Good Morning [New] WORLD TOUR 2024 in TOKYO & OSAKA 大阪公演

BURNOUT SYNDROMES

Good Morning [New] WORLD TOUR 2024

in TOKYO & OSAKA

大阪公演

2024.10.19(土) @Yogibo META VALLEY

 

開演待ちの時間、流れる場内BGM、大半がムーディーな洋楽のなか、童謡のシャボン玉が流れている不思議。選曲誰なんだろう。メンバーが選んでるのかな。そしたら、プレイリストを教えてください。これはカワタイ倶楽部RADIO案件ですか。質問したら公開してくれますか。

そんなジャンルレスでお洒落なBGMのボリュームがぐっと大きくなった瞬間のフロアの騒めき、歓声。開演を待ち望んだ束の間の静寂に、流れ出すSE。どこか遠くから聞こえてくるような小鳥たちの囀りが、大らかで雄大大自然に包まれるような心地にさせた。この時点では、おはよう世界へ続くための原初の地球や大自然!ってイメージで聴いていたけれど、終演後に配られた石川さんが書いたセトリ(注※手書きのフォントしか持ってないから全部英語で書いてある)、SEに、Paradise of birds、って書いてあって、あのSE、ORIGAMIの曲じゃん…ってなりました。鳥たちの楽園、あんなに清々しく楽園なんだなあ。新譜、楽しみ。


登場してきたメンバー見て、アメリカツアーの衣装だ!!!!ってなって、熊谷さんサングラスじゃない!クリアフレームの眼鏡!!!目線が見える!!どうしようどうしよう!!!って急に落ち着かなくなった気持ちは、ずばっと空気を震わせた「おはよう世界 Good Morning World!」の大好きな歌声を聞いた瞬間には、もうなんでもよくなった。見えるもの全部この目に焼き付けるぞ!瞬間的に拳を突き上げた、これはもう条件反射。


間奏ギターソロで、センターに躍り出た熊谷さんが覗かせる白い歯。にこにこのきらきらの笑顔がとても眩しい。最初上手向きで弾いてたのに背中側に寄ってきた石川さんの気配を感じて、すっと顔向けコンタクトを取る瞬間、私の感情が暴れ出します。尊い

両拳で自分の胸とんとんって打つ「胸の鼓動だけは」が最近のニューアクションで、力強くて好き。


ブレイクを挟まずノンストップで繋いで次の曲。フレーズを弾いている間、何の曲だろうって考えるあのわくわくが大好きなんだ。Good Morning World!の2番がDr.STONEの海編を想定して書いていることを思うと、そこから夢の大海へ船出するBottle Ship Boysに繋がるのは、大航海大冒険のはじまりを告げていて、わくわくしちゃうなあ。爆ぜる水飛沫のSEに重なるライブハウスを埋めるクラップが、そのわくわくをより高めてくれていた。


そのまま流れるSEが次の曲を告げる。神聖なコーラスから、ヒカリアレ。ハイテンポなカッティングギターに呼応するように響くフロアのクラップは、その曲がどれくらい知られていて愛されてるかの証明みたい。その上で、もっともっと!って導くように掲げられたメンバーのクラップの煽りが、ライブハウスの熱気をさらに上げていく。

ギターソロ、華麗なタッピングの後、お立ち台からぴょんと飛び降りた美しい跳躍、皆さんご覧になりましたか?まさに「もっと眩く俺は飛べる」って体現しているような輝かしさに思わず叫びそうになった。いや、たぶん叫んでた。

2番でクラップを煽る熊谷さんの仕草が、だんだんと力強さを増していって、遂には平手と拳を硬く打ち付ける煽りに変わっていったのは、命が燃え盛っている美しさといつか尽きてしまうんじゃないかっていう儚さを同時に感じた。高エネルギーの感情が集積して爆発寸前みたいな雰囲気が、訳もわからず視界を滲ませた。懸命に生きているひとの輝きは、それだけ心に熱を灯すんだと思う。

それとは別に、その煽り方、掌痛そうだなあって呑気な考えも浮かんでた。手、大事にしてね。綺麗なセンター分けになっていた前髪が乱れておでこを隠していくのも、命が燃えている、って感じがして素敵でした。


そして、「ヒカリアレー」と響く歌声の余韻が消える間も無く、「ヒカリアレー」とくり返されるSE。転調しながらだんだんと高くなっていくそのフレーズが辿り着く先は、ヒカリナキセカイ。FLOW FESでの衝撃もまだ記憶に新しい、ヒカリアレから魔王への繋ぎ。光と闇は表裏一体で、そして地続きであるということを自分たちの楽曲でこんな風にドラマチックに表現してしまうBURNOUT SYNDROMESって最高だよね。堪んないよね。やってくれるよなあ、って感じ。カッコよすぎる。


この曲はじめ(だったと思うんだけど)、逆光のなか浮かび上がった廣瀬さんの立ち上がってドラムをかき鳴らしているシルエット。その存在感が妖しくも禍々しくて、それがあまりにもカッコよくて、え?もしかしてこれ実は廣瀬さんこそ真の魔王様?裏のボス的な存在ですか?って思いました。

BURNOUT SYNDROMESって三者三様にそれぞれにエンターテイナーだし、リズム隊ふたりとも熊谷さんの作る曲が大好きで仕方ないから、それぞれにその曲を輝かせるための最大限のパフォーマンスしてるんだなーって、そんなの当たり前じゃんって、無限に沼が深かったです。

1番サビ前の、雷槌のように轟く太鼓の低音に合わせての両手振り上げながら煽るダイナミックな仕草は、オーケストラを統括する指揮者のようでカッコいい。どこかで髪の毛わしゃってしてたのもとても刺さりました。

「腕の中で眠る 天使を見ていた」で差し出された両手はまるで、純真無垢な生命に触れるのが恐ろしいとでも言うような危うさがあって、胸がぎゅっとなりました。

東山さんの高速英詞ラップ詠唱のときのピアノの旋律に合わせた華麗なスピン、大好き。

ラスサビ前、差し込まれる不気味な低音の笑い声の同期音、その瞬間に微笑む熊谷和海。その微笑みを目撃して平静を保てる人間が果たして存在するのだろうか、否。人物の輪郭が暗闇に溶けて境界が曖昧になる、あの薄暗く怪しげな照明演出のなかで、明確に歯を見せ口角をあげる、それはまさに魔王様の微笑みそのもので、でも邪悪なだけでなく、どこか優しさの滲む母親の微笑みにも見えて、脳裏に焼き付いて離れない、魔性の魅力。


ここまでノンストップで曲を繋げてきて、特に直前は魔王で、散々カッコよくてビリビリくるBURNOUT SYNDROMESを浴び続けていたところに、MCに入るときの「バーンアウトシンドロームズでーす」の優しく真面目なお兄さんたちという雰囲気のギャップがまた、沼が深くて困る。


石川さんが、大阪はほとんど即完みたいなソールドアウトだったと告げて、2DAYSにすればよかったなって話していた。

石「ツーデイズにしたい理由があって、聞いて?熊谷くん俺の不幸話大好物やろ」

熊「腹抱えて笑う」

大阪公演だから、石川さんはチャリで来られるらしく、でもなんば停めるとこないから近くの電機屋に停めたけど、営業時間21時までだから、俺だけ明日も来ないといけない、らしいです。知らんよー、ちゃんと駐輪場探そ?ただし、2DAYSはいつでも大歓迎です!!

あと、「足元と気圧の悪いなかお越しくださり」みたいな言い方してた、熊谷さんは、いた。低気圧しんどいよねわかる。


熊「今年はたくさん働きましたよ」

石「熊谷くんは配られたカードで勝負する天才やん。コラボたくさんして、FLOWさんとかCHiCOさんとか、大富豪で言ったら2よ。2来たらどう思う?」

熊「やったあ2だあ。ワンチャンあるー。これは次大富豪あるぞって」

石「俺なら強すぎて怖くなって大富豪に渡しちゃう」

熊「優しいな」

この優しいな、の落ち着いた柔らかい声音に、優しいのはあなたでは?って勝手に舞い上がっていた私です。

石「どうなん、急に2配られたときの心情としては」

熊「2、まあコラボしてってことね。彼ら彼女らには2である理由があるんですよ。それぞれの最強のものを持ってて、それを貸してもらってるって感覚かなあ。それに対してもちろん私は私の最強のカードを出すし。そうやっていいもの作って、仲間を増やしていった感覚です」

石「俺はお前の5やと思ってるで」

そうやって言った石川さんに対しての返しが間髪入れずに「6!」なの、熊谷和海。そう言ったときのキラッとしたいたずらっ子みたいな表情と言い方がもーーかわいい。普段悟ったみたいな達観した静かな雰囲気のひとが、メンバー同士で戯れ合っていると急に幼くなるの、男の子って感じにぎゅっと心が温かくなる。愛おしい。

石「でも5とかスキップできるで」

熊「じゃあ5です。そんなん言うやつはもう5」


ここのMCは、FLOWさんとのコラボをきっかけに2024年までのバーンアウトが世界も回って、いろんなアーティストとコラボもして、そうやって力をつけてきたんだよーっていう成長を言葉でも語ってくれている感じがしたパートでした。そこからの、コラボ曲披露は、とても熱い。


石川さんはMVの真っ赤なザクみたいなベースを構え、熊谷さんの傍にはテーブルに乗せたラップトップとパッド型シンセサイザー(?)が置かれた状態で「今日は世にも珍しい熊谷和海バージョンのKUNOICHIをお聴きください」って石川さんのアナウンスではじまった、KUNOICHI

前回日本でこの曲を披露したときはASCAさんをゲストに迎えたバージョンだったわけで、シンガポール公演のときともまた違う機材なわけで、もういっそこの曲自体がこの日ライブ初披露と言っても過言じゃないと思う。公演ごと楽曲ごとにどうやったら納得できる仕上がりで披露できるか取捨選択をくり返しながら、新しいものだって積極的に取り入れて変幻自在で挑戦的な彼らのライブだから、いつだって目が離せないなって思うんです。

個人的には、熊谷さんの指先に視線が集中してしまった曲でした。欲を言うと、パッド押してる手がもう少し見えるといいなあって。いや、まあね、ステージとの高低差的に難しいのわかってるんだけど!!熊谷さんの綺麗な手が指先がパッドの上で踊るのなんて、絶対見たいじゃん?ねえお願い!って気持ちです。熊谷さんの手、芸術品だもの。

右手でパッドを操りながら歌って、時にはギターも奏でる熊谷さん。私には、一度観ただけでは処理しきれない情報量の多さで、観ているだけでもパンクしそうなのに、それを苦もなくさらっとやってのける佇まいが、すごいなあって。魔王では石川さんがベースとシンセの二刀流だったけど、それももうめちゃめちゃ忙しいじゃん本当にすごい!と思っていたのに、じゃあこれは三刀流ってことですか。余計に理解が追いつかない。BURNOUT SYNDROMESは本当に想定外になんでもやっちゃう、ジャンルレスなバンド。


コラボ繋ぎで、次の曲。FLOWさんと共作の、I Don't Wanna Die in the Paradise。最近とても身に染みているのは、石川さんの凄みの効いたラップがカッコよくて仕方ない、ということです。

重心重めでダンサブルなEDM調に、ノリよく心地よいラップの抑揚。そこに馴染みよく歪ませたディストーションギターの響き。もうすっかりこの曲も自分の魂に刻まれたビートになった心地がして、楽しく自然に身体がのっちゃう感覚が誇らしいんだ。

推しの間近でのギターソロ、って言う刺激に飢えていたこともあって、目の前にあった光景がカッコよすぎて、目眩がした。ギターソロがカッコいいなんてもちろんなんだけど、その後のお立ち台乗ったままじっくりギターでフロアを撃ち抜いていく姿もとても雄々しかったし、視線でもがっつりフロア射抜いてて最高だった。視線が見える幸せに合掌。ご馳走様です。


大興奮に上がりかける歓声が、このまま曲が続く気配を感じて次の曲を待つ期待の静寂に上書きされる。徐にお立ち台の上でしっかり足場を固めて曲のきっかけを待ち構えてる姿がカッコよくて堪らなかった。アタシインソムニア

イントロのフレーズを響かせている熊谷さんを、ただ夢中で見上げて、その懸命に輝く姿を目に焼き付けてる瞬間が私の幸せだなあ。フロアとステージの隔たりと高低差っていうのは、こうやって無遠慮に心ゆくまで推しを眺めるために存在すると思う。ライブハウスってなんていい場所だろう。アタシインソムニアのダークな雰囲気も相まって、こうして見上げていると被征服感というか、カッコよさで心を掌握されている感じがして全面降伏状態になる。好き。


熊「最新曲と昔の曲聴いていただきました」

石「最初のアルバムから5枚目までね」

熊「5枚目?」

石「熊谷くん知らなかったらもうお手上げ」

熊「5枚目??」

前日に解禁された5thアルバムのこと、すっとぼけ続けるお茶目な熊谷さん。そんな戯れに対応する石川さんの声音はいつも優しい。愛。


会話の前後とかどの曲間のMCだったとか全然定かじゃないけれど、ファンに向かって「あ、まだ聴いてない?」って新アルバムもう聴いたマウントとってくる石川大裕大好き。だってあなたがいちばんのファンだもんね!!!!!大好き。それに対してさらっと「最初なんじゃない?」みたいに熊谷さんが合いの手入れてたのもとても好き。だって石川さんがいちばんのファンだもんね!!


石「勝手にアンケートとったのよ。どの曲が気になりますか?って。初恋カプチーノが多かったね。やっぱこの、漢字カタカナの組み合わせがええんかな。刹那レボリューションとか」

熊「瞬間センチメンタルとか、プライド革命とか?」

石「他はなんかないのカッコいいやつ。いま考えて」

熊「え?刹那レボリューションってないの?オリジナル?それはすごいわ」

石「これ革命してんの一瞬やしな(笑)」

熊「革命はゆっくり時間かけてやってほしい(笑)」


石「あとは、BABELも多かったね」

熊「ああ、そう。なんでやろ。捻りはないのに」

石「の塔が付いてないのがええんちゃう?」

熊「ああ(笑)」

ここでまさかの、未発売の新曲披露は想定してなかったなあ。「夢に敗れた男の歌です」と熊谷さんの言葉で紹介されてはじまった、BABEL。穏やかな曲調の打ち込みサウンドに感じる心地よさとは裏腹に、夢の喪失とそれを受容せざるを得ない状況を描いたような歌詞に息苦しさを感じた。諦めて歩みを止めたんじゃない、足場が崩れて落ちていく映像を想像して、途方もない喪失感を感じた。そこに響いた石川さんのコーラスがとても健やかで柔らかい光のようで、どうしてそんなに穏やかなんだ、って。いままさに世界に飛び出して階段を登り続け、果ての光を目指しているはずのあなたが、どうしてこの詩にこんなに穏やかな曲調を重ねられるのか、混乱する。喪失と絶望と共に救いや希望を歌っているようで胸をギュッと締め付ける曲。あれこれ考え尽くすのはリリースしてからじっくりやりたいけれど、初見の感想っていうのは大事だよね。

「自分の才能を信じて 仲間を頼れば 何か違っただろうか」ってそんなニュアンス(本当にニュアンス)の一節が何よりも色濃く私のなかに残っていて、嗚呼これはきっと、もしもの世界の話なのかなって、そう思わないと私自身を保てないから、いまはまだ、そう思っておくことにしました。

 

確かMCは挟まず、そのまま続いた、The WORLD is Mine。何度か見たことがあるバックモニターに映し出された映像が、この日は一際鮮やかで美しくて、惚れ惚れした。それに加えて、熊谷さんって色彩感覚でまでひとを惹きつけるんだなって感嘆してしまう。あんなに綺麗なのはもしかしたら、新しめの箱だからそういう設備が整ってたり優れているおかげなのかなって思いもしたけど、それにしてもあの柱と、ステージから完全に見切れる空間は憎らしいよね。

 

新しいアラルバムについて、ブラジル人ラッパーとのコラボもあるってことを説明していたのは一体全体いつのMCだったか。安定の曖昧記憶。熊谷さんは、「面白いことになってる」みたいな言い方してたなあ。それはきっと曲の仕上がりもだろうけど、コラボすることになった経緯とか、そもそも地球の裏側の国のひととコラボしてしまうという状況そのものが想定外で不思議なご縁なんだろうな。

熊「石川くんがナンパされて」

石「DMきたんですよね」

熊「Hey,bro! って」

石「Hey,bro! って。お前のラップ最高だぜ!ってきたから、お前も最高だぜ!って返して」

熊「聴いてへんやろ」

石「そしたら一緒に曲作ろうぜ!ってなって、俺はよく分からんけど熊谷が頑張るぜ!ってぽいって投げましたね」

熊「ブラジルで2日間ライブがあって、1日目がVIPたちにお披露目する日で、そこに彼がいて、ブラジルの有名なラッパーだったんですけど、彼もアニメにも関わっているってことで呼ばれてて、そのライブの後に連絡がきたんですよね」

石「完成したの聴いたけど、あれはハイクオリティやったね。熊谷くん国籍変えたんかな?と思ったもん。俺のなかの魂のビートにはない音楽鳴ってた」


石「2022年からやってるから、このツアーも2年目ですか?擦り倒してますよ。みんなが思ってたこといま代弁してもうた(笑)。タイトル変えたほうがいいか皆さんに訊いてみる?変えた方がいい派のひとー」

熊「変えたほうがいい派なんて要らんよ。変えたいなら代案も持ってきてほしい」

石「なんなんそれ。バイト休むなら代わり見つけてこいみたいな(笑)」

熊「実際これ以上が思いつかないんですよね。ワールドツアーだってことが分かりやすくて、自分たちの曲ともかかっていて」

石「公募してみる?熊谷くんのX、はいま送れないから」

熊「そうなん?」

石「石川のインスタにDMで送ってきてください。そしたら勝手に使うんで。許可とか取らない。この人に決まりました!とかも発表もしない(笑)。あ、私のだって思っててもらって」

結局フロアへのアンケートは行われたんだけど、たぶん唯一手を挙げた変えなくていい派のファンに「愛してます!」って伝えてた石川さんは、いた。いた?

