあってか、アッパーチューン盛りだくさんながらも、一曲一曲に浸れるような間を取って丁寧に次の曲に繋いでいた気がする。初日ながら既にとってもカッコいい火花の曲たちが、これからツアー回っていくなかで、ライブで鳴らして進化していくの楽しみだなあと思います。
はじめてセカランでココロオークション聴けたことも嬉しかったし、Organic Callがばちばちにロックでカッコよくて、対バン合わせて総じて楽しいツアー初日でした。
01.ハンカチ
02.スーパームーン
03.蝉時雨
04.愛のまま
05.スパイダー
06.ロックスターに憧れて
07.知るかよ
08.フライサイト
09.星の傷
10.火花
en.ミルクティー