熊「(どっちにも挙げない)中間のひとはなんなん?熊谷に気を遣ってくれてるひとたち?ありがとう」

石「ライブがあればなんでもいいんじゃない?なんでもいい派のひとー?」

石川さんが、私たちの心情をよくわかってることに嬉しくなって、ノリノリで両手挙げちゃった。そりゃあ素敵なタイトルは心を擽るしときめくけど、ライブしてくれるなら、こうして対面できる機会があるなら、本当になんでもいい。クリエイターに対して要望伝えずなんでもいいって言うの、きっといちばん困るんだろうなあってことは承知の上で、あなたたち自身が楽しみながら何かに取り組んでいるならなんでもいいんです、がち。


石「7カポやろ」

熊「違いますー。この、カポっていうのがあるんですけどね」

石「え!?リハのときは7やったで」

熊「今日は8ですー」

この石川さんの普段からちゃんと見てますよ違いにも気づいてますよ感、最高だなあと思いました。

アコースティックギターに持ち替えての、吾輩は猫である、前にこんなやりとりがあったようななかったような。曖昧記憶過ぎるので、ここだった!ってわかる親切な方はどうかコメントください。


どこにどのMCがあったのか、明確な曲振りみたいな繋がりがないと全然覚えられないんだけど、来年20周年を迎えるBURNOUT SYNDROMESっていうバンドは人間で言うところの160歳である、って石川さんが言っていた。Wikipediaに載っているある程度の活動期間があるバンドのデータから活動期間の平均を出すと(割とちゃんとしたデータらしい)大体11歳くらい。


石「酸いも甘いもいろいろもいろいろ経験してきましたね。…甘いあったかな」

熊「我々酸いしかなかった。いまもずっと泥水啜りながら続いてる」

石「もともと3ピースでやるつもりなんて全然なかったですからね。オーディションに合格する人材が見つからなかっただけで。いまは皆さんが4thメンバーだから、本当にありがとうございます」


「拳はそのまま!」って突入した、PHOENIX、から、Melodic Surfers、君をアンインストールできたなら、と普段はなかなか聴けない曲が続くときの大興奮。ライブの終わりを意識しはじめる終盤に、寂しさを感じさせる隙を与えない怒涛のキラーチューン連投。それも!これも!聴けて!いいんですか?!もう!それもこれも全部!大好き!!


にこにこで石川さんと向かい合って弾いてるギターソロや間奏も大好きだけど、PHOENIXみたいにマイク前でど真面目に弾きこなす姿も真剣な表情もカッコいいよなあ、って愛でておりました。

敵の鉄壁砕く華麗なスパイクモーションは、アクションのカッコよさにも心を掴まれ続けているけれど、加えて、ハイキュー!!への敬意と、自分たちの曲が世界中でバレーボールの曲として愛されていることへの誇りの表れのようで、愛おしくて仕方ない。


Melodic Surfersの「サビメロで拳あげろ」って歌詞変が大好きです。最近は「プレイリスト加速する」なんだよね。いや、前からだったかもしれないけど。


加速した熱量そのまま、君をアンインストールできたなら。たぶんこの曲なんだけど、廣瀬さんの激しいドラム捌きからのスパッとシンバルミュートの一連の鋭さがめちゃめちゃカッコよかった。


煽りを挟まず「飛べ」ではじまった、FLY HIGH!!。ライブハウスに足を運ぶっていうことが、日常にはなかった頃の私が、はじめてこの曲を聴いたときのときめきを思い出した。

シンガロングパート、途中から熊谷さんのガイドボーカルが入らないとき、完全に4thメンバーである私たちに任せきっている感じがして最高に誇らしい。公式の動画にもあげてくれていたけれど、ずっとちゃんと歌が聴こえる、最高だなあ。


楽しすぎていろんな曲聴けて満足すぎて忘れかけてた、そうだった!私!この曲聴きたかったんだった!って、Amaterasのイントロが鳴ったとき気づいたら拳握ってた。

楽器そんなに詳しいわけじゃないけど、本当にほぼ全く手元見ずに奏でてるアルペジオ、容易くやってるように見えちゃうから、ギター弾けるひとってみんなああなのかな、とか考えちゃう。たぶん、そんなわけない。


アンコール。バックスクリーンにででんと映っている熊谷さんのメイクマネーポーズの腕。きたあああ、邪教・拝金教。熊谷さんの読経が最高でした。役割になりきる熊谷さんの憑依性とその声と揺らぎ方の相性がとてもいい。直接脳に語りかけるような響き方していて、教祖として人々を洗脳してしまえそうな説得力が十二分。

逆光で怪しく浮かび上がるシルエット、一際存在感を放つ真っ黒い影が、「飢えて死ね」で自身の脳天を撃ち抜いた瞬間、私は崩れ落ちた。熊谷さんの仕草があまりにもキマっていて、狂っていて、自らの頭に突きつけた指の銃口とそれを撃ち抜いた瞬間に傾げた首の角度、タイミング、照明演出、そのどれもが完璧すぎて、これをこの距離感この位置で、正面から喰らってしまったらもうひとたまりもないです。

親指と人差し指で輪を作ったハンドサイン、左手は天高く掲げ、右手はお腹の前で構えたそのポーズは、どこか阿弥陀如来の来迎印のような尊さや神々しさも携えながら、その実その円が表すのは間違いなく"金"なんですよね。私たちを極楽浄土へと導いてくれるのは仏様でも神様でもない、この世の全てを支配するのは、金。

間奏になって、颯爽とハケていく熊谷さんとドラム前のスタンドからマイクを抜き取る石川さんが交差して、それと一緒のタイミングで徐に立ち上がり前に躍り出た廣瀬さん。えー熊谷さんどこ行っちゃうのー?え?あ、これ物販紹介だ!曲の途中で?!って全てを察した瞬間の笑いが止まらなくなる感じ、愉快。とても愉快。BURNOUT SYNDROMESってど真面目にこういうことしちゃうんです、好き。

センターに立った廣瀬さんの側で優秀な側近の如く片膝ついてマイクを構え、適切なタイミングでグッズを取り出して廣瀬さんのサポートに徹する石川さんも最高に愉快。

「あー、結構もう購入されている方いますねでもまだ」

「こちらポーチ中に幸福が入っております」

「これらグッズ全てをこちらのトートバッグに入れてお持ち帰りいただいて」

「全部ご購入いただける方は、手を(メイクマネーポーズで)挙げていただいて」

「ただいま曲はループしております。ここにいる皆さん全員が手を挙げるまで止まりません。もちろんライブハウスの扉も開きません。帰れませんからねえ」

喋り続ける廣瀬さん。それはもうひどく流暢に紡がれ続けるグッズ紹介と拒否権のない購入せよという圧。もはやバンドグッズが幸福になれる壺とか病気が治るただの水とかの扱い。怪しい新興宗教の集いとして、胡散臭さの解像度が大層高くて声出して笑っちゃった。その間ずっと札束の雨がバックスクリーンには降り注いでいて、異質な空間をより演出してた。

これ、このあと戻ってくる熊谷さんはどんな顔して歌うんだろう、笑わずにいけるのかなって急速に興味が湧いてきたけど、照明で全然見えなかった。前半散々賞賛した完璧な照明演出が、このときばかりは憎い。

袖から戻ってくる熊谷さんが石川さんの後ろを通り抜けようとしたとき、ぶつかりそうになって咄嗟に背中に手を添えて回避してたのなんか無性にきゅんでした。曲の雰囲気を壊すまい流れを決して止めるまいと颯爽と通り抜けていったの、好き。

 

熊「購買意欲の湧かないグッズ紹介でしたけど(笑)」

石「普段お客さんの声ってあんまり聞こえんけど、『タイミングーっ』って声がばちーーって耳に入ってきた(笑)」

熊「大阪やな。もうその反応はメンバーやん。メンバーに欲しい」

このとき一瞬、私の脳内では七海龍水が「欲しい!」って声をあげた。


熊「この曲書いたときは、海外まだ一本も決まってなくて、クランチロールだけ決まってたかな。調子乗って世界がーとか書いたら本当になって」

石「飛行機のタラップをな」

熊「言ってみるもんですね。なんか、言っときたいことある?」

最後の曲、Good Morning [New] World!。

「おはよう世界 Good Morning NEW WORLD!!」って熊谷さんの声が響いて、国内でも世界でも、これからも続いていくBURNOUT SYNDROMESの未来を思った。

 

いままでは、アルバムを作ることで新しい試みをして、それをどうライブに落とし込んでいくかって試行錯誤しながらツアーを回って、バンドとしてステップアップしていく流れが本流だった気がしてるんだけど、でも今回は、もうすでにそこに進化してカッコよくなったこれまで世界を回って成長した軌跡が詰め込まれてるんだなと思った。この数年間、世界を回り、様々なアーティストとのコラボもして、仲間や武器を増やしまた一層カッコよくなったBURNOUT SYNDROMES。それがこの大阪公演にも存分に反映されていて、だとしたら、リリース後の東京公演はどうなっちゃうの?その先は??って想像を膨らませたら、そんなのもう、未来に期待しかない。

 

Good Morning [New] WORLD TOUR 2024のセミファイナルである大阪公演は、世界を経験したBURNOUT SYNDROMESのお披露目とニューアルバムへの期待を存分に高めてくれた、ある意味で節目みたいなライブだったなあと私は思いました。そしてこれからも変化して進化していくから見逃してくれるなよ、と言われているようで、過去から現在そして未来まで、まるっと愛おしく思えた日でした。

今日もわたしは、BURNOUT SYNDROMESのことが大好きです。

 

追伸。

最後の写真撮影で、こっち俺の方、って認識してる石川さん非常に愛おしい。そして、端っこのひとどうしよう、詰める…にしても無理があるしどうしよう…ってなってるところ3方向3枚撮りましょう!ってスパって提案した廣瀬さん、なんてできる男!!ってなりました。

 

SE.Paradise or Birds
01.Good Morning World!
02.Bottle Ship Boys
03.ヒカリアレ
04.魔王

05.KUNOICHI
06.I Don't Wanna Die in the Paradise
07.アタシインソムニア

08.BABEL
09.The WORLD is Mine

10.吾輩は猫である

11.PHOENIX
12.Melodic Surfers
13.君をアンインストールできたなら
14.FLY HIGH!!
15.Amateras

en1.邪教・拝金教(の合間にグッズ紹介)
en2.Good Morning [New] World!

FLOW THE FESTIVAL 2024 Day2

memo.

 

FLOW THE FESTIVAL 2024 Day2

w / Creepy Nuts / JAM Project / ORANGE RANGE / SCANDAL / BURNOUT SYNDROMES / ROOKiEZ is PUNK'D

2024.06.30(日) @ぴあアリーナMM

 


アニソン界を牽引する怪物ロックバンド、FLOW先輩が主催する“ロックバンドが創るアニソンロックフェス”。ジャンル毎、界隈それぞれに特有の空気感ってあると思ってるんだけど、この日の空気は、アニメイベントのときの勢いとロックフェスのときの熱気が融合して新たなジャンルを確立してる!みたいな空間だった。まさに“創る”だった。

 

 

ROOKiEZ is PUNK'D

welcome actのROOKiEZ is PUNK'D。アコースティック編成素敵だったなあ。弱虫ペダルの主題歌に合わせて、「もっとケイデンス上げていこう」ってアニメファンを喜ばせてくれる煽りも素敵。リクライムからコンプリケーションに繋ぐMCが、弱ペダを連想させる「登り坂下り坂」って単語も交えて、「もがく」ってコンプリケーションの歌詞からの引用に移っていく感じ、個人的にはグッときた。MCの言葉で次の曲を連想して、好きな曲くる!ってときの期待感、一喜一憂するドキドキ感大好きだなあ。

 

デュラララ!!を観てたあの頃の懐かしさが、アコースティックサウンドでこれでもかと刺激されて、暖色のライトで照らされる温かい雰囲気、いま改めて感じる「泣き出しそうな表情で憂う低い空」って歌い出しの詩の美しさと優しさも相まってじーんと沁みてうるっときた。

 

「『FLOWフェスやべーぞ。welcome actから全部観ないと!』って思ってもらうには、みんなの盛り上がりにかかってる」ってイベントを思った熱さも素敵だった。

 

1.IN MY WORLD
2.Song for...
3.リクライム
4.コンプリケイション

 

 

BURNOUT SYNDROMES

間にノンスタ井上さんを迎えたトークコーナーを挟んで、いよいよアニソンロックフェスの幕開け。トッパーにBURNOUT SYNDROMES、って間違いないんです。リハからはじまる石川さんのアイスブレイクに頰を緩ませながら、久しぶりのフェスシンドロームズにわくわくしてた。

サラッと斜陽の間奏奏でる熊谷さんに、しゃ?!よ?!って動揺したり、「キックをください」って声がなかなか廣瀬さんに届かなくて遂には「キックを踏んでくれ」って砕けた言葉遣いに心臓掴まれたりとか、しました。

 

ライブ本編。エウレカ役の名塚さんの声がその開始を告げる。BURNOUT SYNDROMESの登場を導くアナウンスに、待ってまってトッパーめっちゃおいしいじゃん!ってなりました。

 

どんなに大きな会場でも端から端まで動き回る石川さんの情熱。普段はなかなか見られてないけど、巨大モニターに映る演奏中の廣瀬さんのカッコよさ。アニソン大好きなのが溢れ出てていつになくノリノリな熊谷さん。三者三様に愛おしいシンドロームズ。

 

ヒカリアレ。ギターソロのあと、下手のお立ち台から勢いよく飛び降りたそのシルエットがまるでバレーのスパイクフォームのようで、綺麗で力強くてカッコよかった。めっちゃ気合い入っててノリノリだあああって思いました。

 

ヒカリアレから魔王への繋ぎ、くり返される「ヒカリアレー」って聴き慣れたSEのコーラス。その音程がだんだんと上がっていって魔王に辿り着いて、そのままピアノの旋律が流れ出すのめちゃめちゃカッコよかった。厳か。ヒカリアレ、そこに光があった。って聖書の一節から、神様なんて人でなしと切り捨ててヒカリナキセカイで生き抜く強さを歌う魔王っていう対比もあって、この振れ幅がBURNOUT SYNDROMES!!彼らこういうことするのよ!好き!!ってなった。対バンイベントでこれができちゃうの、すごいなあ。

 

そんな日本初披露の、魔王。アリーナの大きさと照明の豪華さで戦闘力が増すイカつい曲。モニターに抜かれるステージからのカメラアングル。不敵に佇む熊谷さん越しに、無数のペンライトの光が怪しげな雰囲気で揺らいでいて、まるで世界を統べる魔王様のようで、そのカッコよさに唸っちゃった。

 

「ロックバンドでありながら胸を張って『アニソンありがとう』って言えるイベントを創って、そこに自分たちを呼んでくれたFLOWさんに本当に感謝してます」って熊谷さんの言葉には、FLOW先輩への敬意とアニソンへの愛が込められてた。FLOW先輩が整えてきてくれた道を辿ったその先に、BURNOUT SYNDROMESだからこそできる何か探しているような気配もして、改めてこのバンドが成し遂げる何かを目撃していたいなって思った。大好きだよー。

 

「ペンライトをオレンジにできますか」って熊谷さんからの促しで、客席がオレンジ一色に染まる。ペンライトありの公演で、その魅せ方とかお客さんの巻き込み方を知っているのも、いままで数々のイベントにお呼ばれしてきた彼らだからこその強みなんだろうなあ、って微笑みたくなった。

 

そうやって、オレンジ一色で迎えたPHOENIX。「オレンジの向こう 青く揺らめく青春へ」って歌うその瞬間にステージを青く染めるライティング。スタンドからの景色が、一面オレンジのアリーナ、その向こうに青く揺らめくステージ、っていう歌詞そのままで感嘆しちゃったなあ。とても綺麗だった。

 

0.BLIZZARD
1.Good Morning World! - Dr.STONE
2.ヒカリアレ
3.魔王
4.I Don't Wanna Die in the Paradise with FLOW(KEIGO & KOHSHI)
5.花一匁
6.PHOENIX
7.FLY HIGH!!

 

 

SCANDAL

少女S聴けたからわたし大優勝。「今日のみんなが喜んでくれるかな」って選曲のあの頃のアニソンも「いまのわたしたちも知ってほしい」って選曲も好き。昨年、“同一メンバーによる女性最長活動ロックバンド”としてギネスに認定されたらしくて、それはつまり、この先続けている限りずっと世界一、ってことで、なんて偉大で凄まじいことなんでしょう。

 

1.HARUKAZE
2.少女S
3.群青pleats
4.Plum
5.ファンファーレ
6.テイクミーアウト
7.Image
8.瞬間センチメンタル - 鋼の錬金術師

 

 

ORANGE RANGE

間のトークコーナーでも「オレンジレンジはアニソン1曲もやらないかも」って予想されてたくらいの奔放なひとたちで、実際にアニソンは、BLEACHの映像と一緒に届けられた*~アスタリスク~の1曲だけ。でもだからこそ、上海ハニーにはじまり以心電信、ロコローションイケナイ太陽、あの頃馴染んだ知ってる曲ばかりの懐かしい選曲が、まるで学生時代の自分がライブハウスで手を挙げているような不思議な感覚にしてくれた。

ライブハウスと縁はなくてもアニソンとして好きでカラオケで歌いたくてフルコーラスを何度も聴いてたあの頃と、音楽を好きになってバンドを好きになって、そんなひとたちが集まるあの空間の熱気が好きないまの自分が交錯した瞬間だった。

 

BLEACHのアニメ映像と一緒に*~アスタリスク~のイントロが鳴った瞬間に歓声が漏れ出るフロア、それを受けて「もう分かったね?」って更に気持ちを高めてくれるMCが、音楽フェスのそれだったなあ。

 

1.上海ハニー
2.Pantyna
3.以心電信
4.ロコローション
5.*〜アスタリスク
6.はい!もしもし・・・夏です!
7.はい!もしもし・・・夏です!(やり直し)
8.イケナイ太陽
9.キリキリマイ

 

 

Creepy Nuts

観ててとにかくわくわくした。バンドでも弾き語りでもアイドルでもない、ラッパーとDJのコンビ。新しいものに触れて、それが楽しくて胸が高鳴る、そんな体験でした。Bling-Bang-Bang-Born聴けたのとても熱い。

 

よふかしのうた、のとき、ステージで白く光るCreepy Nutsのロゴがブルーのレーザー光線を反射して、立体的に浮かび上がってるように見えたの綺麗だったなあ。シンプルで、だけど圧倒的に印象に残る映像。

 

 

FLOW
主催であるFLOW先輩のステージは、FLOWというバンドのカッコよさ熱さバイタリティも存分に見せつけながらも、コラボレーションだらけの超豪華特別ステージ。

シークレットゲストにCHiCOちゃんを迎えて提供曲。ジャムプロからきただにひろしさんを迎えてのウィーアー!の披露。これには思わず感激で声上げちゃった。GO!!!のCreepy Nutsとのコラボも豪華だったなあ。スクリーンに映るコール&レスポンスの字幕を見て、もしかしてBling-Bang-Bang-BornのBangと弾丸のようにぶっ放す合いの手のBangで繋がってる選曲?とか思った。

 

 

最後の最後のオールラインナップスペシャルコラボレーションは、出演者全員でのCHA-LA HEAD-CHA-LA。上手で誰よりもノリノリで身振り手振り、全身で歌い上げる熊谷さんがとっても愛おしかった。アニソン大好きな少年がひとりカラオケで人目を憚ることなく自分自身を解放してヒーローになろうとしてるみたいな愛おしさがあった。センターのお立ち台に躍り出てノリノリで歌い上げるパートには、こんなに素敵な役目を授かって!!FLOW先輩ありがとうございます!!って即座に直角お辞儀した。足向けて寝られない。(お立ち台に登るときちょっと躓きかけてる決まりきらないところさえも愛おしいですもちろん)。

 

これは余談なんですが、トークコーナーのとき井上さんがステージ脇とかフロア出ていいこととか知らなくて、外出て騒ぎになっても迷惑かけるの悪いからって「ずっと楽屋のモニターで観てた」って話してたの、なんで勿体ないんだ!!ってなってしまった。誰か教えてといてあげてぇぇってなった。

Good Morning [New] WORLD TOUR 2023 in Singapore

memo.

 

BURNOUT SYNDROMES

Good Morning [New] WORLD TOUR 2023 in Singapore

2023.10.13(金) @Gateway Theatre

 

熊谷さんの衣装、最近お馴染みの派手柄シャツは前フルオープンで、羽織り物として着てた。モノクロのタンクトップと薄い胸板が遂に顕になってました。でも不思議と、チラ見えよりは背徳感がなくて心穏やかにいられる気がします。途中、シャツの裾がギターに被って、ぐっと掴んでがっと仕舞うその荒々しさ、思わず微笑みたくなる。衣装と格闘する熊谷さん、そろそろ馴染みの光景になりつつあるのでは。そんなところもきゅーとだと思います。

 

最初の曲、Good Morning World!。丁寧に、でもちょっと荒々しく袖を折り曲げて腕まくりしてからのこの日最初のギターソロ。

ドラム前に集まって、3人向かい合って演奏するあの至福の瞬間、熊谷さんのスタンドマイクの横に立てられた英語MC用のカンペがちょうど私の良好な視界を阻む。綺麗に熊谷さんと重なって、あ…盲点…ってなっていっそ笑ってしまった。後ろのひとの視界は遮らないから…どうか許して…と蹲み込んで漸く、スタンドの隙間から捉えられた姿。私のなかにあったできるだけ多くを見届けたいという想いは、どうやら当初よりずっと太々しく育っているらしかった。できれば、片時も見逃したくない。

 

ヒカリアレ、エレベーターガールを経ての、最初からフル英語のMCでのメンバー紹介。廣瀬さんのMCが、「I'm looking forward to」からはじまって、ちょっと変えてきてるーと思いました。熊谷さんの問いかけに、ドラムで応えるやり取り、めちゃドラマーでそわっとした。そういうの、好き。

 

メンバー紹介を終え、次の曲へと繋ぐMC。熊谷さんが、三味線を知っていますか、とフロアに問いかけて、弦が一本二本三本とある叩いて演奏する楽器だ、と説明した。「べんべんべんべん」って三味線の音色を擬音で再現する熊谷さんがとてもきゅーと。その声がとてもいい声で、音色を弾ませる再現度が高くて、無性に好き。

そんな三味線のアニメ、ましろのおとの主題歌が2曲ある、と、まずはBLIZZARDへ。脳内で韓国での最高に超カッコいいサビ入りがチラついて、期待を込めて見つめた。頭上指差したままの力強い指先も、カッコよくて好きだなあ。

2番間奏ギターソロ前、美しくシルエットを浮かび上がらせる薄暗い照明が、熊谷さんの緩慢な動作の妖艶さを引き立てた。来るその瞬間は、まるでスローモーション。事実、ゆっくりと恭しく、ギターのボディーに唇を寄せたその姿の引力は凄まじい。吸い寄せられるように、食い入るように見つめてしまう。この魅力からはどうしたって逃れられないと思う。

 

続いてもう1曲ましろのおとから、銀世界。この曲の真っ直ぐに応援歌なところ好き。軽快な足取りで前へ前へと進んでいく力、走り続けるその姿が春と一緒に私たちも連れて行ってくれる。

2番のたぶん、音すら凍る氷点下、の部分、歌ってる熊谷さんのその隣に石川さんがいて、両手ひらひらしながら石川さんに雪を降らすみたいなアクションで手を差し伸べてたの、はじめてのアクションだった。

 

そのまま、和の雰囲気を引き継いで、鳴る祭囃子で、若草山スターマイン、からの、The WORLD is Mine。そして、見慣れぬ転換。

センターにシンセサイザーとラップトップが設置されて、下手にもシンセサイザー。未だかつてないセッティングに、もう、もう、あの曲しかないよね?!ってドキドキしながら明転と熊谷さんが話し出すのを待った。

新曲がある、先週リリースしたばかり、今日のために仕上げてきた、と英語での曲振り。「for Singapore.for you」と現地を盛り上げて、「you」「you」とフロアを指さしていく、初披露の特別感に、頬が緩む。

「Do you know KUNOICHI?」と尋ねて、わかるわかると反応するフロア。それを確認して、さらりと呟いた英語のひと言。聞き取れないし和訳できないけど、準備が無駄になったな…ってニュアンスに感じとれる、あのアメリカンジョークみたいなノリ。余裕のある感じで、困ったな、って眉を上げる反応がとっても英国感あって心を擽った。英語のMC、クセになりそう。

せっかく準備したから聞いてくれと言わんばかりに、続くくノ一とは?の説明。ナルトは忍者、サクラがくノ一。この説明で通じてしまうのは、日本のアニメが共通言語として成り立っているということで、それはとても凄く、誇るべきことだ。

初解禁されてから、飽きることなく延々と聴き続けて、もはや耳に馴染んだKUNOICHIのメロディが流れるシークエンスと、いま目の前でそこに音を重ねているシンセサイザー。熊谷さんの指が鍵盤の上を踊っている。その打鍵に従って赤、青、緑、と鍵盤が光るのはまるで、彼の指先が七色の光を操っているようで蠱惑的。

どこか淡々とくノ一パートを歌うその姿から一転、落武者パートになるとスッとスタンドからマイクを抜き取り颯爽とステージの前方に踊り出して歌う。悩ましい歌詞と大好きな歌声。

ラスサビは、右手でシンセを奏でながら、左手で上下左右に腕の曲げ伸ばしも加えてフロアを煽る煽る。途中、綺麗な手が滑らかに鍵盤の上を滑った。嗚呼!熊谷和海のグリス!!!まさか、まさかさ!ピアノを奏でる熊谷さんを拝める日が来るなんて、そんな想像したことなかった。どうしたって心躍ってしまう。

これまで石川さんがシンセ弾いたり、ギター弾いたり、リコーダー吹いたりと対応してきたけど遂に、熊谷さんまでもが、ギターを置いて歌う、どころか別の楽器を奏でるようになったんだなあ。BURNOUT SYNDROMESに定型はなーい。好き。

KUNOICHI、かつてないほど熊谷さん忙しい気がしてそわっとしてしまう。ステージ上で推しが忙しそうにしてると無性にそわっとときめきで微笑みたくなっちゃうの何故だろう。きっと性癖。

 

BURNOUT SYNDROMESだけでのKUNOICHI初披露を終えて、MCに突入と思ったら、何かを間違えたらしくて「sorry」って言いながら仕切り直し。日本で有名なのは忍者だけじゃない、ゲームも有名だ、と話し直した熊谷さん。あ、そっち?と頭に浮かんだ疑問は思わず声に出ていたかもしれない。そこに困り眉を携えた笑顔で徐に近づく石川さんが、それはもっと後…って英語で言いながら、熊谷さんのMC用iPadを指さしていた。「Long setlist…」って困り笑いをしながら言い訳する熊谷さん、かわいい。

 

忍者以外に日本で有名なもの、本来の段取りに戻っての、「侍」。銀魂の曲として、花一匁。花一匁のさ、くるくるとスピンした勢いのまま弾き切るギターソロ、まるで鋭い太刀筋の様でカッコいいよね。好き。

 

どこの曲間か忘れちゃったけど、暗転中、フロアから飛んだ比較的野太い「I love you」に勿体ぶったような丁寧さで「I love you,too」って返すのもう、扱いも扱われ方も、超スター!って感じで、わくわくしちゃうね。海外は、お客さんもメンバーもノリノリだ。

 

「日本には忍者侍以外にも有名なものがあります」って、ここで!さっき間違えたとこはここです!ってニュアンスを含ませながらの「ゲーム」って紹介。そのニュアンスが伝わってふわりと笑いが起こる和やかな雰囲気、とてもとてもいい。

「Do you know “KONAMI CODE”?」と尋ねたけれど、芳しくないフロアの反応に、コナミコマンドとは何かの説明を続ける。「up up down down left right left right A B」の丁寧な説明。瞬時に対応するシンガポールのお客さんを見て「知ってんじゃん!」みたいなニュアンスで「You know」ってさらっとその場で返しちゃう感じ、えーーカッコいい、好き。

演奏と合わせて、丁寧なコナミコマンドダンスの練習。こういう丁寧さ、好きだな。例え知ってるだろうって雰囲気だろうとちゃんと全員に最初から参加して楽しんでほしいから、って優しさだと思う。BURNOUT SYNDROMESのライブはとても優しい。

そんなコナミコマンドを盛り込んだイントロのダンス、普段より長く続いたイントロに、海外は、ダンス覚えてもらう為にちょっと長めにする優しい仕様なんだなー、なんてその場では感心してた。ライブ後の擦り合わせで、私たちの感心は見当違い…って笑いながら思った。でもそれ以上に感心しちゃうような凄いことをさらっとしていたという真相を知って、今日もBURNOUT SYNDROMESが大好きだなあって思った。バンドって、凄いね。

ラスサビ前辺り、上手に躍り出た熊谷さんが大きなアクションで左!右!とコマンドダンスを煽っていく、その動作、力強く俊敏。カッコいい!

 

ハイスアガールの演奏を終えて、静かにステージを去るフロント陣ふたり。ステージのスクリーンには、匣体をプレイする少女。そのイラストの間に挟み込まれるセンテンスが、次の曲を仄めかす。〈ひとは、BURNOUTした分だけ成長する。何度挫けても立ち上がれ。あのバレーボールアニメのキャラクターたちのように。PHOENIXのように〉そんな内容で、フロアを熱気に包んだ。スクリーンのイラストのブロンズ三つ編み少女が、リプレイの為の硬貨を握り込んで、固く握り締めた拳を高く掲げてはじまる、PHOENIX

「羽ばたかぬ人生なんて」で、両手を広げたままゆっくり旋回する仕草が、飛行機みたいだった。彼らもそして私たちも、同じように飛行機に乗って空を渡ってここまで来たもんなあ、ってなんだか感慨深くてくすぐったかった。

シュッッシュッ、シューッ、シュッの左右左のシャドーボクシング、毎回ちょっとずつ違う。みんな違ってみんないい。大好きなとこ。そもそも、好きじゃないとこがないんだよなあ。

 

畳み掛けるようなMelodic Surfersから、 FLY HIGH!!。この曲が、シンガポールにまで連れてきてくれた。あなたと出逢えた大切な曲。フロアの熱気。異国シンガポールの空気がもう完全に、いつの間にかとっくに、BURNOUT SYNDROMESだけのものに置き換わってた。

 

スクリーンに映し出された素朴な男の子の添乗員が、旅の終わりを告げている。このイラストの口、こんなにちゃんと動いてたっけ、って映像の細部への拘りに、自分の曖昧な記憶力を反省しながら、最後の曲、Hikousen。

 

メンバーがステージを去って、ホールに鳴り響く手拍子とアンコールの声。幾分かの時間が過ぎて、なかなか現れないメンバーへの焦ったさからか、日本人アーティストへの気遣いからか、不意に英語の発音のアンコールが、「もう一回!もう一回!」のコールに変わった。チャンチャチャンの手拍子と共にホールを埋める、日本語でのアンコール。英語じゃ伝わらないと思ったのかな、って想像したら、なんだかとてもおかしくて、微笑ましくて、愛おしい状況だった。

余談ですが、このとき私の脳内では、日向が「もう一回がない試合だ!」って叫んでいた。本来試合にもライブにももう一回なんて存在しないんだよ、って得意げに思いながら、もう一回!もう一回!ってコールをしてる矛盾が余計におかしくって、愛おしい。

 

ホールを埋める手拍子とコールに、波飛沫の音。現れた熊谷さんと石川さん、2人揃ったハンドマイク。曲はもちろん、Ocean。

 

最後の曲に向けて、チューニングをしながら「サプライズだった」って英語で話しはじめた熊谷さんが、「もう一回!もう一回!」とコールを再現しながら膝を打つ姿、そーきゅーと。やっぱりどこか微笑ましい感じだったよね、あのコールね、「Thank youuu!」って締める、そーきゅーと。

 

最後の曲、Good Morning [New] World!。世界に羽ばたいているいまの彼らにとって、とても大事な曲。バックスクリーンに流れていたMVの映像が、彼らの姿に重なった。

 

——新しく書いた歌をカバンに詰めて

——飛行機のタラップを駆け上がる

 

世界に飛び、立つ、いままさに目の前にいる彼らの姿とリンクした熊谷さんの文章が、歌が、不意に視界を滲ませる。

 

——世界が私を待っている

 

ああ、その通りだ。こんなにも大勢のひとたちに待ち望まれて、いまこのホールに立っている。きっとまだ各国でこんな風に、彼らを待ち望んでいるひとがいる。その事実のスケールがとても大きくて、希望と絶望が同時に存在するような心地がした。世界に求められる事実が眩しければ眩しいほど、日本国内でのライブはきっとこの先も多くはない。それでも、世界に挑んでいく、一直線に、進むことはやめない、そんなBURNOUT SYNDROMESもカッコいいと思うから、大好きだから、そんな姿をできる限りこの目で見届けたい。いつか彼らが辿り着く海がどこなのか、私も知りたい。世界を拡げたい。

フロアに向けてグッドサインを残して、身を翻す熊谷さんの姿が、ああ、とても、カッコよかった。

 

集合写真も終えて、ステージを後にする最後の最後まで、丁寧に丁寧にありがとうとThank youを重ねて、いつもより幾分か長い気がしたその時間。もしかしたらあれは、初のホールワンマンの熱狂の景色に心揺らしていたのかもしれない。その景色が、彼らのこの先の航路を照らす南十字星でありますように。

 

01.Good Morning World!
02.ヒカリアレ
03.エレベーターガール
MC
04.BLIZZARD
05.銀世界
06.若草山スターマイン
07.The WORLD is Mine
MC
08.KUNOICHI
MC
09.花一匁
10.I Don't Wanna Die in the Paradise
MC
11.ハイスコアガール
12.PHOENIX
13.Melodic Surfers
14.FLY HIGH!!
15.Hikousen

en1.Ocean
en2.Good Morning [New] World!

ⅤⅤⅤ

・・・

 

ASCA

5th ANNIVERSARY TOUR 2023 - ⅤⅤⅤ -

GUEST : BURNOUT SYNDROMES 熊谷和海

2023.10.06(金) @新宿BLAZE


ASCAさんが「修羅」って単語出しながらMCをして、「修羅と云えば…」ってKUNOICHIのリリースに触れ、「大阪名古屋ではひとりで歌ってきたけど、今日はファイナルなので」「あのお方をゲストに招き入れましょう。でも、声が小さいと出てきてくれないかもしれないから大きな声で!」って下手から熊谷さんの登場。ASCAさんが「あのお方」って表現するのとてもいいなあ。妖美で素敵。

熊ちゃんの衣装は、ぐもにわのMVのときの黒の羽織、白地にダルメシアン柄っぽいタンクトップ。

 

「海外で5万人とかの前でライブするのは緊張しないけど、こういう場はやっぱ緊張する。あすかさんのライブは何度か見たことあるけど、雰囲気が凄くよくて、それはお客さんとの関係性とかもあるだろうから、その雰囲気を壊さないように今日は頑張ります」

海外緊張しない発言受けて、ASCAさんが「世界のスターアピールですか?」って揶揄ってて、よい関係だなあと思いました。

 

ASCAさんとはじめてイベントで一緒になったのはリスアニ!のとき。お互いに海外イベントによく行っている。折角だからコラボしようって話になって、ブラジルのイベントに合わせて急ピッチで作った曲が、KUNOICHI。ブラジルでの初披露では「ジャパニーズくノ一、あすかーー!!」って紹介しながらASCAさんを招き入れて、大盛り上がりだったそうです。


ふたりの馴れ初めを話しながら、ASCAさんと熊谷さんが徐に上手下手の端っこにあるお立ち台にそれぞれ腰かけたの何だか愛らしかった。え?遠くない?会話する距離にしては遠くない?ステージの端と端で向かい合って会話してるの無性にかわいかったです。


ASCAさんが「KUNOICHIがネットで物議を醸している…この男クズでは…って。熊谷さん的には結構純粋な気持ちで?」って感じで落武者くんに弁明の機会をくれた。やっぱりちゃんとリリース後にリスナーの反応チェックしてるんだなあ。熊谷さん的には、そしてASCAさん的にも、この落武者くんへの厳しい意見は想定外でびっくりな反応だった、のかな。


ASCAさんが「15cm向こうの唇は 星より遠く」ってところがすごく気に入ってる、って話をして、その距離感をステージ上で実演。会社の同僚の男女、仕事帰りの混雑した電車を再現して、吊り革を掴む真似をしながら横並びの熊谷さんとASCAさん。肩と肩が触れ合うほどの距離で、「この距離ですよ」って言いながらASCAさんの指先が互いの顔の前を行き来する。ステージの端と端から急接近したその距離感、なんだかとっても愛いねえ、って感じでした。

熊谷さんは熊谷さんで、「自然でしょ?」ってフロアに同意を求めていた。確かにその距離感はいやらしさのない日常風景。その距離位置関係で、会話を弾ませながら、お互いに相手の方を向いたときの不意の顔の近さというか、距離感にドキッとする感じが、想像と目の前の映像で補完されてよりリアルになった。うーわー、15cm向こうの唇……この画か…確かに自然…そしてピュア…でも当人たちの鼓動は伝わる、絶妙だなって思いました。


「むしろ落武者くんはよく頑張っている。どちらかと言うと女性のほうから来てるくらいのつもりで…あんな潤んだ目で見つめられて、もしかしてこいつも俺のこと…ってなってるなか何もせんと帰ってる」

「これ思ったんですけど、男女で受け取り方が違う」

「男性に問いたいんですけど、これかなり頑張ってますよね?落武者くんは頑張ってる」

矢継ぎ早に紡がれる熊谷さんの主張は、弁護になってるのかは微妙だなあと笑ってしまった。むしろ火に油を注いでいる気がして、凍てつく空気を覚悟した、にも関わらず、全然全く起こらないざわめき、あがらない難色を示す声。圧倒的に男性の割合が多いASCAさんのファン層。え…男性目線ってこんなに違うの?ってそのギャップを突きつけられた。なるほど、これが男女の受け取り方の違い…なるほど。熊谷さんが「落武者としては」って終始落武者代表として話しているのは、とても愛らしいです。

落武者くんが頑張ってるのは認めるし、よく理性で持ち堪えているとは思います!!それは分かりますけど!でもその言い分だと、誘惑された、って言い訳で自分の邪心を正当化してそうで嫌だなって、少し心がざわつきました。もうちょっと過激に言うと、殺気立ちました。

潤んだ目で見つめちゃうくノ一ちゃんに、きっと誘惑しようなんて思惑はなくて、想い人と楽しく会話してる嬉しさが溢れ出ちゃってるだけだと思う。だからそれを言い訳に使うのは卑怯だぞと思ってしまったけど、これも女性目線だからこその思考なのか。男性目線では、妖艶で小悪魔要素のある魔性の女性に映ってるんでしょうか。なるほど…これが男女の認知の差…。

熊谷さんの弁護という名の楽曲解説を聞いてはっきりしたのは、この落武者くんにだって思惑や悪意なんてなくて、良くも悪くも世間一般的な善良な男性として描かれてるんだなってことです。良くも悪くもな。

だから私はこの落武者くんを少年漫画のラブコメ主人公として捉えることにしました。そしたらほら、ちょっと愛らしい、気がしてくる。真中純平とか結城リトの姿で人物を想像すれば、いい感じにポップだし確かにめっっっちゃ頑張ってるな…ってなる。いやでも、ラブコメの主人公って総じて罪作りな宿命だよね、立場的にさ。ほら、やっぱりタチ悪いじゃんか!

姫の立場でのこの場合の落武者くんの正解行動って、くノ一ちゃんの好意をさらっと躱してきっぱりと可能性はないと突きつけることだと思うんですよね。それを思うと「愛する姫」ってちゃんと表現してるのはそういう意図なのかもしれないね。それでも尚引かないくノ一ちゃん?それは確かに魔性と言えるかもしれないね?いやでもそもそも誘惑に負けないでよ?あ、そうかまだ負けてないっておっしゃってますもんね?

そして、くノ一ちゃんにとっての正解もある意味で姫の立場と同じだと思う。期待なんて持たせないで付け入る隙がないと諦められること。

まあ、これは落武者くんが姫のことを大事にしたい愛してるって気持ちがある前提の理想ですよ。「家には帰りたくない」「あんなワガママな女」ってとこから、姫との関係がもう修復不可能なのであれば、そこのケジメはきっちりしてからくノ一ちゃんの好意に応えることが、真摯な向き合い方だなって思っています。姫に対しても、くノ一ちゃんに対しても。

この、私が既婚男性に求める理想の振る舞いだって、きっと世の男性の大半からは理解されないんだろうなあ…と、くノ一の潤んだ目を誘惑と受け取ってしまう認知の差みたいに、男女の根本的で本質的な違いみたいなものが、浮き彫りになった気がして、遠い目をした夜でした。

熊谷さんの弁護を聞いても、人物への印象が変わるわけじゃなかったけど()、熊谷さんの意図してたものと私の捉え方との齟齬は分かったので、少し歩み寄れた気がしました。

抱いてしまった恋心自体は決して咎められるべきものじゃない。誤魔化し隠し続けよう、根絶やし燃やし尽くそう、とする理性。抱いた好意が熱く激しく純粋であればあるほど、その欲望とそれに抗おうとする理性との葛藤は壮絶だなあ。その激しい感情の衝突する様を修羅と例えるの、なんて秀逸なんだろうね。改めて、好きだなあ。

結果、KUNOICHIは、物語の起承転結でいうところの、転を待ってる状態なんですね。未だ、何も起こっていないフラットな状態。くノ一ちゃんは愛の言葉を飲み込んでいるし、落武者くんは頑張って武士道を何とか守っていて、姫の想いや振る舞いは詳しくはわからない。ここからどう転んでいくかでどろどろとした昼ドラになるのか、甘くて切ない月9になるのかが決まるのでしょう。己の矜持を貫く美しさもヒトの性、自身の欲望に呑まれ溺れる醜さもヒトの性。清濁渦巻くその心模様こそが、人間が人間である由縁だよねえ…という感じです。達観してる。そう思うととても、熊谷さんの書く詩だなあという気がして、とても腑に落ちます。心乱れるのは私が俗物であったが故でした。

 

いろんな想像を巡らせて、あーでもないこーでもないと心を騒めかせているのが、久しぶりでとても楽しかったので、新曲って特別だなあ。作り手の思惑を離れて、たくさん想像を巡らせる余地があるのは、裾野が広がっている故だとも思うので、こういうわちゃわちゃを熊谷さん自身が楽しんでくれてたらいいな。曲自体はまーじでめっちゃカッコいいから、無限にリピートしてしまう。ライブで聴けたらちょーアガるしさ!それも好きだなあ。


「ブラジルで披露するために急ピッチで曲仕上げて、今日のワンマンに合わせて配信も調整して、折角なら曲聴いてからライブで聴けるようにと思ってこんなに頑張ってきたのに、やれクズだと散々な言われようで…(意訳)」って不服そうにしてる熊谷さん、楽しそうだから、結構好き。

 

そうして、しっかりとした曲解説と落武者くんの弁護の後に披露された、お待ちかねのKUNOICHI。俯きがち粛々と構えているところから、曲が流れて一転、くるりと可憐なスピンをキメてる熊谷さんがちょーカッコよかった。ロング丈の羽織がふわーって舞うシルエットも合わせてとても綺麗。直後には、歌いはじめるASCAさんの方を指差して視線誘導するのも好き。


「ああ あ」の合いの手コーラス、どこか張り詰めたような儚さを含んだ声が、でも力強い芯のある発声で、マイクに乗って突き抜ける感じがして、熊谷さん、気合入ってるなあ、と思いました。


サビでフロアを煽る振り付けが無性にかわいい。マイク片手に左右に揺れながら掌上げ下げしてるの無性にかわいい。洋楽的なノリノリな曲の雰囲気に、和の要素が強いお祭り感ある振り付けのギャップ。楽しそうに踊ってるの目の当たりにしたら真似したくなっちゃうから、これはもう仕方ないね。


歌い終えて、両手広げながら「さらば友よー!」って溌剌と叫んで颯爽とハケていった熊谷さん。そのキラキラの笑顔がとても愛らしいです。この場合の、さらば友よ、ってどういう解釈すればいいですか。友という関係性で愛を覆い隠して誤魔化して、姿が見えなくなったのをいいことに、舞台袖という画面の外では修羅しゅしゅしゅ?えー…罪深い…罪深いよ…。

 

アンコール後、もう一度ゲストも!と呼び込まれて、登場した熊谷さん、ASCAさんのツアータオル(薄ピンク)を掲げてニコニコ。ASCAさんが「似合うー!」って。

ASCAさんのアンコール衣装は、2色展開のツアーTシャツをサイズ違いで半分ずつにしてリメイクしててめっちゃ可愛かったから、こういうアイディアいいなと思った。これやられると、両方買わなきゃ!ってなるし、両方買ってるよ!もアピールできていいね。

集合写真は、各々が思う忍者ポーズで、って撮ったんだけど、熊谷さんが迷わず結んだ印、あれはきっと午の印(調べた)。う、好き。

 

 

ASCAさん、ぶちアゲな熱い曲もしっとり優しい曲もダークでクールなカッコいい曲もいろいろあってすごく楽しかったなあ。

RESISTER、とか、セルフロンティア、とか盛り上がる系ではじまって、あ、聴いてきた曲だなあって楽しくて、その流れでの、ヴィラン、がダークな感じで変化球で印象的だった。カッコよかった。その変化球からしっとりと、命に嫌われている。、になる、聴き入る空気。雲雀、はとても優しい。歌い方とか曲調とかで多彩に魅せる、変幻自在な感じ、めちゃめちゃ魅力的で、ライブ自体すごく楽しかった、いい日でした。私、いろんな表情で魅せてくれるボーカリストに惹かれる。

あと、ASCAさんのジャンプジャンプの煽り方、すごく愛らしい凛とした声でカッコよく「ジャッ!ジャッ!」って煽ってるのがめっちゃ可愛いなーって思いました。可愛くてカッコよくてクールで可憐で妖美なの、最強。

 

熊谷さんのが言う、お客さんとの雰囲気がいい、っていうのもMCのときのやりとりとか見てて、これかー、ってなったなあ。和気藹々として、アットホームな感じ。総じて、とても楽しいライブでした。

念願のZeepでのワンマンライブ発表に、思わず涙してフロアに背を向けるASCAさんと会場の雰囲気。「隣だよね?!」ってイタズラっこみたいに言うASCAさんと「いまから行こ!」ってフロアから飛ぶ声が、二次会行こ!みたいなテンションで笑っちゃった。こういう会話のやりとりがぽんぽん弾む雰囲気、新鮮で、でも和やかで、微笑ましかった。

 

夏の雫 Release Tour 東名阪

memo.


ココロオークション

夏の雫 Release Tour

2023.09.03(日) @新宿Marbel

2023.09.09(土) @R.A.D

2023.09.10(日) @ESPエンタテインメント大阪 CLUB GARDEN

 


はじまりはハンカチ。から、一等星の歌。この流れ、幸福度高くてハッピーな気持ちになるから好きだなあ。粟子さん、東京では陽気に足踏みしてたし、名古屋では「その耳めがけて泳ぐんだよ」って歌詞に倣って泳ぐように指先でフロアをなぞってた、一等星の歌。「その心枯れてたって 浴びせるんだぜ とびきりのシャワーを」って歌詞、絶妙にかわいいこの口調、当初から大好きなところ。それがファイナルの大阪で、不意にほろっときてしまったのは、枯れた心に感情を注いで潤してくれる、って内容が私にとってのココロオークションの存在と綺麗にリンクしたからだった。

 

続く日替わり曲、初日東京は、願い事。名古屋では、向日葵。「夏の花の名前が付いてるのに、全然やってなくて、4年ぶりとかにやる曲を名古屋だけやります」と曲振り。夏の曲全部やりますと事前アナウンスしていたとはいえ、初日のセトリになかったから、もうやらないんだろうなあって、完全に油断してた選曲。

久しぶりが故に、ふわっとぐだっとはじまった演奏を、早々にテンメイさんが、大きく腕を上げて、もう一回!ってハンドサインで止めにかかってたの、なんだか珍しい光景だった。粟子さんが一生懸命音とフレーズ確認する後ろで「落ち着け!」って声援を送る井川さん。

ココロオークションにしてはちょっと珍しい気がする、鮮やかな真夏の色が似合う曲。輝くような真っ直な明るさが元気をくれるとこ、好き。

 

大阪の日替わり曲は、「心の中でいいから、一緒に歌おう」って、RUN。途中粟子さんが耳に手を当ててフロアの声に耳を傾ける仕草してたの、ぐっときた。久しぶりに聴ける曲があるの嬉しいなあ。でもまだまだ聴きたい曲たくさんある。VIVIだったら、アイデンティティもタイムレターも聴きたいなあ。

 

「次は新曲です」と紹介されて、世界が寝静まる夜に。音源ではアコースティックアレンジ、演奏はバンドセット。音源聴いたとき、これはバンドアレンジが映えそうなカッコいい曲だなあって思ったから、披露されたバンドVer.に、解釈一致だ、って密かに嬉しくなった。

粟子さんのナチュラルに歪んだ地声、張り詰めるみたいに伸びる高音、透き通ったクリアな裏声、すべてが美しくて素敵。継続的にお腹に響くベース音と、耳に残るくり返すギターフレーズ、すーっと馴染んでいく音楽がそのまま身体を揺らすような、同じフレーズのくり返しで構成される洋楽的な曲。そんな説明を受けて、その洋楽的という概念、わたし、わかる、と思った。たこやきくんDTM配信で学んでいるんです。洋楽とはコピペの美学だ()と。そしてそのコピペがノリの継続を作り出すのだと私は知っている。知識として持っていたものを経験と繋げられるということが無性に嬉しかった瞬間でした。

 

今回の夏の雫ツアーは、バンド編成とアコースティック編成の二刀流構成なので、ここからはアコースティックセットへの転換時間。

セットチェンジの時間を繋ぐ大野さんの、なぜかちょっと不慣れなMC。無性にかわいかったです。東京で、元気よく返されるこんばんはーの挨拶に満足そうに「よし!」って頷いてたり、名古屋ではちょっと無視されて、「リーダーが滑るなんて珍しい」って井川さんにフォローされてたり、いろいろありました。

 

「ずっと大切にしてきた曲をリアレンジして世に出すのは、曲を上書きしてしまうようで抵抗があった。けど、いざやってみると、蝉時雨は蝉時雨のままだった」「春に蝉時雨って音源をアコースティックアレンジで出して、とても評判が良かった。昔ココロオークションを聴いてたひととか、蝉時雨だけは知ってるみたいなひとにも評判が良くて、改めてやっぱ蝉時雨いい曲やなあって言ってもらえるのがすっごい気持ちよかった。味をしめて、あと3曲続きの曲あるけど???って作ったのが夏の雫です」ってそんな半分冗談を交えた新譜の紹介。

東京名古屋の2公演では、メンバーが自分たちで転換してたからその分MC時間にもゆとりがあった。アレンジが変わっても曲は曲のままだってことを「制服姿しか知らなかっけど、休日に私服見たらめっちゃ可愛いやん」って表現した東京、「私服エロい系なんや…」って名古屋。服装を変えてもその人の本質は変わらないけど新たな一面に気づく魅力はある、って例え、大野さんの例えはいつもとても秀逸。アコースティックアレンジってエロいに分類されるんだろうか…とか、艶っぽいとかそんなニュアンスってことなんだろうか…とか、敢えて真面目に考えてみるのも楽しいです。

 

ステージで配られた椅子。メンバーが座ってしまうとフロアの後ろでは見えないだろうなあってふと過ったところに、「座ると後ろのひと見えんくなるのか。すみません、あんま考えてなかった。あ、いいっすよそのままで」って座ろうとするフロアの動きに、座らなくても大丈夫って大野さんの言葉。それを押し切って、座り込むフロア、優しい世界の初日東京編。「新宿なのに優しいですねー」って軽く都会へのディスを滲ませる大野さんが大野さんでとてもよきと思います。

 

アコースティック編成の最初は、ココロオークション4人編成での、新曲、夢で会えたら。軽やかなギターの音色とリズムに乗ってゆったりと身体を揺らしながら、なんだか無性に吾輩は猫であるを聴きたくなった初日の東京。こういう聴かれかた本意じゃないんだろうなあとか思うけど、ライナーノーツを読んで、もしかしてガットギターという共通点に、似た雰囲気を感じたのでは?って自分勝手に納得しました。

「甘噛みで」締め付けられる胸、初恋の特別さを愛情込めて大事に抱え込んでいる感じが愛おしいなって思ってます。だって甘噛みって、愛情表現だもん。そのフレーズが、粟子さんの歌声のどんぴしゃで心地よく響く高さで歌われるのが最高だなあって思う。

 

次も新曲、氷菓。何度か弾き語りで聴いてきたけど、バンド編成だと雰囲気が変わってまた魅力的。弾き語りのじーんと沁みる甘くて切ない恋心が、リードギターのフレーズやビートが加わって、どこか可愛らしい印象が強まったように感じた。


ここからサポートメンバーを迎えた編成。東京はピアノに鳥山昂さん。テンメイさんが折角とりちゃんとの共演だから「今日はカメラ入ってないから、ココロオークション4人ととりちゃんとの画が欲しい」って写真撮影OKタイムがあったり、#とりちゃん、でXでトレンド狙おう!という目論見。最初、「写真撮りましょう」の説明だけでは、私たちが撮っていいのか、テンメイさんがフロアの写真を撮りたいのどっちか伝わりきってなくて、話噛み合ってない瞬間ありました。後にあるメンバー紹介タイムに「写真撮影では混乱を生んですみません」って第一声で謝罪してたテンメイさん、微笑ましい。


名古屋大阪のサポートは、メロディキッチンのおふたり。コーラスに愛子さん、ピアノにはすみさんのもはやお馴染みの心強さ。名古屋では、前日のリハ後に、ふたりで王将行って8,000円くらい使ったってエピソードを暴露されてた。おかげさまでその日の私の晩ごはんは王将に即決でした。

大阪でも、同じように愛子さんとはすみさんのふたりが酒豪であることが語られてて、「おかずもジャストサイズっていうやつ3種類ずつくらい頼んでて」って追加情報があった。お酒も胃袋も強いおふたり。名古屋では髪下ろしてた愛子さんが、大阪では髪を括ってた。どちらの雰囲気も素敵できゅんでした。


そんなスペシャル編成で披露された最初の曲、星座線。東京では、演奏途中にバリって割れる様に鳴ったカホンの音に襲撃されて一旦中断。「ココロオークションのトラブルメーカーは大体俺やねん」「慣れてなこの雰囲気に、ごめんなとりちゃん(笑)」って鳥山さんに一生懸命説明している井川さんを温かく見守る状況と、トラブルが故の予期せぬさっちゃんコール&レスポンスが楽しかった。「もう上手く繋ぐ気もない…」って遠い目をして静観してた大野さん。座り込んでるフロアの景色を見て「座って聴いてもらえると思ってなかったけど、草原に腰掛けてるみたいで、照明が星空みたいで、素敵やね」って粟子さんが零していて、嗚呼、ロマンチストで好きーってなった。

ちなみに名古屋では、アコースティックセットにチェンジした直後に「これは鳴ってる?半挿しかな(ギター側のケーブル確認)、いや挿さってる。まだ生音ですよね?」ってアコギの音が出なくて粟子さんが奮闘してた。結果、楽器の方じゃなくて電源系の方のケーブルが半挿しだったみたいで無事解決。解決までの間を井川さんが「東京でも機材トラブルあったんですけど、そのときは俺で…ということはこれはもしかしたら回っていくのかもしれん。大阪ではテンメイかリーダーが…」って繋いでた。大阪でも何か起こるんじゃないかって心配は、杞憂に終わっているので安心してください。


「お待ちかねの、蝉時雨です」ってはじまる、夏の四部作。愛子さんのコーラスとはすみさんのピアノの旋律がココロオークションの音楽にとても合っていて、情緒を刺激する。

この曲に登場する、声、雨、君、蝉、抽象的な表現が何を指すのか、ぐるぐると考えていた時期があった。結局納得のいく答えの出ないままだったけど、今回のツアーのライナーノーツを読んで、数年越しに答えを知った。〈君の声〉は、何かやりたいって情熱を内に秘めた自分自身の声だったんだなあ。懸命に鳴いている蝉たちの声に勇気をもらって〈僕も飛んでみるからさ〉〈待っていて蝉時雨〉と語りかけてる。夏の終わり、今まさに、飛び立つ、その直前。名曲ってこういうのを言うんだなあ。


粟子さんの弾き語りではじまる、夏の幻がとても切なくて、ああ好きだなあって思った。身体と心に響く、漠然とめっちゃいい…って感じ入るときほど、その素敵さを表現できる言葉と知識が不足している気がするの、もどかしい。


「メンバー紹介しまーす。ベースの大野です。新宿はいろんなひとがいますねー。吃驚するくらいエロい格好した女のひととか、お人形さんみたいに綺麗な顔した男のひととか。開演前に近くのコンビニ行ったんですけど、その綺麗なひとが店員さんに横柄な態度とっててすごい嫌やったー」「隣のケバブ屋見ました?あのスペースに6人くらいぎゅーぎゅーで。人件費どうなってんねん」って、大野さんのお喋りは軽快。

粟「今日ここ昼公演もあって、THURSDAY'S YOUTHってバンド知ってます?そのコらが『ケバブ食べながらリハ見ていいっすか?』って」

大「ケバブ食べたなって、ちょっと腹立ったもんな」

粟「あ、ほんと?俺は普通にいいなーって」

井「今日悪口がすぎるで(笑)」

大「まあ、そんな多様性を尊重していきたい大野でーす」


「ギターテンメイくんです」って、くん付けの紹介がなんだか可愛らしかったなあ。粟子くん、って響きもかわいい。名古屋では大野さんに「ぼそぼそ喋んなやー!」って野次られつつ、粟子さんが「でも、声楽部やったもんな」って紹介からの、テンメイさんのバリトンボイスの美声披露。


「ドラム、さっちゃんです!」って紹介を受けて、「ドラムの井川です!はじめて真面目に喋る」って井川さんが語るこの数年のココロオークションのこと。事務所を辞めて、コロナ禍もあって、できなくなったことが多くあって、続けるのがしんどいこともあった。でも反対にできるようになったこともあって、そんななかで「いまも変わらず力を貸してくれるひとたちのおかげで、こうして活動できてます」って、普段の微笑ましく肩を震わせてしまう雰囲気の井川さんのMCとは違う様子に、メンバーが口を挟めずにいた、至極真面目な空気感。井川さんの熱くて実直な優しさが滲み出てた瞬間のファイナル大阪でした。最後に大野さんが「公で事務所募集することになるとは…」って独りごちてたのがなんだか微笑ましかった。


メンバー紹介を終えて、「ここからはバンドだから…」って粟子さんがやんわりと起立を促した大阪。空気を察知して、言われずとも立ち上がるフロア。その反応に「あ、みんないい子たちだねぇ」って柔らかい声音でしみじみと粟子さんが言葉にするから、無性に照れた。いい子たち…いい子たちって、擽ったい響き。


サポートを迎えたまま、雨音。愛子さんのコーラスと粟子さんの歌声とのハミング。音源の再現をしつつ、バンド編成の熱も孕んだ、夏の4部作。続けて、線香花火。身体と心に響く、漠然とめっちゃいい…って感じ入るときほど、その素敵さを表現できる言葉と知識が不足している気がするの、もどかしい()。


「さっき、さっちゃんも言ってたけど事務所辞めて」って話す粟子さんの後ろで、自分の名前に反応して決めポーズする井川さん。

「いつかは居なくなるやんか。俺らみんな、人間やから。バンドも居なくなる」そんな普遍的な事実を真っ直ぐに言葉にする粟子さん。いつか終わりが来るからいまが愛おしい、って音を鳴らしているココロオークションのことが好きだって気持ち、ずっと変わらないなあ。事務所を抜けて、コロナ禍を経て、想像を超えるようなしんどい思いも苦しい経験もあっただろうけど、私にとってのココロオークションの魅力はいまだって変わらない。いつだって音楽に対してとても真摯に向き合っていて、そんな彼らの奏でる音楽が心を潤してくれる。大好きだなあと思う。

「俺はネガティヴだからさ、好きなアーティストのライブ行くときも、はじまる前から終わりを考えて寂しくなっちゃうんやけど、考え方が変わって、この瞬間はいましかないからさ、それを噛み締めて、大切にしたい」真っ直ぐな粟子さんの言葉に堪らなくなって、涙を堪えきれなかった、僕らは愛の中。


「歌う度に大切な曲になっていきます」って続いた火花。曲頭に力強く奏でられたピアノのグリスに心が跳ねて崩れ落ちそうになった。初日の東京なんて、鳥山さんずっと私からは死角の位置にいたから、あれはまるで凄腕スナイパーの狙撃でした。不意に心臓を撃ち抜く鍵盤楽器の魅力。ココロオークションのメンバーがそれぞれに鳥山さんに向き直って演奏しているのも、それに応えて立ち上がって演奏する鳥山さんの姿も、胸熱って感じだった。

大阪では、途中、歌詞飛ばした粟子さん。東京でも僕らは愛の中で歌詞飛ばしてて、「歌いながらとりちゃんのピアノ聴いてたら、すごく素敵で、一緒にこうして音楽続けて演奏できてるのが幸せだなあ…って思ってたら歌詞飛ばしました」って説明してたのを思い出して、きっとこの日の火花もそういうことなんだって思った。そんな粟子さんの顔を覗き込んで様子を伺うようにしてたテンメイさんのお兄ちゃんみが強くて微笑ましい。はたまた、粟子さんの末っ子みが溢れ出ていたのか、それもまたかわいい。実年齢とは逆転の現象。

「まだまだやめへんから!!」ってとても楽しそうに叫んでいたのが胸をぎゅっと掴んだ。


サポートメンバーを送り出して、井川さんのMCがはじまる。「メロディキッチンのふたりが俺たちの曲を素敵に料理してくれて、メロディキッチンだけに」って絶妙な例えを披露したその瞬間、各々にチューニングしていた楽器を、ピタッと揃えてミュートさせたメンバー。これはもはや団体芸だと思った。この不思議なチームワークは、ツアーファイナルが故ですか。

「俺たちだけでもフライしてかなあかんねん!できるよな?!」って熱く問いかける井川さんの圧に応えて、大野さんがピシッと直立不動に姿勢を正したその勢い、かわいすぎた。井川さんが熱く問いかけるたびに、その姿勢を保ったまま強く勢いよく頷いて返事してるの、チャーミング過ぎて、好き。大野さんってほんと掴みどころなくて、魅力が底なし。


名古屋では、メロディキッチンのキッチンと料理をかけて曲振り。

井「ココロオークション4人でも、キッチン…曲を素敵に料理して…フライ、していくんでよろしくー」

大「あ、そっち?」

粟「揚げ物の方ね?」

FLYとFRYをかけていると判明したときの、あ、そっち?って空気感、好き。上手いこと言ってる絶妙な空気感、好き。

東京では、鳥山さんの鳥にかけての曲振りしてた。曲は言わずもがな、フライサイト。ここからは再びココロオークション4人編成。


続くヘッドフォントリガーは、見どころ満載。寄ってくるテンメイさんに応えて、自分も膝ついて掻き鳴らし合ってる粟子さんと、じゃあ自分はさっちゃんと、って感じでドラムに向き合う大野さん。この光景を眺めているのが、幸せだなあ。

テンメイさんと大野さんが掻き鳴らし合ってるのはもう、毎度のことながら最高ですよ。


アンコール、曲前の井川さんによる物販紹介。

井「こちらタンブラー。しずくちゃんってキャラクターをボーカルの粟子が書きました」

粟「僕すごい雨男なんで、雨をモチーフにして書きました」

井「タンブラーだけに飽き足らず、缶バッジとステッカーにもしました!」

大「乱用やな」

ひと通りの新しいグッズ紹介を終えて、「俺準備するわ」ってブックレットの紹介は大野さんが引き継いだ。歌詞カードと曲のダウンロード用QRコード、楽曲解説と素敵な写真を含んだこのブックレットがCD代わり。夏の雫の物として残る姿だって説明した大野さん。言葉の選択が素敵だなあ。「これだけは絶対買って帰ってください!正直タンブラーはどうでもいいです、もう結構出たんで」って東京名古屋で結構売れたらしい。よかったです。

名古屋では「なにニヤニヤしながら聞いてんねん!うちのさっちゃんが真面目にグッズ紹介してんねん!」って大野さんが割って入って、粟子さんが「ニヤニヤしちゃう気持ちこちらも同じなので」って冷静に賛同してた。物販紹介のあの空気感って、改めて考えると、バンドごとで違うなあって、ココロオークションならではの雰囲気、微笑ましいです。


「最後1曲、楽しくやって終わろうと思います!でも、コロナ禍で、寂しくて会いたくて、作った曲です」って、アンコールに、スーパームーン。あの辛かった時期に、身も心も荒んでしまいそうな制限ばかりの日々に、こんなに優しくて温かい気持ちで誰かを想う曲が生まれていること、とても愛おしいなと思う。粟子さんの人格の穏やかさが、愛おしい。


音楽はいつだって近くにあって、再生ボタンを押したらすぐに駆けつけてくれる。「でも、それでも寂しくなったら、また会いにきてください」って丁寧に真っ直ぐフロアに向かって言葉にした粟子さんが、最後ステージから去っていって、夏の雫ツアーが終わった。


メンバーがステージから去っても、明かりの灯らないままのフロア。もしかしたら、いけるかもしれないと、期待を寄せてはじまった再びの手拍子。

しばらくしてステージに戻ってきた井川さんが、「曲を相談してました、遅くなってごめんな」って、ステージにメンバーが揃った、ダブルアンコール。

チューニングしながら粟子さんが「寂しくなんのはやない?」って冗談めかして言葉にした。暗いままのフロアの雰囲気をいいことに、あと少し、もう少し、って期待を込めて続けた手拍子は、確かに寂しさの表れだったかもしれない。だって、この幸せな時間をもう少しだけ、あと少しだけ、共有させてほしいって思っちゃったんだから、その可能性が目の前にあったら甘えたくなっちゃうの、仕方ない。

「俺ら、ダブルアンコール起きたことほんと数えるくらいしかなくて…2回とか?とにかく、超レアです!」って粟子さん。そんなダブルアンコールの曲、夢の在り処。両足揃えてぴょんぴょん跳ねてる大野さんがかわいい。たぶん跳ぶのあんまり慣れてない。でも跳んじゃう雰囲気が、愛。テンメイさんはお手のものだし、粟子さんの方が幾分か跳ね慣れてる感じも、愛。


曲が終わって、最後、フロアの反応に「みんなかわいいね」って噛み締めて、ほわほわと嬉しそうな粟子さんが、ぴょんぴょんと両手ふりふりしながらバイバイってハケていったの結構な威力だった。かわいいのは!!!あなたです!!!あんたが一番可愛いよ!!!!!!!って心の声がだだ漏れになってしまう瞬間でした。


バンドもヒトもいつか終わりが来る。命ある限りそれは普遍的な事実だけど、ここに在った事実っていうのは、恒久的に存在してると思う。目に見えない想いや形のない音楽は、ライブハウスの壁に天井に床に浸透していって、この場所だけの空気を作る。建物がなくなったとしてもその想いや音は空気にだって馴染んで永久的に存在する、きっと。それを認識するひとが誰ひとり居なくなったって存在していた事実は変わらない。私はそんな、自分自身の手の届く範囲を優に超えたスケールのお話を漠然と信じていて、その永遠を美しいと思う。

一方で、そんな預かり知らぬ永遠なんてどうでもいいと思う自分もいる。ライブハウスでの時間を、ここだけの空気感を、共有できるこの瞬間こそが何よりの幸せだと思う。いましかないこの瞬間を噛み締めて幸せそうに歌っている粟子さんの姿を見ながら音楽に身を委ねているこの時間が、私にとっても幸せだなって、強く思ったツアーでした。

ああでも、その想いの強さこそが、いまを永久に残る物だと思わせているのかもしれない。いつか終わりがくるという普遍的な事実と、それでも永遠があると夢見る気持ちは、表裏一体なのかもしれない。

 

01.ハンカチ
02.一等星の歌
03.願い事(東京)
03.向日葵(名古屋)
03.RUN(大阪)
04.世界が寝静まった夜に
セットチェンジ(CCR Unplugged)
05.夢で会えたら
06.氷菓
↓サポートあり編成↓
Pf.鳥山さん(東京)
Cho.愛子さん、Pf.はすみさん(名古屋、大阪)
07.星座線
08.蝉時雨
09.夏の幻
セットチェンジ(バンドセット)
10.雨音
11.線香花火
MC
12.僕らは愛の中
13.火花
MC
↓4人編成↓
14.フライサイト
15.ヘッドフォントリガー

en.スーパームーン(サポートあり編成)
wen.夢の在り処(大阪)

Good Morning [New] WORLD TOUR 2023 in Korea

BURNOUT SYNDROMES

Good Morning [New] WORLD TOUR 2023 in Korea

2023.08.26(土) @musinsa garage


リスアニ!のときからの、七色のストロボ照明が似合うパーティー感のある登場SE、そこに重なる「Ladies and gentleman, welcome to BURNOUT SYNDROMES' Live」などなどの熊谷さんのアナウンス。あ、大阪のときとは違うんだ、って最初の不意打ち。颯爽と駆けてきたメンバー3人のキラキラとした眩しさに、一瞬ここが異国の地だなんてこと忘れた。


熊谷さんのあの柄シャツ実物見るまで知らなかったけど、ホワイトカラーに派手柄シースルーの布が重なってくっ付いてるデザインだったんだなあ。不思議な丈感が、細身を強調させるデザインだなと思いました。というか、あの、胸元はだけ過ぎです。暑いんですか?なんなんですか?キランって光るVivienne Westwoodのシンプルなネックレスと、チラ見えする柄インナー。そのうち半裸とかになったらどうしよう…目のやり場に困るからいまくらいに留めておいてほしい。


力強く手拍子を煽るメンバーの姿と、だんだんと変化して、おはよう世界とくり返しはじめるSE、最初の曲は、Good Morning World!。

「脚の痛みだけが」でくいって持ち上げた脚、見慣れた細身のパンツもいいけど、ボンタンみたいなゆったりシルエットで綺麗に上がる脚もいいなあ。


歪んだコーラスがじわじわと聴き慣れたメロディーに変わっていく。韓国のあなたと一緒に歌いたいんだ、って想いの滲んだ言葉、ヒカリアレ


簡単な手拍子の煽りから、フロア一体になって作る、Love is Action!。愛は行動よ、なんてそんなタイトルの曲を、国境も越えた異国の地で聴いていたの、なんだか趣深い。紛れもなく、あなたたちが連れてきてくれた未踏の地。BURNOUT SYNDROMESだから、ここまで来れてしまった。メンバーはもちろん、彼らがくれた出逢い全部が、この場所に繋がっているから、私は同志にもとても恵まれていると思う。

この歌の熊谷さんの、口角に触れた指先が高々と天を指すCrank-upの仕草がカッコよすぎるから、困ってしまいます。

身体能力の高さが窺える可憐なハサミ跳びアクションは、この曲以外でも披露してたけど、どれだったかなー。とにかく、好き。


「手拍子、上手だったね」「この手拍子は難しいのに」みたいな、簡単な英語で感想を伝えるメンバー。序盤は英語でMCをしていたけど、「韓国のスタッフさんに聞いたんだけど、韓国のファンは日本語がわかるって本当ですか」って英語で確認をして、日本語で話しはじめる。現地の方たちの反応を見て「ほんまに通じてるやん」「今回は日本語で」と彼らの母国語でお届けされた自己紹介タイム。本当に、日本語で話す彼らの言葉に耳を傾けて、理解してお茶目な小ボケに笑いが起きてるの、すごい。


「ベース、Taiyu Ishikawa」「ドラムス、Takuya Hirose」と順番に熊谷さんがリズム隊を紹介。廣瀬さんは、韓国でも、I'm happy to be with you,thank you.で乗り切るのかなって思ったら、日本語が通じるということを知って、「韓国ドラマが大好きなので、韓国に来られてとても嬉しい」旨をテンション高く話していた。両手でしっかりマイクを握ってお話しする姿が愛らしいです。おすすめは『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』だったかな。それに対して、「私は、愛の不時着が好き」って加える熊谷さん。キャンドル掲げるとこが好きって言ってた気がするし、その後も何かネタ被せてた気がするんだけど、愛の不時着観てないからあんまりピンとこなかったの、無念。

「お待たせしました、ギター、ボーカル、All songs maked,Mr.KUMAGAI!!」って石川さんが紹介を受けて「らびゅーらびゅー♡んーまんーま♡サランヘヨー」なんて、ギター片手に慣れた所作で愛を振り撒く熊ちゃん。もはや恥じらいなどない流れ作業。好き。

どっかのタイミングで、フロアから声が上がって、それが石川さんの喋ってるときに被って聞き取れなくて、「え?なになに?俺が邪魔やな」って譲ってたの和やかでいい雰囲気。「関西弁喋ってー」って要望に「いやや。関西弁は喋らへん」って即座に返す熊谷さんに、「ツンデレなん?」って茶々入れる石川さん。意識して喋る関西弁って、どことなく違和感が滲んでて、なんか可愛いなって思った。


自己紹介を終えて、「All member? Nooooo!!」みたいな、勢いのよい否定。フロアにいる私たちを「Your 4th member」と呼んでくれるその微笑ましさ。世界各国に4人目のメンバーを増やし続けるBURNOUT SYNDROMESは、一体どらくらい大所帯になっていくんだろう。


「韓国の皆さんに聞きたいことあります。日本の和楽器をどれくらい知っていますか」って質問に「三味線」「琴」って次々に答えるフロアの声。「逆に、韓国の伝統楽器って何があるの」って聞いて返ってきた答え、カタカナ変換できなくて、韓国 伝統楽器、で検索を試みるに、カヤグムなのかな。12本の弦があるお箏のような楽器。そんな伝統楽器に関する質問を曲振りにしての、BLIZZARD。

歌い出し「真っ白に輝く世界へ」で頭上に突き上げてた指が「駆けていく」で真っ直ぐにフロアを射抜いた瞬間がもう最強にカッコよくて息を呑んだ。焼かれるほど眩い照明の光を背負って浮かび上がったあの力強いシルエットと雄々しく太く伸びやかな歌声、思い返してもふやけちゃう。musinsa garage、ステージを際立たさるバキバキの照明がカッコいい箱だった。

最初の間奏で、松岡さんの読む和歌をBGMに、徐にドラム台に腰掛けて脚組んで演奏してた瞬間があって、それもめちゃめちゃカッコよかった。そこに向かい合うように弾き合ってる石川さんも大層カッコよかった。

間奏のいつもギターに口づけしてからするソロにはもう、完全に溶けて骨抜き状態です。さらっと弾いて颯爽と身を翻してくとこも含めて、熱。


「ワンモア ましろのおと」で、大歓喜の、久しぶりの、銀世界。私はこの曲、とても好き。大興奮で高鳴る胸の鼓動をそのまま投影したみたいな軽快なテンポ、それを煽る熊谷さんの足踏み、大好き。


曲間で、なんだか慌てた感じでエフェクターボードを眺め回してたから、なんだなんだって思ったけど、紛れたカポを一生懸命探し出してただけだったみたい。素早い動きで拾い上げて丁寧に装着してた。若草山スターマイン、カポ使う、覚えた。


「廣瀬くん、彼は神戸出身で」って、日本の彼らの地元関西の神戸の街を紹介するニュアンスで、神戸在住。廣瀬さんのドラムの圧、「今の衝撃ならば」のドンッと振り下ろされたその勢いが、「人間を、撥ねた、みたいだ」って歌詞のまさにそんな衝撃圧に感じた。汗ばむ臨場感が印象に残ってる。


続けての、The WORLD is Mine。インディーズ盤からリアレンジされて届けられるこの曲。歌詞が描くじっとりとした世界観とは少し乖離のあるような気がしちゃう楽曲アレンジ。頭の先から指の先まで全身で音に身を任せるような楽しみ方は、私のなかにはたぶんまだ、ない。こういう曲を、クラブミュージックとかEDMとかって表現すればいいんだろうか。私には、この曲を完全に乗りこなすための素養が不足してるんだろうなって思う。でもそれはまだ新しいことを取り込める可能性がたくさんあるってことだ。ロックバンドの型にハマらず、新しい楽しみ方を提案し続ける、そうして世界に挑んでいくのがBURNOUT SYNDROMESなら、私だって、懐深く感受性豊かに、多種多様な音楽に触れることに心を躍らせたい。きっとこれからこういう音楽も少しずつ私自身の血肉になっていくんだろうなって想像をすると、なんだかわくわくするし、得も言われぬ誇らしさがある。自分にとっては新しいものに触れる機会、未知なる経験を与えてくれるのもBURNOUT SYNDROMESの魅力だと思う。彼らを好きになったことが、私自身を人として豊かにしてくれる、それはとても心強く、誇らしいことだと思う。


曲が終わり、「神戸はいい街」って話しはじめる熊谷さんに、「いや、韓国に比べれば…」って賛同しかねている石川さん。熊谷さんは、辛いものが苦手なのに、なんでキムチとか韓国料理は食べられるのか、なんてふとした疑問を石川さんが投げかけたのは、このタイミングじゃなかった気もするけど、熊谷さんの返答は、出身が大阪の生野という街で、そこには韓国人が多く住んでいて、韓国の味は昔から慣れ親しんできた味だからいける、だった。


「昨日アニメイトに行ってきて、銀魂がたくさん並んでいた。韓国でも人気の銀魂の、エンディングテーマを」って曲振り。こちらも久しぶりな気がしちゃう、花一匁。

スパって勢いよく切り上げる手刀だって、唯 脚 蹴り上げ、の綺麗な足蹴りだって、久しぶりに拝んだ気がする。1番でも2番でもお披露目の大サービス。

間奏で、バスドラムにかけた足を一度離して音を拾うマイクに添えてから、再び足かけ。演奏しながらだから、バランス感覚がよろしいですね…ってなった。ギターソロ奏でたあと、くるくるくるーってスピンした流れのまま、弦を滑って弾き切る姿がカッコいい。


「続いても侍の歌です」って、I Don't Wanaa Die in the Paradiseに繋ぐ。「腰の妖刀が俺を導くんだ」って歌い終わったあとのタイミングで、腰に下げたEVOのネックを力強く握って、軽く掲げて力込めてぐっぐって主張してるの、好き。嗚呼、あなたを世界に導く妖刀はそのギターなんですね、そうですね、ってなる。堪らなく好き。


「皆さん、ゲームは好きですか」「いまだと何が流行ってるの?」って熊谷さんの質問に「メイプルシロップやろ」って石川さんが挟むから、思わず、懐かしって呟いちゃった。「日本のシューティングゲームは知ってますか。コナミコマンドって知ってますか。あー、半々くらいですね。日本のコナミって会社の隠しコマンドで、それを押すとフル装備になる。世界一有名な隠しコマンドとしてギネス記録にもなっていて、それを取り入れた曲がバーンアウトシンドロームズにはあります」って説明の後、ダンスの説明を引き継いだ廣瀬さん。同時押しABって言うところを「あ、青春って言っちゃった」って呟く廣瀬さん、かわいい。廣瀬さんが説明してるのを、結構渋い顔で聞いてる熊谷さんの心中はどうなってるんだろうなあ。心配なのかな。熊谷さんのなかには、熊谷さんなりの明快に伝わる表現が確立してるんだろうなあって、想像を巡らせるなどした。「慣れないから、ちょっと分かりにくかったかもしれないけど、練習しましょう」って、フロアみんなでコマンドダンスの練習。「本番はもっとテンポが速いけど頑張って着いて来て」って迎えた、ハイスコアガール

結構序盤に、スピーカーからの出音がもわーーーーんってぼやけた後に、音がチャリチャリしはじめ(たような気がし)て、ハラハラする展開。そのまま押し切れるのかどうなのか。歌詞が途切れるタイミングを見計らって、さっとしゃがみ込んでエフェクターボードと睨めっこしてカチャカチャいじりながらどうにか曲を途切れされないようにと対応してる熊谷さんの気概。そういう一心不乱な姿も好きだなあ。なんとか間に合え、と一生懸命念送ったけど、すぐには解決できなくて、「ストーップ!」って大きなアクションでリズム隊が続けていた演奏に割って入った。「続けられへん。みんなの熱がすごくてギターがやられました」的な言葉を添えられて、そう言われちゃうと、確かにテンションはあがり過ぎてるからごめんやで…ってなるけど、カッコいいあなたたちの所為だよ、仕方がない。再びしゃがみ込んで一生懸命考え込んでる姿が、親指と人差し指を顎に添えたポーズで、メカニックっぽくてとても絵になっていて、結構深刻な状況なのは承知の上なんだけれど、どうしても私のオタク心が擽られて不謹慎ながら口元が緩んだ。原因追及に思考を巡らす熊谷さんと、すかさずマイクを手に取る廣瀬さんの素早さに、ちょっとだけ苦い記憶が脳裏を掠めていったけど、折れずに懸命に繋ごうと考えを巡らせてる状況に絶望の気配なんてないから、大丈夫だとどこか能天気に思った。自ずからMCで繋ぎはじめるリズム隊の対応力もとても逞しいから、今日もBURNOUT SYNDROMESはとびっきりカッコいい。

韓国で食べた美味しいものを話題にしながら和やかに場を繋いでいる石川さんと廣瀬さん。石川さんが、モカパンって名前を出して「あれなんて言うの?教えて本場の言い方、モカブレッド?」って尋ねたら、フロアからたくさんの可愛らしい声で「モカパン!」って返ってきてた。モカパンは甘くてとても美味しかった。

一度立ち上がった熊谷さんに「あ、おかえり」みたいに確認する石川さん。「まだよ。まだ全然」って熊谷さんの返答。現地のスタッフさんに考えられる原因を伝える傍らで会話にも参加する熊谷さんの立ち回り、迫真だった。脈打つ鼓動が伝わってくるような、手に汗握る状況。

「せっかくだからこの時間にあのアナウンスしちゃおうか」って石川さん。「今回初めての海外ワンマンライブを記念して、ミート&グリーティングします!何してもOKですが、写真撮影だけは……」って非常に残念そうな表情を浮かべた溜めの時間に、しっかり意味と空気を理解して嘆きの声が漏れるフロア。続いた「絶対撮ってください!」って裏切りは、ひとの心を掌握する石川節。ステージの上で、廣瀬さんをメンバー、自分をファンに例えて、実際にロールプレイしてくれる。「ああ、楽しかった」って石川さんのライブ後のファンの演技がめちゃめちゃキュートで、語尾にハートマークが付いてた。遂には石川さんが「韓国のひとは綺麗な人が多い、肌が綺麗」って定型みたいな世間話を持ち出したときには、体感10分以上は経ってた気がする。流石にこのまま出なかったらどうなるんだろうって不安が過るくらいには長い復旧作業のなか、最終的には、マネさんが新しい延長コード持ってきてくれて、エフェクターの電源繋いでる延長コードと変換コネクターごと入れ替えてたから、接触不良とか電圧でコードやられちゃったとかそういうことかな。電源系は難解。ガムテープでガチガチに固定してた。

「頼むぞ」「次はないぞ」って不安も滲ませながら愛機に念を送る熊谷さん。「逆に、みんなの力が足りんかったんかもしれん」って石川さん。そういうことなら、いくらでも頑張っちゃう。「どこからいく?」ってステージ上での相談の上、再び、頭から、2回目のハイスコアガール


ここからの繋ぎがすごくて、スクリーンには熊谷さんが描いたイラストを廣瀬さんが編集して作られた映像が投影された。続く曲が違うからって当たり前みたいな顔して、大阪ワンマンとは別パターンの映像になってて、えええ、大阪と違うじゃん!!ってなった。そりゃあ、いつまで経ってもセットチェンジしないわけだ。すっかり邪教・拝金教だと思い込んでた。

匣体をプレイする少女の後ろ姿、You LOSEをくり返し、挑み続ける少女のイラストに挟み込まれる英文。ニュアンス意訳だけど、〈簡単に掴める栄光はない〉〈ひとはBURN OUTした分だけ成長する〉〈だから、何度負けようとも〉〈あのバレーボールアニメのキャラクターたちのように〉であがった歓声は、ハイキュー!!の曲がくることをフロアが理解した証拠だった。続いた〈Like a 〉〈 “PHOENIX” 〉でさらに大きくなる歓声。スクリーンのイラストは、両替機に向かう少女の背中。〈拳を挙げてくれますか、韓国の皆さん〉手のひらにはリプレイのための硬貨が1枚、固く握りしめて掲げられた拳の映像と、熊谷さんの力強い歌い出しからのPHOENIXが作り出すフロアの景色がシンクロした瞬間。その、熱気。

右左に繰り出すシュッシュッてパンチング。ボクサーのシャドーイングみたいなキレのよい動き、めざましライブのときもそうだったと教えてもらっていたので、これか!って見られた嬉しさ、そのまま流れるように、敵の鉄壁を砕くスパイクスイングはもう見慣れた光景で、でも毎回新鮮にカッコいい。バレーボールアニメの主題歌ならではのアクション。


そのままノンストップで繋がる、Melodic Surfers。不意打ちの選曲に大歓喜。サビメロで突き上げる拳、テンポの変化に身を任せて、乗る、音の波。


「Can you FLY HIGH with me?」で熱量はさらに増し、怒涛の展開、FLY HIGH!!PHOENIXからのこの激熱の流れに、さらっとMelodic Surfers挟んでるのもバンドとしての強さみたいな、曲の魅力みたいなものを感じて、好き。


あっという間に、お別れを告げる搭乗アナウンスが流れ出して、Hikousen。バックスクリーンに浮かぶ真っ白な飛行船のイラストと横スクロールしていく世界各国の建造物をぼんやりと視界の端に捉えながら、熊谷さんの歌う表情をじっと眺めてた。大半を節目がちに、時折足元や手元を確認しながら粛々と演奏している姿も心をぎゅっと掴むけど、ここ!ってところではしっかりとフロアを見渡して視線をやるところ、大好き。その瞳がとてもキラキラしていて、私はそれを懸命に目に焼き付ける。「見慣れたこの夕日が泣くほど美しい」なんて、私たちが彼らの姿を見つめるのと同じように、彼らもこの景色を目に焼き付けようとしているのだとしたら、それはなんて幸せな相互関係だろう。その関係が、国境を超えたこの場所でも成り立つなんて、なんて素敵なことだろう。BURNOUT SYNDROMESは今日もとびきりカッコよくて、目が離せない。


韓国語での熱烈な「アンコール」がステージに降り注ぐなか、熊谷さんのスタンドマイクが取り払われて、セットチェンジ。流れるSEが波の音から上昇する気泡音に変化して、しばらくすると最初に廣瀬さんひとりが現れて徐にドラムの前にスタンバイした。続けて現れた石川さんと熊谷さんは、揃ってハンドマイク。異国の地のライブハウスをクラブフロアに変えてしまう広大な海の歌、Ocean。石川さんのラップがさらにカッコよくなってたことを大阪で知ったから、Ocean聴けるのかなり嬉しい。

下手側の返しに腰をおろし歌い上げる熊谷さんの姿がほんのり太々しくて、大胆に広げられた膝が雄々しいポージング。

フロアを煽る平手がそのまま、空中にトライアングルを描いて、石川さんとシンクロした、バミューダトライアングル

 

アンコール2曲目、BURNOUT SYNDROMESはじめての海外ワンマン公演、最後の曲は、Good Morning [New] World!。リアレンジされたこの曲の、艶やかで柔らかい歌声が好き。アレンジに合わせた優しいメロディ変換は、広大な海を表現しているみたいだなと思う。Oceanとの繋がりも感じる選曲。母なる海でひとつに繋がった数々の大陸を、国を、彼らはこれからも飛び回っていくんだろうなって。世界各国で求められる声に応えてどこまでも。

不安の雨を手のひらで受ける所作好きだから、どっちのアレンジのぐもにわでも見られてハッピー。

 

ライブが終わった後、興奮で火照る身体と僅かに震える指先を抱えながら、今日のBURNOUT SYNDROMESが世界でいちばんカッコいいって、心の底から思った。来てよかった観られてよかった本当にカッコよかった。アニメタイアップ全部盛りの力強い選曲、大阪とは大幅に変えてきたセトリ、映像演出、海外初ライブの気合いの表れのようで、それでいて過度に気負ってるような雰囲気でもなくて、とても自然体だと感じた。そんな姿を今日がいちばんカッコいいと言い切ることができるのは、最高なことだった。これがいまのBURNOUT SYNDROMESなんだって、世界を回ってこんなにも逞しく力強くなったんだって、堪らなかった。未だ更新され続けていく好きという気持ちと、収まらない興奮が少しだけ涙になって溢れた。本当に堪らなくカッコよかった。

日本からは生涯出ないって思って生きてきたのに、あんなにカッコいいことを知ってしまったら、また行きたくなってしまう。際限なんてきっとない。BURNOUT SYNDROMESなら、本当に惑星の隅々まで連れて行ってくれる気がした。

 

01.Good Morning World!
02.ヒカリアレ
03.Love is Action!
MC
04.BLIZZARD
05.銀世界
06.Mt.Wakakusa Starmine
MC
07.神戸在住
08.The WORLD is Mine
MC
09.花一匁
10.I Don't Wanna Die in the Paradise
MC
11.ハイスコアガール
12.PHOENIX
13.Merodic Surfers
14.FLY HIGH!!
15.Hikousen

en1.Ocean
en2.Good Morning [New] World!

 

 

sMiLea LIVE -Unite with You-

memo.

UniteUp!

sMiLea LIVE -Unite with You-

2023.07.29(土) @東京ガーデンシアター

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正面のメインスステージは、アニメと同じ構造。上段(飛び出し演出あり)下段があって、階段で繋がってたのでキャストが曲進行に合わせて昇り降り。アリーナの中央にはサブステージがあって、上手下手それぞれの端っこから出る人力トロッコでそこに移動する仕様。トロッコはバルコニー席の高さで進んでいくから、比較的どの席でも、近っ!って興奮しちゃう瞬間がある、満遍ない構造だなって思った。公平感のあるいい規模感。アニメで描いたさらにプラスアルファの演出でアイドルのライブ!って感が強まってて大興奮でした。


開演前から、ステージ上段と下段の間に紗幕がかかっていて、この幕が落ちるまではペンライトは演出の妨げになるからご遠慮くださいってアナウンスを開演前から丁寧に行っていて、開演直前には、出演者の声による注意事項の読み上げがあって、開演が間もなくっていうドキドキを加速させていった。

 


いよいよ開演ってときになって、メインステージの紗幕に投影された、キャラクター紹介とキャスト紹介を兼ねたオープニングムービー。こういうときって推しキャラ出たらすごい黄色い歓声が上がるイメージだったけど、ちょっと控えめ?かなって、率直な感想。初日の、全てが初めてのドキドキを抱えながらどこか様子を伺うよにステージを見つめる浮遊感の所為かなって。もしかしたら、コロナ禍を経ての、声出し解禁になったご時世に120%で追いつかない気持ちの表れだったりもするのかな。


映像が終わって、いよいよ。紗幕の向こう側に登場したAnela。スペシャルゲストの中島ヨシキさんと斉藤壮馬くんが歌うBreak borderは、アニメのお話通りの幕開け。紗幕に投影される巨大Anela(MCでヨシキさんが「巨大な俺たち見てくれた?」って表現してた)、歌もダンスも安定感存在感あって物凄くカッコよかった。ヨシキさんと壮馬くんから放たれている、伝説のアイドル!っていう説得力が凄くて、釘付け。


曲終わりに、MCタイム。「壮馬くんがどうしても最初に出させろって押し切った」「いや、アニメの内容通りにね」みたいな(うろ覚え)ゆるっとやりとりも挟みつつ、キャラ同士の会話になるとスッと空気が変わるの凄かった。何気ない普通の会話してたと思ったら、スンッて真音さんと凛ちゃんのやりとりになってるの凄い。前後の台詞覚えてなくてもどかしいけど「大事なことは全部凛がやってくれるからね」ってさらーっと信頼関係見せつけてくるの最高でした。


続いての曲は、希望の声、ってタイトルコールで瞬時に上がる感嘆の悲鳴が熱い。真音さんの落ち着いていて柔らかい雰囲気とか凛ちゃんの溌剌と楽しそうな姿とかを重ねて見られる嬉しさを、通常のアニメイベント以上に感じちゃうのは、UniteUp!の多次元コンセプトならではなのかな。どのグループもそうだったけど、キャラクターとして見ようとか現実そのままを見ようとか特別に意識してなくても、不意に重なって見えたり、目に映る光景をそのまま見てカッコいい…って魅力に見惚れちゃったり、楽しみ方無限大で忙しくてずっとそわそわと落ち着けないのが幸せだった。


AnelaのラストはTARGET。まさか3曲も聴けると思ってなかったから大歓喜。この曲、曲自体がジャニーズを彷彿とさせるド直球アイドルソングでカッコいいなあって思う。好き。

 


Anelaのふたりが次に出てくるグループを紹介しながら思い出を語る音声とアニメの振り返り映像が挟まれて、大毅と瑛士郎くんが個人レッスンしてほしくて訪ねてくる日が「何故かいっつもケーキ買って帰る日だった。もちろんちゃんと一緒に食べるんだけど…」ってかわいい不満を飲み込んでる凛ちゃんに、「教えてたの実は晴美さんなんだ」って真音さんが伝えてた。ケーキ食べ過ぎだからちょっとでも量が減ったら…って心配されてたことが判明しました。あと、凛ちゃんは楓雅くんにお姫様抱っこされたことがあるとか。車で帰ってる時、「その日はどうしても眠くって起きられなくて、そしたら楓雅がひょいっと抱え上げてくれたんだよな。ほんと、セクシー&ワイルドだよね」って。は?かわいすぎる。


LEGITに繋ぐ直前の映像が、アニメでの「あとは任せたよ」って凛ちゃんが大毅にマイク渡すシーンなのぐっときちゃった。映像と現実と、アニメのお話と目の前の出来事とが巧みに絡み合って進んでいくライブ。泣かないで大毅、大好きだよ、おかえり!


LEGITの登場は期待と予想のその通り!THE DAYの音に合わせて、下からどーん!ポップアップ!!アニメの!!まんま!!!最高!飛び上がってくるLEGITの3人の姿がもうカッコよすぎて、あがる黄色い悲鳴。当然ですよ。

MCタイムにその演出の緊張について話してた真蔵くんキュートだった。瑛士郎どーん、楓雅どーんって順番に飛び出ていくから「残されたあああ!」ってなるらしい。かわいいかよー。

衣装もアニメのまんまを再現していて、UniteUpメンバーで誰よりも涼しい衣装を纒う大毅(坂田さん談)の両隣には最も熱い衣装に身を包む楓雅くん瑛士郎(こちらも坂田さん談)がいるの温度感迷子になるよね。楓雅くんの衣装、似合っててとてもカッコいいから個人的にはいちばん好きです。脱がないで。いや、脱いでもいいか。むしろ脱いでほしいのかもしれない。欲望って難しい。

火柱の特効がカッコよくて、あの距離でも熱気を感じたから、きっと坂田さんと晨之介くんはもっと暑い。いやでも、素肌で熱感じる真蔵くんのが暑さに敏感になるのかもしれない。知らんけど。夏ですね。


続けてアニメでもライブシーンがあるON MY WAY。途中、坂田さんは下手、真蔵くん晨之介くんは上手って二手に分かれてメインステージの端っこに移動して踊る場面もあり。私、下手にいたので、坂田さんのカッコよさに打ちひしがれていた。このひとリアルにセクシー&ワイルドが過ぎる。LEGITって、三者三様にキャラが立ってるのにそれぞれにどタイプすぎて困る。

 

MCタイムには、会場の盛り上がりに喜ぶと3人と、「Anela2人が十分過ぎるくらい温めてくれたから」って謙虚さも滲むコメントもあり。

コール&レスポンスしましょうって、彼らがキャラの苗字言ったら、こちらは名前を叫ぶ。坂田さんが全力でもっともっととレスポンス煽るのもカッコよかったし、嗚呼こういう際限なく煽ってもらえる声出し、久しぶりだなあって思った。

晨之介くんが「僕が二条って言ったらみんなは、そ…」って言いかけて、「総理って言わせようとしてない?」「すんなすんな」って真蔵くんたちにツッコまれてた。晨之介くん、ずっとほやほやにこにこ笑ってて癒しだった。瑛士郎とのギャップ、なんて愛らしいんでしょう。

真蔵くんは、お客さんの喜ばせ方と盛り上げ方をよく理解していらっしゃる、よくできたコだなあって思いました。

真「高尾ー!」

\だいきーー!/

真「高尾ー!」

\だいきーー!!!/

真「高尾ーー!」

\だいきーーーーー!!!!/

真「うっせ」

\きゃーーーーーーーー♡/

自分で散々煽っておいてのこの仕打ち(嬉)は、ツンデレというよりもはやメンヘラ。好きですね。


「ここからもっと声出していきたい。次はTwenty Fourって曲をやるけど、まずはコール&レスポンスの練習をしよう」って、「途中難しい英語とか挟まれるけど惑わされないで」って坂田さんが先導。真蔵くんと晨之介くんがお客さんパートでみんなに協力するからって練習。歯切れのいい「Twenty Four」「Twenty Four」の応酬が楽しい。パフォーマンスは、サブステージで。二手に分かれて、上手下手それぞれから出る人力トロッコに乗って、移動。アリーナ席後方にも優しい仕様。


最後、FIREは、盛大な火柱再び。Twenty Fourもだけど、アニメでは観られなかった曲の振り付けを目撃できることに心が躍る。リアルなライブ演出を描いた二次元の感動を、現実がきっちりグレードアップして届けてくれる感じ、三次元が満たされているの素晴らしい。

 


続いて、JAXX/JAXX。Anelaからの紹介は、凛ちゃんが誕生日にびっくり箱を渡された、ってお話だった。「渡してきたのが一澄だったから油断したんだ。しかも、考えたのはほまれだっていうし」って凛ちゃん。「彼らの面白いことしようとするときの団結力はすごいよね」って真音さんが言ってたような言ってなかったような。真音さんが優しく「びっくり箱って英語でなんて言うか知ってる?」って尋ねて、凛ちゃんが「サプライズボックスとか?」って答えた。「直訳だとそうだね。JACK IN THE BOXだよ」って、真音さん。JAXX/JAXXからのびっくり箱、JACK IN THE BOXのプレゼント。


スクリーンのアニメ映像には、先程までパフォーマンスをしていたLEGITが映り、大毅がひょいっと放ったマイクが宙に浮いた、と思ったら、ステージ上段に現れたmasaくん。それこそまるでびっくり箱のようにポップアップで飛び出した演出が、LEGITからのバトンを繋ぐと同時に、二次元と三次元の演出を繋いだ。カッコいい!最初の曲は、もちろん、SuperStar。


masaくんの歌声が響いて、バンドサウンドが響いた瞬間、私!これを!観に来たんだ!って血が沸き立つみたいな興奮を覚えた。

バンド背負って歌ってるmasaくん、雄々しくて逞ましい。そんなに体格が大きいわけじゃないと思うんだけど、すごい存在大きく見えて、これがスーパースターかーって感じ。

個人的に結構感動したのは、馬越くんの演奏が一澄くんのフォームを再現するみたいにとてもどっしりしていてカッコよかったこと。両腕同時に振り下ろしてリズム刻むとことか特に。完全にドラマー贔屓だけど、堂々たる演奏でした。

 

キャラの印象と役者さんの印象とが決してイコールってわけじゃないのに、アニメにないシーンまで、不意にキャラと重なる瞬間も、そのままの魅力もどっちもあって気持ちが忙しい。

若桜くんが、雄叫び歌いながら演奏してたあのシーンが目の前で繰り広げられて大満足だった。その他随所にあるアニメを再現した絡みとか動き、フロント3人集まってわちゃわちゃ演奏してたり、学くんや下前さんのクラップを煽るタイミングとか、masaくんがドラム台に腰を下ろして歌うシーンとか、ぐっときちゃった。アニメでは描ききれなかったその先のパートを三次元の彼ら自身が繋げてくれて、現実になっていることも尊い


続いた曲が、ライヤー。イントロが鳴った瞬間、なんだか感動しちゃったなあ。MCなくすっと繋いだ曲間が、本当にバンドのライブに来たみたいな感覚だった。


JAXX/JAXXのMCタイムは、「元気の出るあれやっちゃう?」って、もはや何年もやり込んでいるかのようなお馴染み感で、楽翔くんのチャオッピーのコール&レスポンス。やっとできた!っていう感動がありました。続いた馬越くんが、俺もやりたい!ってチャオッピーしてたの可愛かったです。元気いっぱい。


下前くんが、「自己紹介の挨拶やっていい?新しいやつ考えたから」って、「一歩前二歩前三歩前、下前です」って、一歩ずつ後退りしながら披露したのは、もはや自己紹介ギャグ。「変わってないじゃん!」ってmasaくんの鋭めのツッコみが飛んだけど、「いや、前は一個前二個前だったんだよ」って、マイナーチェンジをしていたらしい。


ハイテンポな「ジャックジャック」「ジャックジャック」のコーレスをやってくれたのは誰だったかなあ。坪倉くんだったかなあ。「人生ではじめてのライブだから、コール&レスポンスやりたい!」ってはしゃいでた。

コーレスの最後にキャラの決め台詞で会場を沸かす学くんや坪倉くんに対して、「いいなあ」「俺もそういうのやりたい」ってひたすら羨ましがる下前さん。彼のほまれくんのとギャップは如何ともし難いね。絶妙に微笑ましく、ツボにハマるいじられキャラ


「世界中に僕の歌を響かせたいと思っていて、でもバンドを背負って歌うのははじめてで緊張もしてる」みたいなことを言っていたmasaくん。彼が、JAXX/JAXXの曲の歌詞を引用してMCの言葉を紡ぐことが、masaくん自身が、あるいは楽翔くん自身が、バンドの曲も、JAXX/JAXXっていうバンド自身のことも好きで好きで仕方がないんだって想いの表れのようで、頬が緩んじゃう。


そんなSTORM's EYEは、盛り上がり必至のカッコよさ。熊谷さんが作る曲の心地よさというか、堪らなくわくわくさせてくれるところが本当に好きだなあと思った。Oh Oh!とかHey!とかの合いの手を意気揚々と声高に発せられる心地よさが格別だった。きっと間違いなく、観客の姿や歓声までを含めた、JAXX/JAXXってバンドのために作られた曲なんだと思うから、彼が描いたJAXX/JAXXのライブの光景の一部になれてたなら感無量だなあ。いつの間にか、その場にいるUniteUp!のメンバーの魅力にも撃ち抜かれてはいたけれど、本来の目的はそれだったんだ。はじめてのお披露目の場での生の盛り上がりを体感できて嬉しかったし、それでも何より、ライブが楽しかった。2番での変則的なクラップをちゃんと煽ってくれるメンバーがいて、それをできたこと、嬉しかったなあ。


「酸いも甘いも分け合ってくれる?」って、今度はA.P.P.L.E.の歌詞を引用しての繋ぎ。いつの間にか楽器は撤収されていて、5人ボーカル形態のJAXX/JAXXが披露するA.P.P.L.E.。身軽になった彼らがトロッコに乗って縦横無尽(実際にはそんなに自由度はないけど)、ガチガチのバンド曲だと思っていたら、ファンサの余地が盛大にある煌びやかなアイドル曲に化けたの、想定外の、新たな魅力だった。えーめちゃめちゃアイドルしてるじゃん!バンドといえど、すっごいアイドルじゃん!ってドキドキしちゃった。彼ら、れっきとしたアイドル事務所のアイドルでした。メンバー同士、ステージの上でわちゃわちゃとしてるのも素敵すぎた。

 


そして、PROTOSTAR。「最初僕は反対してたんだけど、真音がどうしてもって。そのくせ一目会ったら満足して、面接は僕任せなんだもん。明良くんは由和くんと喧嘩しちゃうし、千紘くんはご両親のことは自分で説得するの一点張り、万里くんなんてずっとマスクしたままだし…大変だったんだよ」って凛ちゃんが惚気とも取れる恨み言を言ってた。

凛「彼らの出逢いは、運命だったんだよ」

真「俺と凛みたいに?」

凛「もう、また冗談言って…」

真「これは本気」

凛「えぇ」

Anelaのふたりの、彼らだけに通じる特別な空気感。聞いていてふにゃっとしちゃう。


前日、明良くん役の戸谷くんの出演キャンセルが発表されたPROTOSTAR。Anelaのグループ紹介中、明良くんが映ったその瞬間、やっぱりどうしたって会場の空気が揺らぐ。

センター不在でどうするんだろうって思ってたけど、ダンスは3人構成のそのまま、歌パートは戸谷くんの声だけが流れる仕様。

登場した亜門くんが前髪のあるストンとした黒髪ショートになってて、めちゃめちゃ千紘くんに寄せてきてたの可愛すぎました。おでこ出てる亜門くんしか見たことないのに!なんかとてもおぼこくてかわいい。


MCタイムでは、山口くんが発した第一声のセリフも声も万里くんそのもので、リアル万里くんが目の前に!ってなりました。そこから素っぽさが混ざり込んで「みんなが目一杯楽しんでくれることがきっと菊之助も嬉しいと思うから」って紡いでた。彼の、役!って瞬間と諒太郎くん!って瞬間の境目が明確にあって、その雰囲気は、Anelaのときのヨシキさんと壮馬くんの切り替えに通ずるものを感じた。その上で全く逆の印象もあって、諒太郎くんそのままで万里くんって印象もあるから不思議。

亜門くんは、「本来は僕らがみんなを元気づけないといけないのに、すごいパワーを貰ってる」って一生懸命に明るく言葉を紡いでいて、なんか堪らなく母性を擽られた。普遍的に存在するステージに立つ緊張感に加えて、急遽ふたりでパフォーマンスすることになった不安、それでも変わらず注がれる期待や好意に応えたいというある種の重圧と責任感、ステージに立つ彼らが抱えている様々な想いを想像した。「Anelaから順番に繋いできたバトン、いまUniteして繋がっているなって感じがします(うろ覚え超絶ニュアンス)、って本来なら菊之助が言うはずでした」ってどこか強張ったような雰囲気で亜門くんが言葉にしたときすごく彼の緊張感が伝わってきた。あの懸命な姿が、PROTOSTAR初の人前でのライブの初々しさとも重なって、なんだか凄く、頑張れ!って拳握ってエールを送りたくなった。デビューしたてのアイドルを応援したくなる気持ち、これなんだなあ。


客席の掲げられたうちわ見た諒太郎くんが、「うちわ凄いね!万里、万里、あ、万里」って指差すとき、不意に本当に万里うちわ抱えたお客さんがスクリーンに映るの、粋なカメラワーク。すかさず亜門くんが「をーい!千紘もいるわい!」ってコミカルにツッコんでて、でもそれがどこか不慣れな感じで、かわいかったなあ。


LEGITに続いての名前を叫ぶコール&レスポンスは、キャラ名じゃなくて役者名がいいなって彼らからのお願い。きゃっきゃしながら黄色い声で「諒太郎ー!」「亜門くーん」って叫ぶのもとてもとても楽しかった。「すごいね!この声、菊之助にも届けたくない?」って諒太郎くんからの提案に、増える赤色ペンライト、次第に赤色に染まっていく客席に「すごい赤一色!」ってニコニコしながら反応してるのかわいいねえ。赤色は、明良くんの色でもあるけど、PROTOSTARの色でもあるよ。戸谷くんのことは、「菊ちゃーん」って呼んだ。


ロッコに乗って、サブステージに移動して届けられた、YOU。万里くんと亜門くんの「準備はいい?」ってふたりの元気な声が響いた瞬間、ぱああああって目の前が明るくなった気がしたなあ。目の前にある全てをただただ堪能しなきゃ。余談ですが、諒太郎くんのトロッコの扉の閉め方、すちゃってしててスマートだった。


最後の曲に、吠えろ!クロスファイヤー。想定してなかった4曲目の選曲に湧いた。ラストに持ってきたのもすごくテンション上げる曲順で、野球要素満載な振り付けがそーきゅーと。

 


本編ラストの曲も、しっかりアニメに準えて、Unite up!。ステージ中央に実際にメンバーが輪になってスタンバイしてる、その後ろにアニメの映像。三次元と二次元の交錯地点。明良くんが「センターやりたいです」って瞳を輝かせていて、大毅から、sMiLeaプロの全員から、認められて託されたセンター。流石に、うっ、ってなった。ここにはいない、戸谷くんのセリフとステージ上に作られた円陣にある1人分の空間が、どうしたって感傷を誘う。ああ、本当にここに立ちたかっただろうな、と否が応でも想像してしまう。薄情な私はこういうとき、この感傷はエンタメを楽しむ上でのある種の雑念だと思ってしまう。どうして純粋にステージ上で起こっている出来事だけに集中させてくれないんだろう。本来あった形を勝手に想像して、確かに輝いている目の前のステージを足りない状態に陥れてしまう、私の雑念。戸谷くんの欠けた部分に入り込む想いが、目の前のステージを飲み込んでいいはずがないと思うのに、やっぱり、この足りない状況を楽しんでもいいんだろうかって思っちゃう。改めて、諒太郎くんが言ってた、目一杯楽しむことが菊も嬉しい、って言葉が沁みる。


アンコール、全体曲のステージ衣装から、sMiLea LIVEのTシャツに着替えたメンバーたち。全員歌唱でのユメノトビラ。真蔵くん「まだ終われないよね?もっとUniteしよう」って、改めて歌ったUnite up!がとても好き。アニメのキャラクターと現実にいる役者さんと私たちとが改めて、文字通りひとつに繋がったって感じして幸せでした。


最後、大歓声のなかの解禁情報が2つ。映像が流れている間、masaくんがずっと「焦らさないでよー」って言ってるのかわいすぎでしょ。4週連続のデジタル配信と、そして、アニメ2期の発表。次があって、また、11人全員が揃う機会が未来に用意されていることがとても嬉しいなって思いました。次も絶対行こ。